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LPガス販売事業の登録手続き|液化石油ガス法に基づく登録要件と申請の流れ

LPガス(液化石油ガス)を一般消費者に販売する事業を行うには、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)に基づく登録が必要です。申請先は販売所の所在地によって異なります。

化学メーカーの研究職で可燃物・高圧ガスを日常的に扱ってきた経験をもとに、LPガス販売事業登録の要件と申請の流れを整理します。

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液石法と高圧ガス保安法の関係

LPガスの販売規制には2つの法律が関わりますが、適用場面が異なります。

液石法は、LPガスを一般消費者等(家庭・家庭用途に準じる飲食店等)に販売する事業を対象とした法律です。販売取引の適正化と消費者保護を目的とし、登録・保安業務・書面交付等の義務を定めています。一般消費者向けのLPガス販売は、基本的に液石法の登録で対応できます

高圧ガス保安法は高圧ガス全般の製造・貯蔵・移動・販売の保安確保を目的とした法律です。同法第20条の4第1項は、液石法の対象となる液化石油ガス販売事業を販売事業届出の対象から明示的に除外しています。ただし、工場・産業用途向けの販売やオートガス(自動車用LPガス)の販売を同時に行う場合は、高圧ガス保安法の販売事業届出が別途必要になります。

液石法に基づく販売事業登録の要件

登録の申請先・欠格事由・必要書類の3点を確認しておくことで、申請前の準備がスムーズになります。

登録申請先

申請先は販売所(事業拠点)の所在地の組み合わせで決まります。販売先(消費者の住所)は無関係です。

販売所の所在地申請先
一の指定都市区域内のみ指定都市の長
一の都道府県内のみ(指定都市区域を除く)都道府県知事
一の経済産業局管轄内・2以上の都道府県にまたがる産業保安監督部長
2以上の経済産業局管轄区域にまたがる経済産業大臣

大阪府の場合:権限移譲により窓口が異なります

大阪府では保安3法の申請権限が市町村に移譲されており、実際の窓口は各市町村の消防本部・消防局になります。高槻市のみ例外で、大阪府(危機管理室消防保安課)が直接の窓口です。大阪市は大阪市消防局、堺市は堺市消防局が担当します。申請前に販売所所在地の消防本部へ確認することを推奨します。

欠格事由

主な欠格事由は以下のとおりです(液石法第四条第一項)。

  • 液石法・高圧ガス保安法等の規定に違反し罰金以上の刑に処せられ、執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者(第一号)
  • 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過していない者(第二号)
  • 心身の故障により液化石油ガス販売事業を適正に行うことができない者として経済産業省令で定める者(第三号)
  • 法人の場合、業務を行う役員のうちに上記いずれかに該当する者があるもの(第四号)

液化石油ガス設備士の関与

液石法第三十八条の七は、液化石油ガス設備士でなければ液化石油ガス設備工事の一定の作業に従事できないと定めています。自社で設備士を確保するか、工事を設備士に委託する体制が必要です。

主な申請書類

貯蔵施設の貯蔵量によって必要書類が異なります。貯蔵施設を所有する場合(3トン未満)の基本的な書類は以下のとおりです。

  • 液化石油ガス販売事業登録申請書(別紙:販売所の名称・所在地・貯蔵施設の位置等)
  • 貯蔵施設の位置及び構造等の明細書・案内図・見取図・構造図
  • 販売予定地域・販売予定戸数・販売予定数量
  • 損害賠償の支払能力を証する書面(LPガス事業者賠償責任保険の付保証明書等)—液石法第3条第2項第5号・第4条第1項第5号、施行規則第6条・第4条第2項第4号
  • 法人の定款・登記事項証明書(法人の場合)
  • 登録の拒否要件に該当しないことの誓約書

なお、貯蔵量が3トン以上の貯蔵施設を設置する場合は、別途「貯蔵施設等設置許可申請書の写し」等が必要です。液石法第十一条ただし書に該当する場合は、貯蔵施設を所有・占有しなくても登録を受けることができます(理由書・適合内容を証する書面の添付が必要)。

実務上の重要注意点:

  • 登録申請は、貯蔵施設を設置する前に行うこと
  • 登録通知を受けたら、販売事業を開始するまでに販売所ごとに業務主任者の選任届を提出すること

登録後の主な義務

登録を受けた後も、継続的な義務が発生します。

貯蔵施設等の設置許可と変更

貯蔵量3トン以上の貯蔵施設または特定供給設備を設置する場合、登録とは別に都道府県知事(指定都市の長)の許可が必要です(液石法第三十六条第一項)。申請には消防長または消防署長の意見書を添付します。設置後に施設の位置・構造・設備を変更する場合は変更許可(第三十七条の二第一項)が必要です。撤去その他の軽微な変更は許可不要ですが、変更後に遅滞なく届け出なければなりません(同条第二項)。設置許可・変更許可を受けた場合でも、完成検査(第三十七条の三)に合格するまで施設を使用することができません

業務主任者の選任・届出

販売所ごとに液化石油ガス業務主任者を選任し、登録行政庁に届け出る必要があります。業務主任者は、第二種販売主任者免状(高圧ガス保安法第二十九条第一項)の交付を受け、かつ6か月以上の液化石油ガスの販売実務経験を有する者のうちから選任します。講習サイクルは、免状交付の翌年度開始日から3年以内に初回講習を受けさせ、以降は前回受講日の属する年度の翌年度開始日から5年以内に受けさせる必要があります。ただし、免状取得から長期間が経過した者を選任する場合など、選任日から次回講習までの期間が6か月未満となるときは、選任日から6か月以内に講習を受けさせなければなりません。

保安業務の実施義務

液石法第二十七条第一項は、販売契約を締結している一般消費者等について保安業務を行う義務を定めています。保安業務には消費設備の定期調査・使用者への周知・緊急時の保安措置が含まれます。調査の結果、消費設備に問題が見つかった場合は使用者に改善を促す義務も生じます

書面交付義務

LPガスの販売にあたり、消費者に対して供給条件(料金・設備の所有区分・点検内容等)を書面で交付することが求められます。

保安業務の外部委託

保安業務を外部に委託する場合は、液石法上の委託要件を満たす業者に委託する必要があります。ガス漏れ・事故発生時の緊急対応体制の整備も含め、委託先の選定は慎重に行うことが重要です。

液化石油ガス販売事業報告

液石法施行規則第百三十二条は、液化石油ガス販売事業者に対し、毎事業年度経過後3か月以内に登録行政庁へ報告する義務を定めています。報告事項は、事業年度末における販売する一般消費者等の数(消費者数)と保安機関への保安業務委託状況です。報告先は登録を行った行政庁(都道府県知事・指定都市の長等)になります

変更届・廃止届・承継届

登録事項(販売所の所在地・業務主任者・貯蔵施設等)に変更が生じた場合は、遅滞なく変更届の提出が必要です。事業を廃止した場合も廃止届が求められます(第二十三条)。

事業の全部を譲渡・相続・合併・分割により承継した場合は、承継届(第十条)の提出が必要です。大阪府の窓口では、譲渡人側(甲)と承継人側(乙)それぞれの届出様式が設けられています。

販売所の追加・移転により管轄行政庁が変わる場合(例:1都道府県内から複数都道府県に拡大する場合など)は、新たな管轄行政庁への登録申請に加えて、従前の登録行政庁への届出も必要です(第六条)。

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認定液化石油ガス販売事業者制度(ゴールド保安認定)

液石法には、通常の登録に加えて任意で取得できる認定制度があります。集中監視システムなど高度な保安機器を導入し、保安の高度化に積極的に取り組んでいる事業者を経済産業大臣または都道府県知事が認定するものです。経済産業省は設置率70%以上の第一号認定をゴールド保安認定(ゴールド保安認定事業者)、50%以上70%未満の第二号認定を「保安認定事業者」と呼んでいます。

認定の概要(第三十五条の六)

認定液化石油ガス販売事業者となるには、マイコンメーター(自動遮断機能付き)・遠隔通信装置・センター側制御機器などの保安確保機器(施行規則第四十五条)を一定割合以上の消費者に設置していることが要件です。施行規則第四十六条は設置率に応じた2区分を定めており、設置率70%以上が「第一号認定(ゴールド保安認定事業者)」、設置率50%以上70%未満が「第二号認定(保安認定事業者)」となります。いずれも業務主任者の選任数等について特例基準が適用されます(第三十五条の八)。また、認定事業者と契約している消費者を担当する保安機関は、消費設備調査の訪問頻度について特例が認められます(第三十五条の九)。

認定後の報告義務(第三十五条の七)

認定を受けた事業者は、販売契約を締結している一般消費者等の数および保安確保機器に係る消費者数を認定行政庁に定期報告しなければなりません。大阪府の窓口では「認定液化石油ガス販売事業者状況報告書」の様式が用意されています。報告義務を怠り、催告後も報告しない場合は認定が取り消されることがあります(第三十五条の十第二項)。

よくある質問

Q. 工業用ガスの販売届出は済んでいます。一般家庭向けのLPガス販売も始める場合、液石法の登録は別途必要ですか?

A. 必要です。高圧ガス保安法の販売事業届出は工業用・産業用ガスの販売を対象としており、一般消費者向けのLPガス販売(液石法の対象)は含まれません。一般家庭向けの供給を始める場合は、液石法の登録を別途取得する必要があります。

Q. 液石法の登録に有効期限はありますか?

A. 液石法の販売事業登録に有効期間はありません。登録事項の変更時・廃止時の届出については「登録後の主な義務」の「変更届・廃止届」をご確認ください。

Q. LPガスをボンベで小売りするだけでも登録が必要ですか?

A. LPガスを継続的に販売する事業として行う場合は登録が必要になります。販売の形態(ボンベ配送・バルク供給等)にかかわらず、事業として継続的に供給する場合は液石法の規制対象になります。販売形態が登録要件に該当するかどうかは、事業の実態に基づいて確認することが重要です。

当事務所の強み

元化学メーカー研究員として研究開発の現場で可燃物・高圧ガスを扱ってきた立場から、液石法の登録手続きを支援します。工業用ガスも扱う事業者については、高圧ガス保安法の届出との整合も含めて確認します。

  • 液化石油ガス販売事業登録申請(新規・変更)
  • 工業用・産業用ガス販売も行う場合の高圧ガス保安法届出との整理
  • 登録後の変更届出・廃止届出サポート

販売所の所在地と事業形態をお知らせいただければ、申請先と必要手続きを整理します。

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