高圧ガスの貯蔵・販売・消費届出|手続き区分と申請手順

高圧ガスの貯蔵・販売・消費届出|手続き区分と申請手順

高圧ガスを使う事業では、「製造」だけでなく「貯蔵」「販売」「消費」それぞれに許可または届出が必要です。タンクを工場内に設置すれば貯蔵所の手続きが発生し、ガスを顧客に販売すれば販売業届出が必要になります。これらを見落としたまま操業していると、無届けの状態が続くことになります。

元化学メーカー研究員として高圧ガスを日常的に扱ってきた立場から、製造以外の手続きで見落とされやすいポイントを整理します。

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4つの手続き区分の全体像

高圧ガス保安法が定める手続きは、取り扱いの形態によって4区分に分かれます。

区分手続き種別申請先
第一種貯蔵所(原則1,000m³以上。ガスの種類で異なる)許可都道府県知事
第二種貯蔵所(300m³以上で第一種貯蔵所に当たらないもの)届出都道府県知事
高圧ガス販売業届出都道府県知事
特定高圧ガス消費届出都道府県知事

申請先は原則として都道府県知事ですが、指定都市の区域内では、これらの事務を市長が行います(法第79条の3)。大阪府のように、条例で市町村に事務を移している都道府県もあります(大阪府内は高槻市を除き各市町村の消防本部等)。実際の申請前に管轄自治体を確認してください。

法第16条第1項の基準は300m³ですが、政令でガスの種類ごとに値が定められています(施行令第5条)。第一種ガス(ヘリウム・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン・窒素・二酸化炭素・フルオロカーボン〔フロンガス等〕・空気)は3,000m³以上、それ以外の第二種ガスは1,000m³以上が第一種貯蔵所の対象です。経済産業省令で定める第三種ガスは300m³のままで、複数の種類を貯蔵する場合は省令で定める値によります。300m³以上で第一種貯蔵所に当たらない場合が第二種貯蔵所です。

液化ガスの場合は10kgを1m³として換算します(法第16条第3項)。

高圧ガスの貯蔵量と貯蔵所の区分
0300m³1,000m³3,000m³
第二種ガス貯蔵所の手続きなし第二種貯蔵所届出第一種貯蔵所許可
第一種ガス貯蔵所の手続きなし第二種貯蔵所届出第一種貯蔵所許可

第一種ガスは窒素・二酸化炭素・アルゴン・フルオロカーボン・空気など、第二種ガスはそれ以外です。省令で定める第三種ガスは300m³から第一種貯蔵所です。複数の種類を貯蔵するときは省令で定める値によります。

貯蔵所の設置手続き

貯蔵量が300m³以上になる場合は、貯蔵所の許可または届出が必要になります。製造所の敷地内であっても、製造許可の範囲に含まれない貯蔵設備は別途手続きが必要です。

第一種貯蔵所(都道府県知事の許可)

上記の値(第二種ガスなら1,000m³)以上の高圧ガスを貯蔵する場合は、第一種貯蔵所として都道府県知事の許可が必要です(高圧ガス保安法第16条第1項)。

許可申請では、貯蔵所の位置・構造・設備が技術上の基準に適合していることを確認する書類を提出します(法第16条第2項、一般高圧ガス保安規則第21条〜第23条)。主な提出書類は以下のとおりです。

  • 第一種貯蔵所設置許可申請書
  • 貯蔵所の配置図・構造図
  • 貯蔵能力の計算書
  • 法第16条第2項の技術上の基準への適合確認書類

許可取得後は工事を行い、完成検査(法第20条第1項)に合格するまで使用できません。第一種貯蔵所は製造施設と同様に完成検査が義務付けられています。

設置後に貯蔵所の位置・構造・設備を変更する工事を行う場合は、原則として変更許可(法第19条第1項)が必要です。経済産業省令で定める軽微な変更については、許可は不要ですが、完成後遅滞なく届出が必要です(同条第2項)。

第二種貯蔵所(都道府県知事への届出)

300m³以上で第一種貯蔵所に当たらない量の高圧ガスを貯蔵する場合は、第二種貯蔵所として事前に都道府県知事へ届出が必要です(法第17条の2第1項)。第一種貯蔵所と異なり許可ではなく届出ですが、技術上の基準への適合義務は同様に課されます(法第18条第2項、一般則第26条)。

設置後に位置・構造・設備を変更する工事(軽微な変更を除く)は、あらかじめ届け出ます(法第19条第4項)。

​実務上の注意

客先でガスを払い出した後の「製造無しローリ」は、タンク内に残圧がある限り「貯蔵」に該当します。長時間の駐車は届出した貯蔵所で行う必要があります。トラック荷台でのボンベの放置による事故も発生していますので、保管場所の管理には注意が必要です。

高圧ガス販売業届出

高圧ガスの販売事業を始める場合は、販売所ごとに事業開始の20日前までに都道府県知事へ届出が必要です(法第20条の4第1項)。

届出に必要な書類は以下のとおりです。

  • 高圧ガス販売事業届出書
  • 販売をする高圧ガスの種類を記載した書面
  • その他経済産業省令で定める書類

「販売」とは、その場所で取引(契約)を行う行為です。現品(高圧ガス)を実際に取り扱っているかどうかにかかわらず、販売契約を行う拠点が届出の対象となります。

届出が不要なケースは限定的です。第一種製造者がその事業所で自ら製造した高圧ガスを販売する場合(法第20条の4第1号)、または医療用の高圧ガス・消火器内の高圧ガスなど政令で定める高圧ガスを貯蔵数量が常時5m³未満の販売所で販売する場合(同条第2号、施行令第6条)に限られます。

販売主任者の選任

水素・アセチレンなどの可燃性ガスや塩素・アンモニアなどの毒性ガス、モノシランなどの特殊高圧ガスを販売する場合は、経済産業省令の定めにより販売主任者の選任と届出が必要です(法第28条第1項・一般高圧ガス保安規則第72条)。販売主任者は高圧ガスの販売に係る保安に関する業務を管理する役割を担います。選任した場合は速やかに都道府県知事へ届け出てください。

販売するガスの種類を変更したときは、遅滞なく変更届が必要です(法第20条の7)。

特定高圧ガス消費届出

一定の数量以上の高圧ガスを貯蔵設備を備えて消費する場合や、事業所外からパイプラインで供給を受けて消費する場合は、消費開始の20日前までに届出が必要です(法第24条の2)。

対象となる特定高圧ガスと数量は以下のとおりです。

ガスの種類届出が必要な数量
モノシラン・ホスフィン・アルシン・ジボラン・セレン化水素・モノゲルマン・ジシラン数量を問わず
圧縮水素・圧縮天然ガス貯蔵設備の容積が300m³以上
液化酸素・液化アンモニア・液化石油ガス(LPG)※貯蔵設備の質量が3000kg以上
液化塩素貯蔵設備の質量が1000kg以上

※ここでのLPGは工業用等、高圧ガス保安法が適用されるものを指します。飲食店・家庭向けの消費者用LPGは液化石油ガス法(液石法)の対象となり、別の規制が適用されます。

技術上の基準への適合義務も課されます(法第24条の3)。消費設備の構造・維持管理方法が省令の基準を満たす必要があります。また、事業所ごとに特定高圧ガス取扱主任者を選任しなければなりません(法第28条第2項)。

半導体製造・食品工場・金属加工など、特殊ガスやバルク供給を使う事業所では、設備変更のタイミングで届出義務が発生する場合があります。特にボンベ供給からバルク(固定貯槽)への切り替えは、設置時の届出だけでなく、その後の維持管理義務が新たに加わる転換点になります。

よくある質問

高圧ガスの貯蔵や消費で、届出が要らないのはどんな場合ですか?

貯蔵量が300m³未満(液化ガスは10kgを1m³として換算。法第16条第3項)であれば、貯蔵所の許可も届出も要りません。ただし、貯蔵の技術上の基準(法第15条)は、経済産業省令で定める容積以下の高圧ガスなどを除いて守る必要があります。消費は、モノシランなど7種類のガスを除き、貯蔵設備の量が上の表の数量(液化酸素なら3,000kg、圧縮水素なら300m³など)に満たず、事業所の外から導管で供給を受けてもいなければ、特定高圧ガス消費の届出は要りません(法第24条の2・施行令第7条第2項)。販売は、受注・発注だけの拠点でも届出が必要です(下の「転売するだけでも」の質問)。

貯蔵所と製造施設が同一敷地内にある場合、別々に手続きが必要ですか?

第一種製造者がその許可の範囲内で高圧ガスを貯蔵する場合は、別途貯蔵所の許可は不要です(法第16条第1項ただし書き)。ただし許可の範囲を超える貯蔵が生じる場合は、別途貯蔵所の手続きが必要になります。製造許可の申請内容と貯蔵能力の計算書を照合して確認することを推奨します。

ガスを仕入れて転売するだけでも販売業届出が必要ですか?

必要です。現品の取り扱いがなく、受注・発注を行うだけの拠点でも、その場所での取引行為が「販売」に該当します。事務所のみの販売拠点であっても、ガスの種類・数量を記載した書面を添えて届出が必要です。

貯蔵所・販売業・消費届出を同時に進めることはできますか?

可能です。新工場の立ち上げや設備増設では、製造許可・貯蔵所許可・販売業届出・消費届出を並行して進めることがあります。共通する書類をまとめて整理すると、作業を効率化できます。

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当事務所の強み:製造から貯蔵・販売まで一括対応

高圧ガスの貯蔵所・販売・特定高圧ガス消費の届出は、当事務所が区分の判定から届出書類の作成・提出までお引き受けします。

元化学メーカー研究員として、高圧ガスを日常的に取り扱ってきた経験があります。「どの手続きが自社に該当するか」という判断の段階から対応します。

  • 第一種・第二種貯蔵所の設置許可・届出書類の作成
  • 高圧ガス販売業届出・販売主任者選任届出の手続き代行
  • 特定高圧ガス消費届出の作成
  • 製造許可・貯蔵所許可・消費届出のセット対応(同一施設の複数手続きに一括対応)
  • 危険物製造所・化審法届出など、他法令の手続きとの並行対応
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報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

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