補助金のつなぎ融資|精算払いまでの資金ショートを防ぐ方法
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「補助金に採択された。これで資金の心配はない」と考えていませんか。補助金は原則として、事業が終わってから入金される後払い(精算払い)です。
設備の購入や工事の代金は、事業の実施中に先に支払います。入金はそのあと、実績報告と検査を経てからです。この間の支払いを自己資金だけでまかなえないと、事業の途中で資金が足りなくなるおそれがあります。
この立替期間を埋めるのがつなぎ融資です。この記事では、補助金が後払いになる仕組み、つなぎ融資の相談先、立替の負担を減らす方法を整理します。
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補助金が後払いになる仕組みと立替が必要な期間
補助金の入金が事業の終了後になるのは、制度の作りによるものです。まず、どの期間の資金が必要になるかを確かめます。
補助金適正化法が定める「実績報告→額の確定」の順番
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)は、補助事業が完了したときに実績報告書の提出を求めています(第14条)。そのうえで、報告書の審査や必要に応じた現地調査により、交付決定の内容に合っているかを確かめ、補助金の額を確定します(第15条)。
各補助金の公募要領も、この順番を前提にしています。たとえば省力化投資補助金の公募要領は、補助金の支払いを「原則として補助事業終了後に補助事業実績報告書の提出を受け、補助金額の確定後の精算払」としています。
自己資金で立て替える期間
補助金の流れと、立替が必要な期間は次のとおりです。
- 1採択・交付決定補助事業を始めてよい状態になる
- 2発注・支払い代金を自社で支払う
- 3実績報告成果と支払いの証拠を報告する
- 4額の確定・入金審査を経て補助金が入金される
立替は、設備や工事の代金を支払った時点で始まり、補助金が入金された時点で終わります。
2から4までの立替を埋めるのが、つなぎ融資です。補助金の額は補助率をかけた分だけなので、補助されない自己負担の部分は、最初から自己資金か借入でまかなうことになります。
持続化補助金・省力化投資補助金などの公募要領は、「借入金などの支払利息及び遅延損害金」を補助対象外の経費に挙げています。つなぎ融資の利息は、補助金では戻ってきません。
また、公募要領には、受け取った補助金は経理上、支払いを受けた事業年度の収入として計上し、法人税等の課税対象になると書かれているものもあります。資金計画には、利息と税金の分も見込んでおくことを推奨します。
つなぎ融資の主な相談先
つなぎ融資の相談先は、主に4つあります。それぞれ使える場面が異なるため、自社の状況とスケジュールに合わせて選びます。
メインバンク(地方銀行・信用金庫など)
すでに取引がある金融機関は、最初の相談先になります。採択が分かった段階で、補助金の内容と入金までの予定を早めに伝えておくと、相談を進めやすくなります。
日本政策金融公庫
国の政策金融機関で、小規模事業者や創業間もない事業者の相談先になります。
商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者は、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)を検討できる場合があります。対象は商工会議所等の長の推薦を受けた方で、無担保・無保証人、融資限度額2,000万円、返済期間10年以内(うち据置期間2年以内)です(日本政策金融公庫の案内)。
自治体の制度融資
都道府県や市町村が、金融機関・信用保証協会と組んで設けている融資制度です。利子や保証料の一部を自治体が補助する制度もあります。一方で、信用保証協会の保証を付けるため、保証料がかかります。
POファイナンス
POファイナンスは、補助金の交付決定を受けた事業者が、交付決定額を電子記録債権にし、これを担保としてつなぎ融資を受ける仕組みです。補助金は決済用の口座に振り込まれ、そのまま融資の返済に充てられます。
使えるのは、この仕組みに対応している補助金に限られます。対応する補助金は変わることがあるため、取り扱う事業者や金融機関の案内で確認してください。
つなぎ融資の申込みで求められる書類
必要な書類は金融機関によって異なります。参考に、日本政策金融公庫の事業資金の申込みで案内されている書類は次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 個人事業主 | 確定申告書(2期分)、企業概要書または創業計画書、本人確認書類、預金通帳の写し |
| 法人 | 確定申告書・決算書(2期分)、企業概要書または創業計画書、履歴事項全部証明書(6か月以内)、本人確認書類、預金通帳の写し、試算表(決算後6か月以上たっている場合) |
| 設備資金の場合 | 見積書 |
| 許認可が必要な業種 | 許認可証 |
許認可が必要な事業で許認可を取っていない、または期限が切れている場合は、融資の相談が先に進まないおそれがあります。補助金で設備を入れる時期と、許認可の取得・更新の時期が重なる場合は、順番に注意が必要です。
立替の負担を減らすほかの方法
つなぎ融資のほかにも、立替の負担を減らす方法があります。
リース会社との共同申請
省力化投資補助金や新事業進出・ものづくり補助金には、リース会社と共同で申請する仕組みがあります。補助金はリース会社に交付され、その分、事業者が支払うリース料が減額されます。設備の購入代金をまとめて立て替える必要がなくなります。
共同申請できるリース会社や条件は補助金ごとに決まっているため、申請する補助金の公募要領で確認してください。

事業の規模を資金に合わせる
補助金の上限額に合わせて事業を大きくすると、立替の額も大きくなります。手元の資金と借入の見込みから、無理のない事業規模を先に決めておくことが重要です。
よくある質問
補助金と資金繰りについて、よく寄せられる質問をまとめました。
補助金のつなぎ融資は、採択前でも相談できますか?
資金繰りの見通しとして、採択前から金融機関に相談しておくことはできます。POファイナンスは、交付決定を受けた補助金が対象です。
補助金の自己負担分も融資でまかなえますか?
借入でまかなうことはできますが、自己負担分は補助金では戻ってこないため、事業の収益から返済していくことになります。補助金でまかなわれる部分のつなぎ融資とは、返済の見通しの立て方が異なります。
つなぎ融資の利息は補助金の対象になりますか?
なりません。主な補助金の公募要領は、借入金の支払利息と遅延損害金を補助対象外の経費に挙げています。
日本政策金融公庫で補助金のつなぎ資金を借りられますか?
相談はできます。商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者であれば、無担保・無保証人のマル経融資を検討できる場合があります。条件は公庫の案内で確認してください。
当事務所の強み:補助金の申請と資金計画を一緒に考える
補助金の申請は、当事務所が申請書の作成から、入金までの資金計画づくりまでお引き受けします。
補助金は採択されて終わりではありません。交付申請、事業の実施、実績報告を経て入金されるまでの資金繰りを見通して、はじめて投資計画として成り立ちます。
- FPの知見による資金計画の整理:支払いの時期と入金までの資金の流れを整理し、自己資金で進めるか、借入を組み合わせるかを一緒に考えます。利息や税金を含めた負担が事業計画に対して無理のないものかも確かめます。
- 補助金の申請から実績報告まで対応:新事業進出・ものづくり補助金、持続化補助金などの申請支援から、採択後の交付申請・実績報告まで対応しています。
- 加点につながる認定と事前準備:補助金の加点につながる各種認定の取得や、GビズIDプライムの取得など、締切までに済ませておく手続きもあわせて整理します。




報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

入金までの資金が足りなければ、採択後に事業を進められなくなります。申請の時点から、入金までの資金計画も一緒に組み立てます。
