化審法 中間物等事前確認申出|届出免除の要件と手続きの流れ
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
新規化学物質を製造・輸入する場合、化審法(化学物質審査規制法)に基づく事前届出が原則として必要です。通常届出では毒性試験等のデータが必要となり、試験費用だけで数千万円規模のコストと数ヶ月の時間がかかります。
しかし、新規化学物質を「他の化学物質を合成する中間原料」として使う場合は、化審法第3条第1項第4号に基づく「中間物等事前確認申出」を活用することで通常届出を免除できます。
確認を受けずに中間物用途の新規化学物質を製造・輸入すると、化審法違反となり事業停止リスクにつながります。事前に要件を確認した上で、申出手続きを進めることが重要です。
中間物等事前確認申出とは

化審法第3条第1項第4号は、「取扱いの方法等からみて環境汚染が生じるおそれがない場合として政令で定めるケース」について規定しています。この要件に該当する場合、事前確認を受けることで通常届出が免除されます。
化審法施行令第3条では、以下の3類型を「中間物等」として規定しています。
施行令が定める「中間物等」3類型
- 中間物(施行令第3条第1号):別の化学物質の中間原料として製造・輸入する場合。その化学物質になるまでの間、環境汚染防止措置が講じられているとき。
- 閉鎖系等用途(施行令第3条第2号):施設または設備の外へ排出されるおそれがない方法で使用するために製造・輸入する場合。廃棄されるまでの間、環境汚染防止措置が講じられているとき。
- 輸出専用品(施行令第3条第3号):輸出するために製造・輸入する場合(省令で定める地域への輸出に限る)。
「中間物等」の「等」には、閉鎖系等用途・輸出専用品が含まれます。
中間物等事前確認申出は一回限りの手続きです。対象物質の名称は官報に公示されません。ただし、確認を受けた後も、前年度の製造・輸入実績を毎年度6月末日までに報告する義務があります(届出省令第5条・様式第八。前年度に製造・輸入しなかった場合は不要)。
通常届出との比較
| 項目 | 中間物等事前確認申出 | 通常新規届出 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 化審法第3条第1項第4号 | 化審法第3条第1項 |
| 毒性試験 | 不要 | 必要(数千万円規模) |
| 審査期間 | 約2.5〜3ヶ月 | 約4〜6ヶ月 |
| 数量制限 | なし | なし |
| 名称公示 | なし | 判定後5年で公示 |
| 申出頻度 | 一回限り | 一回限り |
試験費用が不要である点が最大のメリットであり、要件を満たす場合は通常届出と比べてコストを大幅に抑えられます。
中間物等事前確認申出の手続きフロー

申出から確認通知を受け取るまでの目安は約2.5〜3ヶ月です。申出書の書案(予備審査)で指摘事項があると往復のやり取りで更に時間がかかります。書案の精度を上げることが、手続き全体の期間を短縮するポイントです。
申出前の準備
まず、自社の物質が「中間物等」の要件に該当するかを確認します。
- 製造・輸入する物質が最終製品ではなく、別の化学物質に転換される原料であること
- 反応が完了するまでの間、環境への漏洩を防ぐ設備・管理体制があること
- 申出書等の案が「確認基準(中間物等の確認に係る基準)」に合致しているかを十分確認しておくこと
申出の流れ
中間物等事前確認申出は書面(またはCD-ROM)提出の手続きです。少量新規確認申出(第3条第1項第5号)とは提出方法・窓口が異なります。
- 申出書・確認書(案)の準備:届出省令(新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令)第4条第1号に基づき、申出書の案を作成します。中間物(令第3条第1号・届出省令第4条第1号イ)の場合は様式第二、閉鎖系等用途(同第2号・同ロ)は様式第四、輸出専用品(同第3号・同ハ)は様式第六を使用します。確認書(中間物の場合は様式第三)は中間物の使用事業者が作成・発行するもので、事前に使用者から取得します。確認基準への適合を十分確認した上で提出します。
- 申出書等(案)の提出:経済産業省産業保安・安全グループ化学物質管理課化学物質安全室 用途確認班へ、書面3部またはCD-ROM1枚(Word形式)で提出します。
- 指摘事項への対応(提出後原則1ヶ月半程度):指摘事項がある場合は3省から文書で連絡が届きます。指摘事項対応表(様式)と修正後の第2案を3省(経産省・厚労省・環境省)各1部提出します。
- 申出書(正本)の提出(第2案受理後原則1ヶ月程度):3省確認後に正式提出の連絡を受け、正式文書3部と返信用封筒1通を経産省(Step 2と同じ宛先)へ提出します。
- 確認通知の受取:確認通知を受け取った後、対象の新規化学物質の製造・輸入を開始できます。
申出書類作成の注意点
確認を受けた後に用途変更(中間物以外への転用・一般用途での販売等)が生じた場合、改めて変更申出を行い確認を受け直す必要があります。申出書に記載する製造フロー・構造式・環境汚染防止措置の記述が審査の鍵を握ります。
よくある質問
Q:中間物として確認を受けた後、製造数量を大幅に増やしても問題ないですか?
制度上の上限数量はありませんが、申出書(様式第二)には製造開始後3年間の毎年の製造・輸入予定数量を記載する必要があります。申出時に届け出た予定数量を超過する場合は、環境放出量の前提が変わるため、改めて変更申出を行い確認を受け直すことが必要です。用途変更・工程の大幅変更が生じる際も同様に、事前に3省(経産省・厚労省・環境省)へ相談することをお勧めします。
Q:安衛法の届出も同時に必要ですか?
製造量が年間100kg以下の場合は安衛法第57条の5(少量新規化学物質確認申請・毒性試験不要・毎年度申請)が使えます。100kgを超える場合は安衛法(労働安全衛生法)に基づく通常届出が必要になります。なお安衛法にも独自の中間物等の免除制度(安衛法第57条の4第1項第1号「労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認」)がありますが、「労働者のばく露防止(完全密閉設備など)」の要件が化審法よりも厳格なため、実務上は免除要件を満たさないことも多く、Ames試験(変異原性試験)等を実施して通常届出(安衛法第57条の4第1項)を行うケースが多く見られます。両法の手続きを同時に進めることで、物質情報などの共通書類を効率的に準備できます。

Q:少量新規確認申出(化審法第3条第1項第5号)との違いは何ですか?
両者は別の制度です。少量新規確認申出は「年間製造・輸入量が1トン以下」という数量要件を満たす場合に、用途にかかわらず通常届出を免除する制度です。一方、中間物等事前確認申出(化審法第3条第1項第4号)は数量制限がありません。「中間物・閉鎖系等用途・輸出専用品」のいずれかの用途要件を満たすことで免除を受けます。少量新規は毎年度の申出が必要ですが、中間物等事前確認は一回限りの手続きです。製造量が1トンを超える場合でも中間物用途であれば中間物等事前確認申出の対象となります。
当事務所の強み:化学構造の専門知識による申出支援
中間物等事前確認申出では、「中間体として転換が完了するまでの工程」の技術的な記述が審査の鍵を握ります。
- 元化学メーカー研究員として有機合成の実務を経験しているため、製造フロー・反応経路・環境汚染防止措置の記述を化学的に正確に行えます
- 予備審査の書案作成から指摘事項への回答・正本提出まで、一貫して対応します
- 化審法と安衛法の同時申請に対応しており、両法の書類を並行して準備することで手続き期間を短縮します
物質の製造フロー図・構造式・SDSを共有いただければ、中間物要件の該当性を整理した上でご提案します。



