持続化補助金 第20回の変更点|賃金引上げ特例・ウェブサイト関連費・加点の注意点
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)の第20回公募は、2026年11月5日に申請受付が始まります。第19回から、賃金引上げ特例の要件やウェブサイト関連費の上限が変わりました。前回の情報のまま計画を立てると、要件を満たせなくなるおそれがあります。
チラシ作成や店舗改装、展示会出展、ウェブサイト構築など、販路開拓に関わる幅広い経費が補助の対象になります。一方で、特例の要件を一つでも満たせないと、補助金全体を受け取れない場合もあります。
この記事では、第20回公募(一般型 通常枠)の公募要領をもとに、変更点・対象者・補助上限額・特例・加点・申請から入金までの流れを、つまずきやすい点とあわせて解説します。
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持続化補助金 第20回公募で変わった点
第19回公募と比べた主な変更点は次のとおりです。補助上限額と補助率は変わっていません。
| 項目 | 第19回公募 | 第20回公募 |
|---|---|---|
| 賃金引上げ特例の要件 | 事業場内最低賃金を申請時より50円以上引き上げる | 従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上引き上げる |
| ウェブサイト関連費の上限 | 補助金交付申請額の1/4(最大50万円) | この経費に充てる補助金30万円(税込) |
| 加点 | ― | 重点政策加点に健康経営優良法人加点、政策加点に地域別最低賃金引上げ加点が加わった |
| 再申請 | ― | 第20回で採択された事業者は、状況報告(様式第14)の提出から、さらに1年が経過するまで再申請できない |
| 補助事業の実施期限 | 2027年6月30日 | 2028年3月31日 |
とくに賃金引上げ特例は、比べ方そのものが変わりました。詳しくは後の「補助上限額と補助率、2つの特例」で説明します。
持続化補助金は後払いで自己負担が必要
最初に押さえたいのは、支出と入金の時間差です。「採択されればすぐ入金される」と思われがちですが、実際の流れは異なります。
補助金は後払いです。事業者がいったん経費を全額支払い、事業完了後の実績報告と事務局の検査を経て、補助金の額が確定してから入金されます。公募要領にも「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」と明記されています。事業を進めている間の支払いは、手元資金でまかなう前提で計画を立てる必要があります。

小規模事業者の定義と補助対象外になる事業者
申請できるのは、業種ごとの従業員数の基準を満たす小規模事業者です。まず自社が対象に入るかを確かめます。
常時使用する従業員の数え方
業種ごとの基準は次のとおりです。
| 業種 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
常時使用する従業員は、労働基準法第20条に基づく「解雇の予告を必要とする者」を指します。日雇労働者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者は含みません。会社役員と同居の親族従業員も含みません。
補助事業が終わるまで小規模事業者である必要がある点にも注意が必要です(小規模事業者卒業加点を希望する事業者を除く)。
補助対象にならない事業者
次に当たる場合は、補助の対象になりません。
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接または間接に100%の株式を保有されている法人
- 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
- 医師・歯科医師・助産師、医療法人・宗教法人・学校法人・社会福祉法人、一般社団法人・一般財団法人など
- 申請時点で開業していない創業予定者
- 過去に持続化補助金で補助事業を行い、「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(様式第14)を出していない事業者
- 創業型に申請中または採択を受けている事業者(一般型 通常枠と同時には申請できません)
- 過去に「卒業枠」または「小規模事業者卒業加点」で採択を受けて補助事業を実施した事業者
補助上限額と補助率、2つの特例
一般型 通常枠の補助率は2/3、補助上限額は50万円です。2つの特例を使うと、上限額が上乗せされます。
- 通常枠50万円
- インボイス特例の上乗せ50万円
- 賃金引上げ特例の上乗せ150万円
- 両方の特例を使う場合250万円
インボイス特例だけなら100万円、賃金引上げ特例だけなら200万円です。
インボイス特例の要件
2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者が対象です。そのうえで、補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けている必要があります。過去にインボイス特例やインボイス枠で補助事業を行った事業者は対象外です。
賃金引上げ特例と赤字事業者の補助率
従業員1人あたりの給与支給総額を、年平均3.0%以上引き上げることが要件です。第20回公募では、補助事業の実施期限日(2028年3月31日)までの12か月と、その前年同月の12か月を比べます。そのため、補助事業の終了予定日を実施期限日に設定する必要があります。
比べる期間のどちらかに算定対象の従業員がいない月があると、1人あたりの給与支給総額を出せないため対象外です。賃金引上げ特例を選ぶと、政策加点の賃金引上げ加点も自動で適用されます。
このうち、直近1期(個人は直近1年間)の課税所得金額がゼロ以下の赤字事業者は、補助率が2/3から3/4に引き上がり、審査で赤字賃上げ加点も受けられます。
特例を希望して、補助事業の終了時点で通常枠や特例の要件を一つでも満たせない場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。
- インボイス特例:終了時点までに適格請求書発行事業者の登録を受けていない
- 賃金引上げ特例:1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増えていない、または実績報告までに従業員の退職などで算出できなくなった
特例は、事業期間中に確実に実行できる場合に限って選ぶことを推奨します。
持続化補助金の加点の選び方
審査では、事業計画の評価に加えて政策的な観点からの加点があります。加点は「重点政策加点」と「政策加点」からそれぞれ1種類、合計2種類までしか選べません。それを超えて選ぶと、加点審査の対象外になります。
| 区分 | 加点(第20回公募) |
|---|---|
| 重点政策加点 | 赤字賃上げ加点・事業環境変化加点・東日本大震災加点・くるみん・えるぼし加点・健康経営優良法人加点 |
| 政策加点 | 賃金引上げ加点・地方創生型加点・経営力向上計画加点・事業承継加点・過疎地域加点・一般事業主行動計画策定加点・後継者支援加点・小規模事業者卒業加点・事業継続力強化計画策定加点・令和6年能登半島地震等に伴う加点・地域別最低賃金引上げ加点 |
このうち、経営力向上計画と事業継続力強化計画は、事前に認定を受けておくことで選べる加点です。経営力向上計画は基準日までに認定を受けている必要があり、認定申請中では対象になりません。事業継続力強化計画は、申請受付締切日までに認定を受け、実施期間が終了していない必要があります。
認定には一定の審査期間がかかるため、公募の締切が近づいてから準備を始めても間に合わないことがあります。次の公募を見据えて、早めに取りかかることを推奨します。

補助対象経費の注意点(ウェブサイト関連費30万円・交付決定前の発注)
補助対象経費には、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費など8つの区分があります。つまずきやすいのは次の2点です。
ウェブサイト関連費は補助金30万円まで
ウェブサイト関連費は、この経費に充てる補助金交付申請額の上限が30万円(税込)です。ウェブサイト関連費だけでの申請はできず、ほかの経費と一緒に申請する必要があります。
50万円(税抜き)以上で作成・更新したウェブサイトは処分制限財産に当たり、補助金の受け取り後も一定期間、補助事業の目的外での使用や譲渡などが制限されることがあります。
交付決定前の発注・契約は補助対象外
交付決定より前に発注・契約・購入・支払いをした経費は、補助の対象になりません。例外は展示会等への出展の申込みで、これは交付決定前でも対象になります。

申請から入金までの流れとスケジュール
申請から入金までは、おおむね次の流れで進みます。
- GビズIDプライムのアカウントを取得する(電子申請に必須)
- 経営計画・補助事業計画をつくる
- 地域の商工会・商工会議所に「事業支援計画書」(様式4)の発行を依頼する
- 電子申請システムで申請する
- 採択後、見積書等の確認を経て交付決定を受ける
- 交付決定後に発注・契約し、事業を実施する
- 実績報告と事務局の検査を経て、補助金の額が確定する
- 補助金を請求し、入金される
- 事業終了の約1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(様式第14)を出す

第20回公募の主な期限
公募回ごとに期限は変わります。第20回公募の主な期限は次のとおりです。
- 2026年11月5日
- 申請受付開始
- 2026年12月4日
- 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切
- 2026年12月15日 17:00
- 申請受付締切
- 2027年3月頃
- 採択発表(予定)
- 2028年2月29日
- 見積書等の提出期限(過ぎると採択取消)
- 2028年3月31日
- 補助事業の実施期限
- 2028年4月10日
- 実績報告の提出期限(事業完了から30日を経過する日のほうが早ければその日)
- 事業終了の月の翌月から1年経過後:事業効果および賃金引上げ等状況報告書(様式第14)
様式4は、申請受付締切より前に発行受付が締め切られます。発行の際には、商工会・商工会議所が事業計画の内容や書類の過不足、特例の要件を確認します。商工会地区では窓口での面談もあり、社外の代理人だけで発行を依頼することはできません。訪問の前に連絡を入れ、余裕をもって依頼することを推奨します。
締切日時・補助上限額・特例の要件は公募回ごとに改定されます。申請の前に、最新の公募要領を補助金事務局のホームページで確認してください。
小規模事業者持続化補助金【一般型・通常枠】 補助金事務局(商工会地区)
専門家に依頼するときの注意点
この補助金は、小規模事業者が自ら経営計画を立てて販路開拓に取り組むことを支援するものです。専門家の支援を受けて申請することもできますが、次の点に注意が必要です。
- 第三者の支援を受けた場合は、支援料の有無にかかわらず、確認事項入力(様式2)にその相手方と金額を記載する(記載がないと虚偽の報告として不採択・交付決定取消になる)
- サービスの内容とかけ離れた高額なアドバイス料金を請求する業者に注意する
よくある質問
小規模事業者持続化補助金について、よく寄せられる質問をまとめました。
第20回の賃金引上げ特例の要件は何ですか?
補助事業の実施期限日(2028年3月31日)までの12か月と、その前年同月の12か月を比べ、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上引き上げることです。第19回までの「事業場内最低賃金を50円以上引き上げる」要件から変わりました。比べる期間に算定対象の従業員がいない月があると、特例の対象外です。
赤字でも小規模事業者持続化補助金に申請できますか?
できます。賃金引上げ特例を使う赤字事業者は、補助率が2/3から3/4に引き上がり、赤字賃上げ加点も受けられます。ただし、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上引き上げられないと、補助金全体が交付されない点に注意が必要です。
ウェブサイトの制作費だけで申請できますか?
できません。ウェブサイト関連費だけでの申請は認められておらず、ほかの経費と組み合わせる必要があります。ウェブサイト関連費に充てる補助金の上限は30万円(税込)です。
経営力向上計画の認定を申請中でも加点になりますか?
なりません。基準日までに認定を受けている必要があり、認定申請中の事業者は対象外です。事業継続力強化計画も、申請受付締切日までの認定が必要です。
以前に持続化補助金を受けた事業者も、また申請できますか?
申請できる場合があります。過去に採択された事業者は、事業終了の月の翌月から1年が経過し、「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(様式第14)を出し終えてから申請できます。第20回公募で採択された事業者は、この報告書を出し終えてから、さらに1年が経過するまで再申請できません。
当事務所の強み:資金計画の整理から採択後の手続きまで
小規模事業者持続化補助金の申請は、当事務所が経費と特例の整理から申請書の作成、実績報告までお引き受けします。
小規模事業者持続化補助金の申請で、当事務所がお役に立てる点は次の3つです。
- FPの知見による資金計画の整理:補助金は後払いのため、事業期間中の支払いをどう手当てするかが計画の実現性を左右します。FPの知見で、支払いの時期と入金までの資金の流れを整理し、無理のない事業規模を一緒に考えます。
- 加点につながる計画認定にも対応:経営力向上計画・事業継続力強化計画(BCP)の認定申請にも対応しています。次の公募を見据えて、加点に間に合う時期から逆算して準備を進められます。
- 採択後の手続きまで一貫してサポート:交付決定後の変更承認申請、実績報告、約1年後の事業効果等状況報告まで、補助金を受け取り終えるまでの手続きをサポートします。
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

公募要領が出る前に、経費の候補と使いたい特例が決まっていれば、要件に合うかを先に確かめられます。お気軽にご相談ください。
