工場の設備投資に使える補助金|機械装置費の範囲と制度の選び分け
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
工場の機械を入れ替える、生産ラインを増やす、検査工程を自動化する。こうした設備投資に補助金を充てられないかと考えたとき、最初の分かれ目になるのがその設備が「機械装置費」として計上できるかどうかです。
同じ設備でも、制度によって単価の要件が違います。中古が使えるかどうかも分かれます。古い機械を同じものに入れ替えるだけでは対象外になる制度もあります。ここを取り違えると、交付申請の段階でその設備が補助対象経費から外され、交付決定額が見込みを下回ることがあります。
工場の設備投資に使える補助金を検討するうえで、本記事では機械装置費に何を計上できるのか、設備でも対象外になるのは何か、そして投資の中身から2つの制度をどう選び分けるのかを整理します。
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制度ごとに違う機械装置費の条件
設備投資で使える主な制度は2つあり、機械装置費の条件が異なります。
| 項目 | 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
|---|---|---|
| 単価の要件 | 単価50万円(税抜)以上の設備を1つ以上(借用の経費は算入しない) | 1品目あたり単価10万円(税抜)以上 |
| 中古設備 | 対象外 | 条件付きで対象 |
| 単なる置き換え | 明文なし(生産性の要件で判断) | 対象外と明記 |
| 建物費 | 対象外 | 新事業進出枠・グローバル枠のみ対象 |
2つは性質が違います。省力化投資補助金の50万円は最低1つは50万円以上の設備を含めよという要件で、1品目ごとの下限ではありません。50万円以上のものが1つあれば、それ以外の機器が50万円を下回っていても計上する余地があります。逆に、小口の機器だけを積み上げた計画では要件を満たしません。この判定に借用(リース・レンタル)の経費は算入されませんが、リース会社との共同申請は扱いが異なると考えられます(よくある質問を参照)。
50万円の判定は支払った金額で見られます。省力化の実績報告の手引きは、振込手数料を先方負担にして税抜50万円を下回ると、他に50万円以上の設備がなければ補助金を受け取れないとしています。50万円をわずかに超える設備1台で要件を満たす計画では、支払方法まで確認しておくと安心です。
新事業進出・ものづくりの10万円は1品目ごとの足切りで、10万円以上のものであれば積み上げられます。

設備投資には補助金のほかに税制もあります。経営力向上計画による即時償却・税額控除、先端設備等導入計画による固定資産税の軽減は、補助金と検討の軸が違うため、あわせて見ておくと選択肢が広がります。


機械装置費に計上できるもの
公募要領は機械装置・システム構築費を3つに分けています。どちらの制度もほぼ同じ立て付けです。
- 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入、構築、借用に要する経費
- 1または2と一体で行う改良、据付けに要する経費(新事業進出・ものづくりはこれに運搬も並べています。省力化投資補助金も、購入時の機械装置の運搬料は機械装置費に含めるとしています)
自社で機械装置を製作する場合も、外部から買った部品の購入費は機械装置費に計上できます。ただし組み立てにかかる自社の人件費と、社内発注・社内製造による同一法人内の支払いは、どちらの制度でも対象外です。
対象かどうかは耐用年数省令の区分が基準になる
公募要領はどちらも減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)を基準に挙げ、機械及び装置/器具及び備品/工具を対象、船舶/航空機/車両及び運搬具を対象外としています。
対象外経費のリストにある「自動車等車両」についても、省力化投資補助金は「省令において『機械及び装置』に該当するものは補助対象です」と注を付け、新事業進出・ものづくりは「税法上の車両及び運搬具に該当しないものを除く」と括弧書きにしています。呼び名ではなく省令の区分で判断するという趣旨は共通していると読めます。
たとえば「フォークリフト」は、別表第一に車両及び運搬具の一項目として名指しで掲げられているため(耐用年数4年)、計上は難しいと考えられます。区分の判定に迷う設備は、顧問税理士に確認したうえで事務局に照会しておくと安心です。
設備でも対象外になるもの
機械装置であれば何でも計上できるわけではありません。対象外になりやすいものを挙げます。
中古設備は制度で扱いが分かれる
省力化投資補助金は「中古品購入費」を対象外経費として条件を付けずに挙げています。
一方、新事業進出・ものづくりは条件付きで認めています。
3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。
対象外経費の側は「その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費」を除外しており、問われているのは価格の適正性と読めます。「相見積もりを取得している場合等を除く」と末尾に「等」が付いていますが、明示されているのは相見積もりだけなので、古物商の許可を得た中古品流通事業者3者以上から、型式・年式入りの見積もりを揃えておくのが無難です。知り合いの工場から譲り受けるといった形は、この道筋には乗りにくいと考えられます。
単なる置き換えは対象にならない
新事業進出・ものづくりは「既存の機械装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外」と明記しています。
省力化投資補助金にこの文言はありませんが、労働生産性の年平均成長率4.0%以上という要件がかかるため、同じ能力の機械に入れ替えるだけでは要件を満たす計画を描きにくくなります。どちらの制度でも、更新によって何が変わるのかを説明できることが求められると考えられます。
汎用性のあるものは対象外
どちらも「汎用性があり、目的外使用になり得るもの」を対象外としていますが、挙げている例が同じではありません。
| 例として挙がっているもの | |
|---|---|
| 省力化 | 事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・スマートフォン・タブレット端末・カメラ・キュービクル・乗用エレベータ・家具(※本事業でのみ使用が可能なものを除く) |
| 新事業進出・ものづくり | 事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン・デジタル複合機・カメラ・書籍・家具家電等の購入費・レンタル費 |
キュービクル(受変電設備)と乗用エレベータが名指しされているのは省力化のほうです。受電容量を増やす工事を同補助金で見込んでいる場合は、資金計画の見直しが必要になる可能性があります。
デジタル複合機は逆で、省力化では対象になる機器の例に挙がっている一方、新事業進出・ものづくりでは汎用品として対象外の例に入っています。同じ機器でも制度をまたぐと扱いが分かれます。
省力化には「本事業でのみ使用が可能なものを除く」という但し書きがあり、補助事業以外に使いようがないと示せる設備なら計上できる余地があります。新事業進出・ものづくりにこの但し書きはありません。
このほか省力化投資補助金では、既存システムのバージョンアップ・改修費用(新規に導入するシステムと連携するための改修は対象)、導入する設備の試運転に伴う原材料費・光熱費も対象外です。再生可能エネルギーの発電設備とその附属設備は、どちらの制度でも対象外です。
据付けは対象・基礎工事は対象外
据付けの範囲はどちらの制度も定めており、省力化投資補助金の書き方が具体的です。
「据付け」とは、本事業で新たに購入する機械装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの(設置場所に固定等)に限ります。設置場所の整備工事や基礎工事は含みません。
機械を床に固定する程度の作業は対象、そのための基礎を打つ工事は対象外という線引きです。重量物を据えるための土間の打ち直しや、アンカーを打つための下地工事は、対象外の側に入ると考えられます。
設備業者から一式の見積りを取ると、対象と対象外が混ざった金額になります。後から分けるのは容易ではない場合があるため、「機械本体と軽微な据付け」と「整備工事・基礎工事」を分けて見積りを取ることを推奨します。
なお危険物施設や高圧ガス設備を伴う投資では、規模によって工事の前に設置許可が必要になり、完成検査を経なければ使用できない場合があります(危険物は指定数量以上の製造所等、高圧ガスは第一種製造者に当たる規模など)。公募要領が事前着手として挙げているのは交付決定前の契約(発注)等なので、許可の申請そのものはこれに当たらないと考えられます。採択を待つ間に進めておくと、スケジュールに余裕が出やすくなります。

建物を伴う設備投資の組み立て方
設備の設置に建屋の新築や改修が伴う場合、建物費を補助対象に含められるかどうかは枠によって決まります。
| 制度・枠 | 建物費 |
|---|---|
| 新事業進出枠 | 対象 |
| グローバル枠 | 対象 |
| 革新的新製品・サービス枠 | 対象外 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 対象外 |
対象になるのは建物の建設・改修が中心で(建物の撤去や、建物に付随する構築物は、建設・改修の経費とあわせて計上する場合に限られます)、単なる購入や賃貸は対象外です。建物費には入札または相見積もりが必要です。取得した建物を不動産賃貸等に転用することも認められておらず、転用した場合は残存簿価相当額等を国庫に返納する必要があります。
省力化投資補助金は、不動産の取得費用に加えてこれらを作り上げるための組み立て用部材と簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)も対象外としています。簡易建物は、新事業進出・ものづくりも購入費を対象外としています。
建物費が対象外の制度でも、建物は自己資金や融資で調達し、中に入れる機械装置だけを補助金で申請するという組み立ても考えられます。
どちらの制度も、補助金は原則として実績報告を経て補助金額が確定した後の精算払いです。設備代金と工事代金を先に自己資金で立て替える前提で、資金繰りを組んでおく必要があります。

どちらの補助金を選ぶかの目安
| 投資の内容 | 寄る制度 | 理由 |
|---|---|---|
| 中古設備を使う | 新事業進出・ものづくり | 省力化は中古品購入費を一律で対象外としている |
| 建物の建設・改修まで補助対象に入れたい | 新事業進出枠・グローバル枠 | 建物費が対象なのはこの2枠のみ |
| 単価50万円以上の設備が1つもない | 新事業進出・ものづくり | 省力化は50万円以上を1つ以上含めることが必須 |
| 通常のリース・レンタル中心で調達し、購入する設備に50万円以上のものがない | 新事業進出・ものづくり、またはリース会社との共同申請を検討 | 省力化の50万円要件に借用の経費は算入されない。共同申請はリース会社の購入費用が対象になる仕組み |
| 自社の工程に合わせて設計する省力化設備(SIerとの連携等) | 省力化 | 一般型はオーダーメイド設備が対象。労働生産性の年平均成長率4.0%以上が要件 |
| 既存設備を同型のものに更新するだけ | どちらも厳しい | 新事業進出・ものづくりは「単なる置き換え」を明文で対象外。省力化も生産性の要件を満たす計画を描きにくい |
経費の面での分岐は、中古・建物・単価構成・調達方法の4つでおおむね決まります。
なお省力化投資補助金(一般型)の対象は、事業者の業務に応じて専用で設計された設備(オーダーメイド設備)です。製品カタログの掲載品をそのまま導入する場合は対象にならず、周辺機器や構成・機能を導入環境に合わせて変える場合や、汎用設備を組み合わせてより高い効果を生み出す場合に限られます。
ここで見ているのは補助対象経費の範囲だけです。付加価値額や1人当たり給与支給総額の伸び、事業場内最低賃金の水準といった基本要件は別に満たす必要があり、新事業進出枠であれば新市場性・高付加価値性の説明も求められます。
よくある質問
中古の機械は補助対象になりますか。
制度によって分かれます。省力化投資補助金は中古品購入費を対象外経費に挙げているため、計上は難しいと考えられます。新事業進出・ものづくりは、3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から型式・年式の記載された相見積もりを取得している場合には対象になると明記しています。
フォークリフトは対象になりますか。
対象外になると考えられます。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一に、「車両及び運搬具」の一項目として「フォークリフト」が名指しで掲げられています(耐用年数4年)。車両及び運搬具はどちらの制度でも対象外です。迷う設備は顧問税理士に確認したうえで事務局に照会することを推奨します。
古くなった機械を同じものに入れ替える場合に使えますか。
新事業進出・ものづくりは「単なる置き換え」を対象外と明記しています。省力化投資補助金に同じ文言はありませんが、労働生産性の年平均成長率4.0%以上が要件になるため、更新によって処理能力や必要人員がどう変わるのかを数字で示せるようにしておくことが求められると考えられます。
リースで導入する設備は対象になりますか。
リース・レンタルは「借用」として計上できますが、交付決定後に契約したことが確認でき、かつ補助事業実施期間中に要する経費に限られます。契約期間が実施期間を超える場合は、按分等で算出した実施期間分のみが対象になります。
別の方法として、リース会社との共同申請というスキームもあります。この場合はファイナンス・リース取引に限られ(セール&リースバック・転リースは対象外)、対象になるのはリース会社が販売元に支払う購入費用で、事業者が支払うリース料そのものは対象外です。リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」の提出も必要で、どちらの制度も応募申請の段階で共同申請の利用を明らかにしておく必要があります。
なお省力化投資補助金の50万円要件の判定に借用の経費は算入されないため、通常のリース・レンタルで組む場合は、購入する設備でこの要件を満たせるかを先に確認してください。
受変電設備の増設工事は計上できますか。
省力化投資補助金では、対象外となる可能性が高いと考えられます。汎用性があり目的外使用になり得るものの例としてキュービクルが明記されています。「本事業でのみ使用が可能なものを除く」という但し書きはありますが、受変電設備は通常その工場全体に電気を送るため、補助事業でのみ使うと示すのは容易ではないと考えられます。
危険物施設の設置許可は、補助金の交付決定を待ってから申請すべきですか。
許可の申請そのものは、交付決定を待たずに進めてよいと考えられます。公募要領が事前着手として挙げているのは交付決定前の契約(発注)等で、許可の申請はこれに当たらないと読めるためです。ただし許可申請の手数料や手続きを依頼した費用は、補助対象経費として計上するのは難しいと考えられます(新事業進出・ものづくりは対象外と明記しています)。また申請に使う図面や仕様書を設備業者から取り寄せる段階が、発注と受け取られないようにしてください。
どの補助金・認定が使える? かんたん診断
当事務所の強み:見積書の仕分けと設備の許可の確認
設備投資に使う補助金の申請は、当事務所が制度の選定から事業計画の作成、採択後の手続きまでお引き受けします。
設備投資の補助金では、経費区分の判断と許認可のスケジュールが同時に走ります。
- 見積書の内訳を「機械本体と軽微な据付け」「整備工事・基礎工事」「対象外の設備」に仕分けし、どの制度なら計上できるかを検討します
- 単価の要件・中古の可否・置き換えの説明という3点から、省力化投資補助金と新事業進出・ものづくりのどちらを選ぶかを整理します
- 元化学メーカーの研究員として工場の設備に接してきた経験から、設備の仕様書を読んで危険物・高圧ガスの該当性を確認します
- 甲種危険物取扱者として、設置許可の要否と申請先を確認し、交付決定を待たずに進められる部分を切り分けます
- 完成検査の時期と補助事業実施期間を突き合わせ、実績報告に間に合う工程を組み立てます
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

ご相談の際に、投資額の内訳(建物と機械のおおよその額)を伺えれば、どちらの制度で組めるかの見当をお伝えできます。
