工場の危険物・高圧ガス・化学物質の届出一覧|扱う量でわかる必要な手続き
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
新しい原料を使い始める、ガスのボンベを置く、溶剤の在庫を増やす。工場では、こうした日常の変化のたびに「どの法律の、何の届出が要るのか」が問題になります。消防法・高圧ガス保安法・化審法・安衛法・化管法は、扱う物と量によって重なって適用され、窓口もそれぞれ違います。
手続きが漏れていると、消防署の立入検査や行政の調査で、操業を始めた後に違反を指摘されることがあります。このページでは、扱う物と量から必要な手続きが分かる早見表と、法令ごとの詳しい解説記事をまとめています。
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扱う物と量でわかる届出・許可の早見表
工場でよくある場面ごとに、関わる手続きを並べました。手続きが要るかどうかは量で決まるものが多く、その境目は下の法令ごとの節で図にしています。
| こんなとき | 関わる手続き |
|---|---|
| 溶剤・油・塗料などの危険物を置く | 量に応じて少量危険物の届出、または危険物施設の許可(消防法) |
| 樹脂ペレット・木製パレットなどを大量に置く | 指定可燃物の届出(火災予防条例) |
| ガスボンベを置く・ガスを充てんする | 量に応じて高圧ガスの貯蔵所の届出・許可、製造の届出・許可 |
| ガスを仕入れて売る | 高圧ガスの販売事業の届出 |
| アセチレン・LPガス・硫酸・アンモニアなどを一定量以上置く | 消防署への届出(消防法第9条の3) |
| 新しい化学物質を製造・輸入する | 化審法の申出・届出と、安衛法の確認・届出 |
| 対象の化学物質を一定量以上使う | PRTR届出(毎年度) |
| 化学品を他社に売る・渡す | SDSの交付 |
| 化学物質を扱う作業がある | 化学物質管理者の選任とリスクアセスメント |
1つの原料が、危険物で、SDSの交付対象で、PRTRの対象でもある、ということがあります。
- 手続きの洗い出し:使う原料・在庫量・設備の計画を伺い、どの法律の手続きが要るかを一覧にします。原料のSDSを読み、危険物の類別・品名やPRTRの該当も確かめます
- 書類の作成と申請:少量危険物の届出・危険物施設の許可・高圧ガスの届出・化審法の申出など、官公署に出す書類の作成と提出
- 期限の管理:化審法の少量新規のように毎年度の申出が要るものや、設備の変更のたびに要る届出を、年間の予定にまとめます
どの許可が必要? かんたん診断
法令をまたぐ手続き
設備の増設は、消防法・高圧ガス保安法・水質汚濁防止法・大気汚染防止法・化審法・安衛法など複数の法令の届出に関わります。届出を外部に任せる場合は、行政書士法との関係も確認が必要です。
工場の設備増設で必要な届出・許可|法令別チェックリスト設備増設時に必要な届出・許可を法令横断で一覧に
【2026年改正】水質・大気・危険物届出の無資格代行|行政書士法違反のリスクと対策危険物・高圧ガスの届出を無資格で代行するリスク
消防法(危険物)
消防法の危険物規制は、取り扱う危険物の量が「指定数量」に対してどの割合にあるかによって、届出・許可の区分が変わります。指定数量の倍数と自社の該当区分を確認した上で、必要な手続きを確認してください。指定数量の5分の1以上・指定数量未満の少量危険物は市区町村への届出、綿花・木材チップ・合成樹脂類などの指定可燃物も一定量以上で届出の対象です。
「開始7日前まで」は大阪市の場合です。
消防法の危険物規制|品名分類・適用判断・施設区分を体系整理品名分類・適用判断・施設区分の全体像
危険物の指定数量の倍数とは|倍数計算の方法と6類の指定数量一覧倍数の計算方法と6類の指定数量一覧・物質名の早見表
危険物貯蔵所の設置許可申請書|記載事項・添付書類・提出先と手数料施設の区分、申請書の記載事項・添付書類・提出先、大阪市の手数料と完成検査まで
少量危険物の届出|対象になる量・提出時期・保管場所の基準指定数量の5分の1以上は届出・第4類の品名ごとの量・保管場所の基準と罰則
少量危険物の指定数量超過|許可申請への移行と倍数計算の手順取扱量が増えて指定数量以上になるときの許可への移行
指定可燃物の届出|対象品目と届出が必要な量・危険物との違い12区分の品目と数量、大阪市で届出が必要な量、危険物・少量危険物との違い
消防法(防火管理)
危険物規制のほかに、施設の使用開始・設備の設置・防火管理体制の整備についても消防法上の手続きが必要です。開業前の防火対象物使用開始届、厨房設備・給湯湯沸設備などの火を使用する設備等の設置届、防火管理者が作成・届出する消防計画が代表的です。
防火対象物使用開始届|7日前の提出期限・必要書類と届出不要なケース開業前の使用開始届と、内装工事を伴うときの工事着手前の届出
火を使用する設備等の設置届|厨房350kW・給湯70kWの基準厨房・給湯湯沸設備など18種類の設備と届出の規模の基準
消防計画の作成と届出|防火管理者が押さえる法定義務と記載事項防火管理者が作成・届出する消防計画の記載事項
高圧ガス保安法・液石法
高圧ガスの製造・貯蔵・販売・消費には、ガスの種類と量によって許可・届出・適用除外が分かれます。しきい値の考え方を最初に把握することが重要です。一般消費者向けのLPガス販売は液石法の対象で、高圧ガス保安法とは別の登録が必要です。
液化ガスは10kgを1m³として換算します。第一種ガスは窒素・二酸化炭素・アルゴン・フルオロカーボン(難燃性のもの)・空気など(高圧ガス保安法施行令第2条第5項第4号)、第二種ガスは第一種ガス以外のガス(第三種ガスを除く。同令第5条)です。
高圧ガス保安法の許認可|しきい値の考え方、製造・貯蔵・販売から消費届まで解説製造・貯蔵・販売・消費の区分としきい値の考え方
高圧ガス製造許可の申請手順|第一種・第二種の区分から必要書類・完成検査まで第一種・第二種の区分、必要書類、完成検査までの手順
高圧ガスの貯蔵・販売・消費届出|手続き区分と申請手順製造許可に当たらない貯蔵・販売・消費の届出
LPガス販売事業の登録手続き|液化石油ガス法に基づく登録要件と申請の流れ登録要件・業務主任者の選任・保安業務の義務
高圧ガスと消防法の届出|アセチレン・LPガス・硫酸など消防署に届け出る物質と量アセチレン・LPガス・硫酸など、消防署への届出が要る物質と量
化学物質規制(化審法・安衛法・化管法)
化学物質そのものに着目した規制は、新しい物質を作るときの届出(化審法・安衛法)、使う職場での管理(安衛法)、排出量の届出と情報の伝達(化管法・SDS)の3つに分かれます。同じ物質に複数の法律がかかることが多いため、まとめて確認してください。
新規化学物質の届出(化審法・安衛法)
新たに製造・輸入する化学物質は、化審法(化学物質審査規制法)に基づく事前届出・申出が必要です。あわせて安衛法の届出も必要になり、少量新規の枠は化審法が年1トン以下、安衛法が一の事業場で年100kg以下と、考え方が異なります。中間物・閉鎖系用途・輸出専用品や、低懸念高分子(PLC)には事前確認の制度もあります。
各制度を使える数量の上限です。数量の上限がない低懸念高分子(PLC)は入れていません。
新規化学物質とは|化審法の届出と少量新規・低生産量新規など4つの特例の選び方新規化学物質の定義と、通常届出・少量新規・低生産量・低懸念高分子の選び方
化審法 中間物等事前確認申出|届出免除の要件と手続きの流れ中間物・閉鎖系用途・輸出専用品の届出免除の要件
化審法 低懸念高分子(PLC)事前確認申出|一回の確認で届出免除と名称非公示を両立低懸念高分子の基準を満たす新規ポリマーの事前確認
安衛法の新規化学物質届出|少量新規(100kg)の確認申請と化審法との違い安衛法の新規化学物質の届出と少量新規(一の事業場で年100kg以下)の確認
化審法の届出の無資格代行リスク|行政書士法改正の要点化審法の届出を無資格コンサルに外注するリスク
化学物質の自律管理(安衛法)
2022年の安衛法改正(労働安全衛生法の新たな化学物質規制)により、化学物質の自律管理が、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場に義務付けられました。化学物質管理者の選任・リスクアセスメントの実施が一体的に求められます。
化学物質管理者とは|役割・資格要件と選任義務の対象事業場自律管理で広がった義務・選任が必要な事業場・7つの職務・資格要件
化学物質リスクアセスメントとは|やり方の5ステップと実施義務の対象リスクアセスメントの義務と5ステップの実施手順
PRTR届出とSDS(化管法・安衛法)
第一種指定化学物質を一定量以上取り扱う事業者には、年1回のPRTR届出が義務付けられています。業種・従業員数・取扱量の3要件で対象かどうかを確認してください。SDS(安全データシート)の交付義務は、安衛法・化管法が主な根拠法令です。
PRTR届出 対象事業者の判定ガイド|業種・従業員数・取扱量の3要件業種・従業員数・年間取扱量の3要件による対象事業者の判定
PRTR届出の実務手順|対象物質の特定・排出量の算出と提出期限物質の特定・排出量の算出・電子届出の手順
SDSの更新頻度と有効期限|5年以内の見直し義務と改正安衛法・JIS 2025への対応SDSの更新頻度と有効期限・5年以内の見直し義務・作業場での周知の方法・JIS 2025
化学兵器禁止法の届出
化学兵器禁止法の届出は、三塩化リン・塩化チオニルなどの工業薬品や、合成で作る有機化学物質の一部にもかかります。製造・使用・輸出入のどれかで一定の量や濃度を超えると、毎年の届出が必要です。
当事務所の強み
保安防災・物質規制の手続きは、当事務所が必要な手続きの洗い出しから書類の作成・申請までお引き受けします。ご依頼の際に強みになる点は次のとおりです。
- SDSから法令の該当を判定:元化学メーカー研究員として、化学物質の性状・GHS分類・SDSの読み解きから、危険物・PRTR・SDS交付対象などの該当を判定します
- 法令をまたいで一度に整理:消防法・高圧ガス保安法・化審法・安衛法・化管法を横断して扱うため、窓口ごとに相談先を分ける必要がありません
- 甲種危険物取扱者の知識:危険物の類別・品名・指定数量の判断を、資格の知識に基づいて行います
- 補助金との組み合わせ:設備の導入に補助金を使う場合は、FPの知見から申請の支援もあわせて行います
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

新しい原料や設備の導入が決まった時点でご相談ください。必要な手続きと、届け出る順番を一覧にしてお示しします。

