中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請|補助上限額・要件、カタログ注文型・ものづくり補助金との違い
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「人が採れず、作業の手を減らす設備を入れたい」「既製品ではなく、自社の工程に合わせた装置を作りたい」。こうした投資に使えるのが、中小企業省力化投資補助金(省力化補助金)の一般型です。
一般型は、事業者ごとの工程に合わせて専用で設計した機械装置・システム(オーダーメイド設備)の導入を支援する制度で、補助上限額は従業員数に応じて最大1億円(特例適用時)になります。一方で、カタログから製品を選ぶカタログ注文型より審査項目が多く、賃上げなどの要件を事業計画期間を通じて守る必要があります。
この記事では、第9回公募要領(2026年11月)をもとに、一般型の補助上限額・要件・対象経費、ものづくり補助金との選び方、申請から効果報告までの流れを解説します。第9回の申請の受付は、12月上旬に始まる予定です(事務局のホームページ)。公募の時期や細かな要件は回によって変わるため、申請する回の公募要領で確かめてください。
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省力化補助金の一般型とカタログ注文型の違い
省力化投資補助金には、一般型とカタログ注文型の2つがあります。どちらを使うかで、申請の手間と審査の重さが大きく変わります。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 導入する設備 | 国が省力化の効果を認めて製品カタログに載せた製品 | ICT・IoT・AI・ロボット・センサーなどを使い、事業者の業務に応じて専用で設計した機械装置・システム(オーダーメイド設備) |
| 申請と審査 | 迅速で簡易 | 省力化の効果・付加価値の向上・投資の妥当性・革新性などを総合的に審査 |
公募要領は、一般型を検討する前にカタログ注文型の製品カタログを確かめるよう求めています。カタログに載っている製品をそのまま入れるだけなら、カタログ注文型の対象です。導入環境に合わせて周辺機器や機能を組み替える場合や、汎用設備を組み合わせてより高い省力化効果を生む場合に限って、一般型の対象になります。汎用設備やパッケージソフトを単体で入れるだけの事業は、一般型の対象外です。
補助上限額と補助率
補助上限額は、申請時の従業員数で決まります。大幅な賃上げに取り組む場合は、上限額が引き上げられる特例があります。
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げの特例を適用した場合 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は、中小企業が1/2(最低賃金引き上げの特例を適用した場合は2/3)、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者が2/3です。
2つの特例には、基本要件に加えて次の条件があります。両方を同時に使うことはできません。
- 大幅賃上げの特例(上限額の引き上げ):1人当たり給与支給総額を年平均6.0%以上増やし、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高くする
- 最低賃金引き上げの特例(補助率2/3):2025年10月から2026年9月までの間に、2026年度改定の地域別最低賃金未満で雇っている従業員が全体の30%以上の月が3か月以上ある(小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は対象外)
補助金は、事業を終えて実績報告を出し、補助金額が確定した後に支払われる精算払です。設備の代金は、いったん自己資金や融資で立て替えることになります。

申請の基本要件と返還のルール
一般型では、3〜5年の事業計画を立て、次の要件をすべて満たす必要があります。事業計画期間は、補助事業を終えた事業年度の翌年度を1年目として数えます。
- 労働生産性:年平均成長率を4.0%以上増加させる
- 1人当たり給与支給総額:年平均成長率を3.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金:事業を行う都道府県の最低賃金より30円以上高い水準にする
- 従業員21人以上の場合:交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表する(掲載に2週間程度かかります)
応募の直近の決算年度から事業計画期間の終わりまでの間に、1人当たり給与支給総額の算出の対象になる従業員が0人になる場合は、対象になる給与がないため応募できません。
採択後に目標を達成できなかった場合は、補助金の返還を求められます。
- 1人当たり給与支給総額:事業計画期間の終わりに目標に届かなければ、達成率に応じて返還。年平均成長率が0以下なら全額返還
- 事業場内最低賃金:毎年3月末の時点で要件を満たしていなければ、補助金額を事業計画の年数で割った額を返還
付加価値額が増えておらず営業利益も赤字だった場合や天災など、事業者の責めによらない理由があるときは、返還は求められません。再生事業者は返還の対象外です。

補助対象になる経費と対象外の経費
補助対象経費の中心は、機械装置・システム構築費です。単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を1つ以上入れることが必須で、そのうえで運搬費・技術導入費・知的財産権等関連経費・外注費・専門家経費・クラウドサービス利用費を計上できます。
機械装置の本体と一体で行う据付けは対象ですが、次のような経費は対象外になります。
- 交付決定前に発生した経費(いかなる理由でも事前着手は認められない)
- 土地・建物・構築物の取得費用と、それを作るための部材(ビニールハウス・コンテナなどの簡易建物も対象外)
- 建物と一体で切り離せない建物附属設備の取得・設置費用
- 設置場所の整備工事や基礎工事の費用
- 太陽光パネルなど再生可能エネルギーの発電設備
- 既存のシステムやソフトウェアのバージョンアップ・改修の費用(新しく入れるシステムと連携させるための改修は対象)
- 中古品、パソコン・タブレットなど汎用性があり目的外に使えるもの
- 自動車などの車両(耐用年数省令で「機械及び装置」に当たるものを除く)
- 事務局に出す書類の作成・申請にかかる費用
機械装置費に計上できる範囲の考え方は、次の記事で解説しています。

ものづくり補助金との違いと選び方
設備投資の補助金としてよく比べられるのが、新事業進出・ものづくり補助金です。どちらも機械装置の導入に使えますが、補助の目的が違います。
省力化補助金は、人手不足に悩む事業者が、今の業務の手間を設備で減らす投資を支援します。新事業進出・ものづくり補助金は、新しい製品・サービスの開発や、新しい市場への進出を支援する制度です。革新的新製品・サービス枠では、既存の製品・サービスの生産プロセスを改善するだけの事業は対象外と公募要領に書かれています。
| 項目 | 省力化補助金(一般型) | 新事業進出・ものづくり補助金 |
|---|---|---|
| 支援する取組 | 今の業務の省力化(オーダーメイド設備の導入) | 革新的な新製品・新サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、輸出体制の強化 |
| 補助上限額 | 750万〜8,000万円(特例で最大1億円) | 革新的新製品・サービス枠 750万〜2,500万円、新事業進出枠 2,500万〜7,000万円(特例でそれぞれ引き上げあり) |
| 建物費 | 対象外 | 新事業進出枠・グローバル枠で対象 |
| 成長の要件 | 労働生産性の年平均4.0%以上 | 付加価値額の年平均4.0%以上 |
| 事業実施期間 | 交付決定から14か月以内 | 革新的新製品・サービス枠 10か月以内、新事業進出枠・グローバル枠 14か月以内 |
選ぶときの目安は次のとおりです。
- 今の製品の作業時間や人手を減らしたい:省力化補助金(一般型)。カタログの製品で足りるならカタログ注文型
- 設備を入れて新しい製品・サービスを作る、新しい市場に出る:新事業進出・ものづくり補助金
- 工場の建屋も補助対象に入れたい:新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠・グローバル枠
同じ設備の費用を2つの補助金に重ねて計上することはできません。ものづくり補助金の枠ごとの要件は、次の記事で解説しています。

申請から効果報告までの流れ
一般型は、採択されて終わりではなく、設備の導入後も数年にわたって報告が続きます。
- 申請
- GビズIDプライムで電子申請。事業計画書を作り、加点項目を準備する
- 採択・交付申請
- 採択の後に交付申請を行い、交付決定を受ける
- 交付決定から14か月以内(採択発表から16か月以内)
- 設備の発注・導入・支払い(交付決定日以降に契約したものだけが対象)
- 事業完了後
- 実績報告を出し、確定検査を経て補助金が支払われる
- 事業計画期間(3〜5年)
- 効果報告で、労働生産性や賃上げの状況を報告する
外部の支援を受けて事業計画を作った場合は、申請画面の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に、支援者の名前と報酬の内容を記載します。記載がないことが分かった場合は、不採択や採択の取消しの対象になります。

よくある質問
カタログ注文型と一般型のどちらで申請すればよいですか?
入れたい設備がカタログに載っている製品そのものなら、カタログ注文型が対象です。自社の工程やレイアウトに合わせて周辺機器や機能を組み替える場合、汎用設備を組み合わせて省力化効果を高める場合は、一般型の対象になります。
省力化補助金とものづくり補助金は併用できますか?
国の他の補助金と補助対象経費が重なる事業は、補助対象になりません。同じ設備を両方の補助金で申請することはできず、過去や申請中の補助金の実績は応募時に入力が求められます。
工場の建屋も一緒に建てたいのですが、建物の費用は対象になりますか?
対象になりません。土地・建物・構築物の取得費用、建物と一体で切り離せない建物附属設備、設置場所の整備工事や基礎工事は対象外です。建物は自己資金や融資で用意し、機械装置の部分で申請する形になります。建物費を計上したい場合は、新事業進出・ものづくり補助金の新事業進出枠・グローバル枠を検討します。
申請を行政書士に頼んだ費用は、補助対象になりますか?
なりません。事務局に出す書類の作成・申請にかかる費用は、補助対象外です。
当事務所の強み:工程から省力化の効果を説明
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請は、当事務所が制度の選定から事業計画の作成支援、採択後の交付申請・実績報告・効果報告までお引き受けします。ご依頼の際に強みになる点は次のとおりです。
- 工程から省力化の効果を説明:元化学メーカー研究員として製造工程の改善に携わった経験から、作業工程のどこで何時間減るかを、設備の仕様に沿って事業計画に落とし込みます
- カタログ注文型・ものづくり補助金との選び分け:入れたい設備と建物の有無から、一般型・カタログ注文型・新事業進出・ものづくり補助金のどれで組むかを整理します
- FPの知見による資金計画:立替の期間と、賃上げの目標を守れる人件費の見通しを、資金計画として組み立てます
- 危険物・高圧ガスとの段取り:導入する設備が危険物や高圧ガスに関わる場合は、設置許可や届出の時期を、補助事業の期間と合わせて組みます
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

ご相談の際に、入れたい設備と、今その作業に何人・何時間かかっているかを伺えれば、一般型で組めそうかの見当をお伝えできます。
