試験・分析の委託費に補助金は使えるか|外注費の上限と、試験を減らす選択肢

試験・分析の委託費に補助金は使えるか|外注費の上限と、試験を減らす選択肢

新規の原料や材料を扱うとき、外部機関への試験・分析の委託費が重くのしかかります。安全性の試験、物性の測定、成分の分析。いずれも自社の設備では賄えず、専門機関に出すことになります。

試験・分析の委託費に使える補助金はないか、という相談につながる場面です。実際、国の補助金には外注費という経費区分があり、試験の委託費を計上できる場合があります。

ただし経費区分に載っているからといって、試験費用をそのまま全額計上できるわけではありません。契約の形式、事業計画書での説明、経費区分ごとの上限、そして発注の時期という4つの条件がかかります。とくに上限と時期は、試験が事業の中心にある場合に効いてきます。

本記事では、試験・分析の委託費がどの制度で対象経費になるのかを整理したうえで、補助金で賄いきれない場合に、試験そのものを減らす制度も併せて示します。

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試験・分析の費用が対象経費になる制度

まず確認すべきは、試験や検査が経費区分の定義に含まれているかどうかです。制度によって書きぶりが異なります。

制度経費区分定義に含まれるもの
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(検査・加工・設計等に係る)外注費「補助事業遂行のために必要な検査等・加工や設計等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費」
中小企業省力化投資補助金(一般型)外注費「専用設備の設計等の一部を外注する場合の経費」
小規模事業者持続化補助金委託・外注費他の区分に該当しない経費で、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託・外注する経費

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、区分名そのものが「検査・加工・設計等に係る外注費」で、定義にも「検査等」が明記されています。試験・分析の委託を想定した書きぶりで、この用途ではもっとも素直に使える制度です。

一方、省力化投資補助金の外注費は「専用設備の設計等」に限定されています。設備導入による省人化を支援する制度で、機械装置・システム構築費を必須とする構成です。試験や分析の委託費は、この制度では計上できません。

持続化補助金で試験費用を計上する場合、受け皿は委託・外注費に限られます。新商品の試作開発を見る新商品開発費は「原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工」と列挙していて、検査や試験は挙がっていないためです。検査等を定義に明記している新事業進出・ものづくり補助金とは、ここが対照的です。

そのうえで、持続化の委託・外注費には他の制度にない限定が付きます。

補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります)

公募要領はこの条件を狭く解しており、「デザイン会社によるデザインの外注など、補助事業者が通常事業として実施している業務については、自ら実行することが困難な業務に含まれません」と続きます。自社に分析設備があり、普段から自社で測定している項目を外部に出す場合、この条件に引っかかる余地があります。自社にない設備・技能を要する試験かどうかが分かれ目になります。

なお持続化では、契約書等に委託内容と金額を詳細に明記し、成果物等が補助事業者に帰属することも求められます。試験の委託であれば試験報告書が成果物にあたるため、報告書の帰属が委託先に残る契約になっていないか、確認しておくことを推奨します。

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外注費として計上するための条件

区分に該当しても、手続きの要件を満たさなければ認められません。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、外注費について複数の条件を置いています。

形式面では次の2つが求められます。交付審査で必要性が認められなければ、採択後でも削られます。

​外注費に計上するための条件
  • 外注先との書面による契約の締結
  • 事業計画書に外注先の概要と選定理由を具体的に記載すること

後者は形式的な記載では足りません。公募要領は「交付審査において必要性が認められない場合は、補助対象外となる場合があります」と明記しています。なぜその試験が必要か、なぜその機関に出すのかを説明できなければ、採択後の交付申請で削られる可能性があります。

経費区分ごとの上限

ここが試験・分析でもっとも効く制約です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、経費区分ごとに補助対象経費の総額に対する比率で上限が設定されています。公募要領では次のように定められています。比率は公募回によって変わることがあるため、申請の際は最新の公募要領で確認してください。

経費区分補助上限額
外注費補助対象経費総額(税抜き)の4分の1
技術導入費同 3分の1
知的財産権等関連経費同 3分の1
専門家経費同 5分の1

試験の委託費を計上する外注費は、この4区分のなかでもっとも枠が狭く置かれています。外注費だけで事業を組み立てることはできない構造です。比率は公募回ごとに示されるため、申請時にその回の公募要領で確認してください。

試験費用が高額になるほど、この上限に収まらなくなります。新規化学物質の届出に必要な試験のように、試験そのものが高額になる場合、外注費の枠だけでは到底足りません。設備投資や原材料費と組み合わせて事業全体を設計し、その一部として試験費用を位置づける必要があります。

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支出先の重複禁止

もう一つ、見落としやすい制限があります。技術導入費・外注費・専門家経費の支出先に、同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできません。

同じ機関に試験を委託し、あわせて技術指導も受ける、という組み立てはできないということです。試験は外注費、指導は専門家経費、と分けたつもりでも、支出先が同じであれば認められません。

専門家に技術指導を受ける場合

学識経験者から助言を受ける費用は、外注費ではなく専門家経費の区分になります。事業計画書には専門家の略歴と、技術指導が必要不可欠である理由を具体的に記載することが求められます。

謝金の額には2つの決め方があります。ひとつは資格・職種ごとの単価に収める方法で、公募要領では大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師が1日5万円以下、准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータが1日4万円以下、それ以外が1日2万円以下です。もうひとつは、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得する方法で、こちらなら単価表の区分を超えられます。ただしどちらの場合も1日1人あたり5万円が天井です。単価は人日あたりなので、事業全体の歯止めは前述の5分の1の比率が担っています。

対象外になる費用

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、外注費として認められないものも列挙しています。

費用扱い
外注先による機械装置・システム等の購入対象外
外部に販売・レンタルするための量産品の加工の外注対象外
申請者自身が行うべき手続きの代行対象外
機械装置・システム等の製作の外注機械装置・システム構築費に計上
専門家経費・技術導入費に該当する経費それぞれの区分に計上

補助金の応募書類や実績報告書の作成・手続きに係る費用は、補助対象になりません。持続化補助金の手引きが明記しているほか、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金でも「事業計画書の作成支援者に対する経費は、専門家経費の対象外」と定められています。

発注の時期という制約

区分と金額の条件をクリアしても、もう一つ越えるものがあります。時期です。

公募要領は事前着手を禁じています。

交付決定日より前に補助事業に係る製品の購入や役務の提供に係る契約(発注を含む)等した経費は、補助対象になりません

あわせて「補助事業実施期間内に、契約(発注)、納入、検収及び支払等のすべての手続きが完了すること」も求められます。実施期間は枠によって交付決定から10か月以内または14か月以内です。

試験を発注できる期間
  1. 採択
  2. 交付決定
  3. 実施期限交付決定から10か月または14か月以内
発注すると対象外(事前着手)
発注から支払いまでを終える期間

試験の期間が長いほど、この2つに挟まれます。化審法の通常届出では、分解度試験・濃縮度試験・染色体異常試験・28日間反復投与毒性試験といった資料を揃えることになり、数か月単位の期間がかかります。採択を待ってから発注すれば実施期間内に終わらず、先に発注すれば事前着手で対象外。試験を主役に据えた申請が組みにくい理由は、金額より時間にあります。

試験そのものを減らす選択肢

補助金で賄いきれないのであれば、次は試験の量を減らす方向です。化審法には、通常届出の試験を回避または圧縮する確認制度が置かれています。

制度根拠要件の目安
少量新規化学物質の確認化審法第3条第1項第5号一事業者の製造・輸入予定数量が年間1トン以下。あわせて、その数量から算出される環境排出数量の全国合計も年間1トン以下であることが前提
低生産量新規化学物質の確認化審法第5条第4項年間10トン以下。低生産量新規化学物質としての判定の通知を受けていることが前提
中間物等の事前確認化審法第3条第1項第4号中間物・閉鎖系等用途・輸出専用品
低懸念高分子化合物(PLC)の事前確認化審法第3条第1項第6号高分子化合物のうち、分子量や安定性等の要件を満たすもの

安衛法にも同じ構造があります。新規化学物質の届出は、一の事業場における年間の製造量・輸入量が100キログラム以下であれば、確認を受けて免除されます(法第57条の4第1項ただし書・施行令第18条の4)。化審法の少量新規が自社の数量に加えて全国の環境排出数量まで見るのに対し、安衛法は事業場ごとの数量だけで決まります。枠の考え方が異なる点に注意が必要です。

高額な試験費を一部補助してもらう話と、試験が要らない枠に乗せる話では、後者のほうが金額の効き方も確実性も上です。製造量や輸入量が立ち上がる前の段階であれば、まず枠に収まるかどうかを確認するほうが、順序として自然だと思います。

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よくある質問

法令上の届出に必要な試験の費用も、補助対象になりますか。

経費区分の定義には「補助事業遂行のために必要な検査等」とあり、試験の目的が届出であることをもって直ちに対象外となる規定は見当たりません。ただし事業計画書で必要性を説明できることが前提です。その試験が補助事業の遂行にどう必要なのかを、事業の内容と結びつけて記載する必要があります。なお「申請者自身が行うべき手続きの代行に係る経費」は対象外とされているため、試験そのものの費用と、届出書類の作成を代行してもらう費用は区別して考えることになります。

試験費用だけで補助金に申請できますか。

難しいと考えられます。理由は2つあります。ひとつは、外注費に補助対象経費の総額に対する上限比率(4分の1)が置かれていること。もうひとつは、機械装置・システム構築費が枠ごとに必須であることです。革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須、新事業進出枠とグローバル枠では建物費とのいずれかが必須です。設備投資や原材料費など、他の区分と組み合わせて事業全体を設計する必要があります。試験を目的に補助金を探すのではなく、事業計画のなかで試験がどう位置づくかから考えることを推奨します。補助金で賄いきれない場合は、試験そのものを減らせないかを先に確認する方法もあります。

試験を委託した機関から、あわせて技術的な助言も受けたいのですが。

技術導入費・外注費・専門家経費の支出先に同一の事業者を含めることはできません。試験の委託先と技術指導の依頼先は分ける必要があります。同じ機関にまとめたほうが効率的に見えても、経費区分をまたいで同一の支出先に支払うことは認められていません。

当事務所の強み:試験の要否の判定から経費の整理まで

試験・分析の委託費を含む補助金の申請は、当事務所が経費の整理から申請書の作成までお引き受けします。

試験費用のご相談で本当に効くのは、補助金の区分の議論よりも、その試験が本当に必要かどうかの判定です。そのうえで、必要な試験を事業計画のなかにどう位置づけるかを組み立てます。

  • 試験項目が法令上どの手続きに紐づくのか(化審法の届出、安衛法の有害性調査、化粧品の安全性確認など)を整理します
  • 試験を減らせる枠(少量新規・低生産量新規・中間物等事前確認・PLC確認)に乗るかどうかを、年間の製造量・輸入量の計画から判定します
  • 元化学メーカーの研究員として製品開発に携わった経験から、試験の目的と項目の対応関係を読み解き、事業計画書に落とし込む部分をお手伝いします
  • 外注費・技術導入費・専門家経費のどの区分に振り分けるかを整理し、支出先の重複が生じないよう設計します
  • 試験のスケジュールと補助事業実施期間を突き合わせ、交付決定後に発注できる順序を組み立てます
  • 試験結果が出た後の届出・申出まで、同じ担当者が続けて対応します

報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

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これから取ろうとしている手続きの名称と、年間の製造量・輸入量の見込みを伺えれば、補助金に乗せられるのか、試験を減らせるのかの見当をお伝えできます。まずはご相談ください。

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