先端設備等導入計画の認定申請|中小企業が設備投資で固定資産税を減らす仕組み
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
設備投資では、取得した設備にかかる固定資産税の負担も考えることになります。先端設備等導入計画の認定を受け、賃上げ方針を従業員に表明するなどの要件を満たすと、新たに取得した機械・装置などの固定資産税の計算のもとになる額(課税標準)が3年間1/2に軽減されます。賃上げ方針が3%以上なら、5年間1/4への軽減です(令和7年4月1日〜令和9年3月31日に取得した設備。先端設備等導入計画 策定の手引き)。
補助金のような採択の競争がなく、要件を満たせば適用できる点が魅力です。補助金と併用が可能な場合もあるため、設備投資を検討中の中小企業は確認しておきたい制度です。
先端設備等導入計画とは
中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第52条に基づく制度です。中小企業が、労働生産性の向上につながる先端設備等(機械・装置・工具・器具・建物附属設備・ソフトウエア等)を導入する計画を作成し、市区町村の認定を受けることで税制優遇を受けられます。
認定を行うのは、国の「導入促進指針」に基づく「導入促進基本計画」について国の同意を受けた市区町村です。計画期間や対象設備は、市区町村の導入促進基本計画によって異なる場合があります。
適用対象と主な要件
認定を受けられる事業者の範囲と、計画が満たすべき条件を説明します。
対象事業者
計画の認定は、中小企業等経営強化法の定義による中小企業者が対象です。製造業であれば資本金3億円以下または従業員300人以下の会社・個人事業主が該当します。
固定資産税の特例を受けられるのは、そのうち「中小事業者等」に限られます。資本金1億円以下の法人(資本金のない法人は従業員1,000人以下)と、従業員1,000人以下の個人です。資本金1億円以下でも、大規模法人から2分の1以上の出資を受けている法人などは対象外です(先端設備等導入計画 策定の手引き)。資本金が1億円を超える会社は、計画の認定を受けても固定資産税の特例は受けられません。
計画の主な要件
先端設備等導入計画が認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
労働生産性の向上:計画期間(3〜5年)における労働生産性が年平均3%以上向上する見込みであること
賃上げ方針の表明(税制措置を受ける場合):従業員に支払う給与の総額(雇用者給与等支給額)を1.5%以上(5年間1/4の特例は3%以上)増加させる方針を従業員に表明し、その書面を添付すること
投資利益率(税制措置を受ける場合):年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることについて、認定経営革新等支援機関の確認を受けた投資計画に記載された設備であること
対象設備の種類
固定資産税特例の対象になる設備は、以下の類型です。
- 機械装置(1台または1セットあたりの取得価額が160万円以上)
- 工具(30万円以上)
- 器具備品(30万円以上)
- 建物附属設備(60万円以上。家屋と一体で課税されるものは対象外)
いずれも固定資産税の償却資産として申告する設備に限られ、取得価額の要件があるため、小額の周辺機器は対象外になる場合があります。
申請の流れ
設備取得の前から市区町村の認定取得後まで、4つのステップで進めます。
- 申請の前
- 認定経営革新等支援機関の確認(事前確認書・投資計画に関する確認書)、賃上げ方針の表明(税制措置を受ける場合)
- 申請
- 市区町村に計画書を提出
- 認定の後
- 設備を取得(認定前に取得した設備は対象外)
ステップ1:認定経営革新等支援機関の確認を受ける
計画の認定申請には、国が認定した「認定経営革新等支援機関」(商工会議所・商工会・金融機関・士業等の専門家など)による事前確認書が必要です。税制措置を受ける場合は、投資利益率の要件について投資計画に関する確認書も発行を受けます。
ステップ2:賃上げ方針を従業員に表明する
税制措置を受ける場合は、給与の総額を1.5%以上(または3%以上)増加させる方針を従業員に表明し、表明したことを証する書面を用意します。
ステップ3:先端設備等導入計画の作成・申請
市区町村に計画書を提出し、認定を申請します。主な記載事項は以下のとおりです。
- 事業者の基本情報(業種・従業員数・資本金等)
- 労働生産性の現状値と目標値・向上の根拠
- 賃金引き上げの方針
- 導入する設備の内容(種類・導入時期・金額)と資金の調達方法
- 導入スケジュール
ステップ4:市区町村の認定取得後に設備取得
設備は計画の認定を受けた後に取得することが必須です。経営力向上計画のように、設備取得後の申請を認める特例はありません。認定前に取得した設備は対象外になる点に注意してください。
補助金との組み合わせ
設備投資を伴う補助金の申請と並行して先端設備等導入計画の認定も取得することで、補助金と固定資産税特例の両方を活用できます。

※新事業進出・ものづくり補助金や持続化補助金の加点項目には含まれていません。

よくある質問
計画期間中に設備を売却・廃棄した場合はどうなりますか?
認定を受けた計画を変えるとき(設備の追加取得など)は、認定した市区町村の変更認定を受けます。設備の取得金額の若干の変更や代表者の交代など、計画の趣旨を変えない軽微な変更は変更申請が要りません(先端設備等導入計画 策定の手引き)。設備を売却・廃棄する場合の扱いは手引きに定めがないため、予定した時点で認定した市区町村に確認してください。
申請から認定まで何日かかりますか?
市区町村によって異なります。認定の前に取得した設備は対象にならないため(先端設備等導入計画 策定の手引き)、設備の発注・納期が決まった段階で、市区町村の窓口に認定までの期間を確認してください。
認定支援機関は必ず関与しなければなりませんか?
必要です。認定申請には認定経営革新等支援機関の事前確認書の添付が必要です。税制措置を受ける場合は、投資計画に関する確認書も必要になります(先端設備等導入計画 策定の手引き)。
当事務所の強み:FPと行政書士の知見による設備投資支援
先端設備等導入計画の認定申請は、当事務所が計画書の作成から申請までお引き受けします。
- FP(ファイナンシャルプランナー)の財務知識により、設備投資の費用対効果・資金計画の整合性確認が可能
- 補助金とのワンストップ申請に対応
- 設備投資に伴う危険物施設許可・高圧ガス届出など、許認可とのワンストップ対応も可能
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

「設備投資の計画はあるが、どの支援制度を活用すればいいかわからない」という段階からご相談ください。
