指定可燃物の届出|対象品目と届出が必要な量・危険物との違い
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「少量危険物の届出はしているが、指定可燃物の届出はしていなかった」ということが起こりえます。
指定可燃物は危険物とは別のカテゴリで、危険物の規制に関する政令の別表第四に定められた品目の一定数量以上を貯蔵・取り扱う場合に、市町村の火災予防条例で届出が必要になります。
合成樹脂・木材加工品・可燃性液体類など、製造業の倉庫や工場に普通に存在する物品が対象になります。
私は化学メーカーに在籍していたころ、工場内に保管していた合成樹脂原料が指定可燃物に該当することを実務で確認した経験があります。
危険物の管理は意識していても、指定可燃物は見落とされやすいという実態を現場で感じてきました。この記事では、指定可燃物の定義・対象品目・届出手続きを整理します。
消防法の3つの区分
消防法は可燃性物品を「どれだけ危険か」によって3つの区分で規制しています。
区分によって必要な手続きが異なるため、自社の貯蔵物がどこに当てはまるかを正確に把握することが重要です。
指定可燃物は危険物とは別の区分で、品目ごとに定められた数量以上で届出が必要になります。
危険物(指定数量以上)
消防法別表第一に定める危険物を指定数量以上貯蔵・取り扱う施設は、製造所等の設置許可が必要です(消防法第10条・第11条)。
許可を受けてから施設を設置できます。許可なしに指定数量以上の危険物を扱うと消防法違反になります。

少量危険物(指定数量の1/5以上1倍未満)
指定数量の1/5以上1倍未満の量を貯蔵・取り扱う場合、許可は不要ですが届出が必要です(消防法第9条の4)。
届出先は所在地の市区町村長(消防署)です。

指定可燃物(危険物とは別カテゴリ)
指定可燃物は危険物の区分に属さない物品です。
危険物の規制に関する政令の別表第四に品目と数量が定められており(同政令第1条の12)、その数量以上のものが指定可燃物です。
届出義務の根拠は消防法第9条の4および各市町村の火災予防条例です。
つまり、指定可燃物の具体的な手続きは市町村条例で定められており、自治体ごとに様式・細則が異なる場合があります。
指定可燃物の対象品目と数量
指定可燃物の品目と数量は、危険物の規制に関する政令の別表第四に定められています(同政令第1条の12)。届出が必要になる量は市町村の火災予防条例で決まり、大阪市では条例第60条が、再生資源燃料・可燃性固体類・可燃性液体類・合成樹脂類は表の数量以上、その他の品目は表の数量の5倍以上としています。
| 品目 | 指定可燃物になる数量(政令別表第四) | 大阪市で届出が必要になる量 | 製造業での該当例 |
|---|---|---|---|
| 綿花類 | 200kg以上 | 1,000kg以上 | 綿状の繊維・麻糸の原料 |
| 木毛及びかんなくず | 400kg以上 | 2,000kg以上 | 木工・家具工場の副産物 |
| ぼろ及び紙くず(不燃性・難燃性以外) | 1,000kg以上 | 5,000kg以上 | 廃棄段ボール・包装紙 |
| 糸類 | 1,000kg以上 | 5,000kg以上 | 繊維製品製造 |
| わら類 | 1,000kg以上 | 5,000kg以上 | 農業関連施設 |
| 再生資源燃料 | 1,000kg以上 | 1,000kg以上 | 再生資源を原材料とする燃料(廃棄物固形化燃料など) |
| 可燃性固体類 | 3,000kg以上 | 3,000kg以上 | 引火点・燃焼熱量などで定められた固体(危険物に当たらないもの) |
| 石炭・木炭類 | 10,000kg以上 | 50,000kg以上 | 活性炭・燃料備蓄 |
| 可燃性液体類 | 2m³以上 | 2m³以上 | 危険物に当たらない一定の可燃性の液体 |
| 木材加工品及び木くず | 10m³以上 | 50m³以上 | 木製パレット・木製梱包材 |
| 合成樹脂類(発泡させたもの) | 20m³以上 | 20m³以上 | 発泡スチロール製品・梱包材 |
| 合成樹脂類(その他のもの) | 3,000kg以上 | 3,000kg以上 | プラスチック原料・ペレット |
合成樹脂類と木材加工品は、化学メーカー・製造業の工場・倉庫で届出の対象になりうる品目です。
届出が必要になる量は、自治体の条例で異なります。大阪市以外では、所在地の火災予防条例で確認してください。大阪市の「可燃性固体類等」は可燃性固体類と可燃性液体類をあわせた呼び方です(大阪市火災予防条例第35条)。
届出の手続きと必要書類
届出義務の根拠が市町村条例であるため、手続きの細則は所在地の消防署で確認することが基本です。
一般的な流れは以下のとおりです。
届出のタイミング
指定可燃物の貯蔵・取扱いを開始する前に届出が必要です。
すでに貯蔵・取扱いを行っている場合は、速やかに届出状況を確認し、未届けであれば消防署に相談してください。
届出先と必要書類
届出先は所在地を管轄する消防署です。
一般的に求められる書類は以下のとおりです(自治体により異なります)。
- 指定可燃物貯蔵・取扱い届出書
- 貯蔵場所・取扱場所の見取り図
- 品目・数量・貯蔵方法の説明資料
届出書の様式は各消防署または自治体ウェブサイトで入手できます。
変更・廃止時の届出
貯蔵品目・数量・場所を変更する場合や、貯蔵・取扱いを廃止する場合にも届出が必要です。
初回届出だけで終わりではなく、状況が変わるたびに手続きが必要な点に注意してください。
製造業で特に注意が必要な場面
化学メーカー・製造業で指定可燃物の届出が漏れやすい場面をまとめます。
原料・中間体の大量在庫: 合成樹脂原料やプラスチックペレットを倉庫に3,000kg以上ストックしている場合、合成樹脂類として届出対象になります。原料の発注・在庫管理を担当部門が行い、消防法上の確認が後回しになるケースがあります。
木製パレット・梱包材の保管: 工場の梱包エリアや倉庫に木製パレットを大量に保管している場合、木材加工品として、大阪市では50m³以上で届出対象になります。パレット1枚の体積は小さくても、数百枚を積み上げると容易に超えます。
廃棄物一時保管エリア: 廃棄段ボール・梱包紙が、大阪市では5,000kg以上になることがある保管場所も対象になりえます。廃棄物として処理する前の一時保管でも、貯蔵・取扱いに該当します。
設備増設・倉庫拡張時: 既存施設の増設や新倉庫の設置に伴い、保管可能量が増えて初めて届出数量を超えるケースがあります。

よくある質問
指定可燃物は危険物の許可と別に届出が必要ですか?
必要です。危険物の製造所等許可や少量危険物届出とは別の手続きです。同じ敷地内に危険物と指定可燃物の両方がある場合、それぞれ独立した届出が求められます。
届出をしていない場合、どのようなリスクがありますか?
消防署による立入検査で未届けが判明した場合、是正指導の対象になります。火災予防条例違反として罰則が設けられている自治体もあります。早めの確認と届出が重要です。
複数の品目を保管している場合、それぞれ個別に届出が必要ですか?
品目ごとに指定数量が異なります。各品目が届出対象数量を超えているかを個別に確認し、該当する品目について届出が必要です。複数品目をまとめて1枚の届出書で提出できる場合もありますが、様式は消防署で確認してください。
当事務所の強み:現場を知る行政書士による消防法対応支援
指定可燃物の届出は、当事務所が該当の判定から届出書の作成・提出までお引き受けします。
- 甲種危険物取扱者としての現場知識: 危険物・指定可燃物・少量危険物の3区分を正確に理解した上で、自社の保管物が届出対象かどうかを判定します。化学物質の性状からの該非確認も対応します。
- 少量危険物届出とのワンストップ対応: 同じ工場・倉庫内で少量危険物と指定可燃物の両方が該当する場合は、複数の届出をまとめて依頼いただけます。
- 相談料無料・オンライン対応: 「うちの倉庫に指定可燃物の届出が必要か確認したい」という段階からご相談いただけます。
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

「届出が必要かどうかわからない」という段階からのご相談を承ります。
