大阪市の積替え保管施設の事前協議|指導要綱の基準と承認・許可までの流れ
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
大阪市内に産業廃棄物の積替え保管施設を設けて収集運搬業の許可を取るには、許可申請の前に大阪市環境局との事前協議が必要です。大阪市は政令市なので、大阪府の事前協議の指針・様式ではなく、市の条例と「大阪市産業廃棄物の処理施設設置等に関する指導要綱」で手続きを進めます。
大阪市の手続きは、事前協議のあとに住民への説明会と事業計画の承認があり、承認を受けてから工事、その後に許可申請という順番です。大阪府の区域とは順番が違い、承認書の交付の前には工事に着手しないことが要綱で求められています。
大阪市の事前協議の流れ、要綱の立地と構造の基準、事前相談で確かめたいことを整理します。
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大阪市の積替え保管施設の事前協議から許可までの流れ
大阪市では、積替え保管施設を設置しようとする者は、あらかじめ市長に協議しなければなりません(大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する条例〔以下「市条例」〕第23条の7第1項第1号)。市の資料「事前協議から許可取得までの流れ」に沿うと、次の8段階になります。
- 最初に
- 事前相談計画の内容を大阪市環境局に相談する
- 次に
- 事前協議書の提出第1号様式に添付書類を付けて出す(市条例第23条の7第2項)
- 協議が整ったら
- 説明会開催計画書の提出説明会の日時・場所・関係住民等の範囲などを出し、住民に周知する(市条例第23条の8第3項)
- その後
- 説明会の開催最後の説明会の翌日から2週間、住民は意見書を出せる。出されたら見解書を送る(市条例第23条の9・第23条の10)
- 説明会の後
- 事業計画書の提出説明会報告書・意見書・見解書を添付する(市条例第23条の11)
- 審査の後
- 事業計画承認書の交付有効期間は交付から1年(指導要綱第8条・第9条)
- 承認の後
- 工事承認書の交付を受けてから着手する(指導要綱第10条)
- 工事の後
- 許可申請審査・現場確認はおおむね2か月
大阪市では、事業計画承認書の交付を受けてから施設の工事に着手し、承認書の有効期間(1年)の中で許可申請を出す段取りになります。承認の前に工事をしたり、承認から1年を過ぎたりしないよう、工事と申請の日程を逆算して組むことが大切です。有効期間は、正当な理由があれば申し出により延ばせる場合があります(指導要綱第9条ただし書き)。
市は事業計画書を受け取ると、説明会報告書や意見書の内容を踏まえて、事業計画書の修正や説明会の再度の開催を指導できます(市条例第23条の12)。説明会での住民の反応が、その後の計画に影響することがある点に注意が必要です。
説明会の進め方(説明の範囲・周知の方法・意見書と見解書)は、次の記事で詳しく説明しています。

大阪市の指導要綱の基準|立地(別表1)と構造(別表2)
事前協議で協議するのは、要綱の別表1(立地等の基準)と別表2(構造等の基準)です(指導要綱第4条第1項)。廃棄物処理法の積替え・保管の基準より細かい内容が含まれます。
立地等の基準(別表1)
計画地そのものの条件です。物件を決める前に確かめておきたい項目が並びます。
| 事項 | 要綱の基準 |
|---|---|
| 立地 | 都市計画法の準工業地域・工業地域・工業専用地域内であること |
| 周辺の状況 | 敷地境界から100m以内に学校・病院・図書館・隣接する居住世帯がある場合は、適正な対策をとること(積替え保管施設は建設廃棄物を扱う者に限る) |
| 搬入・搬出の道路 | 幅員6m以上で、車両の通行で周辺に著しい影響を及ぼさないこと |
| 計画地の面積 | 積替え保管施設は、建設廃棄物を扱う場合600㎡以上、それ以外の産業廃棄物は300㎡以上 |
| 駐車・待避・緑化 | 計画地内に車両の駐車・待避の場所があること。緑化に努めること |
| 関係法令 | 他の法令の適用を受ける場合は、関係機関との協議等が終わっていること |
建設廃棄物は、建設工事に伴って生じる廃プラスチック類・紙くず・木くず・繊維くず・ゴムくず・金属くず・ガラスくず・がれき類・建設汚泥をいいます(指導要綱第2条第3号)。建設廃棄物を扱うかどうかで、計画地の面積と周辺の状況の基準が変わります。
構造等の基準(別表2)
施設と管理の体制の条件です。主な項目は次のとおりです。
- 建屋:雨水の流入や飛散・流出を防げる密閉構造型の建築物(倉庫など)の中に設置すること(保管施設自体が完全密閉型など、支障がない場合を除く)
- 作業床:コンクリートなど、地下への浸透を防ぐ材料で、荷重に耐える強度があること
- 囲い:計画地の周囲に、関係者以外の立入りを防ぐ囲いと施錠できる門扉があること
- 飛散・流出等の防止:必要に応じて散水・集じんなどの設備。搬出入車両の粉じん対策として洗車装置(タイヤ洗浄装置を含む)を設けるなどの対策
- 騒音・振動:低騒音・低振動型の設備・機材を使うなどの対策
- 保管施設:搬入・搬出の量と頻度を考えた十分な容量。容器を使わず囲いに荷重がかかる場合は安全な側壁。必要に応じて種類・搬出先ごとの仕切り
- 事故の防止:必要に応じて自動火災報知設備・消火設備など
- 管理体制:計画地に管理責任者と常駐できる事務所など。事故のときの緊急連絡体制
保管施設の容量は、廃棄物処理法の保管上限(1日の平均的な搬出量の7日分)とあわせて見られます。計算の仕方は次の記事で説明しています。

事前協議書と添付書類|大阪市の様式で求められるもの
事前協議書には、計画の中身を示す事項と、それを裏付ける書類を付けます(大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する規則〔以下「市規則」〕第33条)。
事前協議書に書く主な事項は、処理が他人から受託したものかどうか、保管できる産業廃棄物の数量、施設の構造と設備の概要、計画地の面積と用途地域、計画地の権利関係、搬入・搬出の経路の幅員、生活環境の保全のための措置の概要です(市規則第33条第1項)。
- 計画地の付近の見取図
- 付近の土地の利用状況を示す書類
- 主要な道路からの搬入・搬出の経路図
- 施設と附帯する設備の配置図
- 施設と建築物などの構造物の概要
- 処理工程図と生活環境の保全のための措置
- 処理能力(保管できる量)の計算書
- 計画地や建物の所有者に設置を説明したことを示す書類(所有していない場合)
添付書類は市規則第33条第2項の各号です。事業計画書の段階では、これに加えて平面図・立面図・断面図・構造図・設計計算書、計画地と建物の登記事項証明書、維持管理と保守点検の書類などが求められます(市規則第33条の5第3項)。
大阪市の事前相談で確かめたいこと
事前協議書を出す前の事前相談は、要綱の基準を自分の施設にどう当てはめるかを確かめる場です。当事務所が同席した大阪市の事前相談で分かったことを、一般化してお伝えします。
要綱の文言と施設の実情が合わない点は、図と事実で示して相談する
要綱の文言どおりに読むと満たさないように見える点でも、施設の実情によっては足りると判断されることがあります。たとえば次のような例がありました。
- 計画地の周囲の囲いと門扉:建屋が壁で囲われ、出入口のシャッターを施錠でき、誰でも入れる状態でなければよいとされた
- 計画地の事務所:計画地の外でも、道路を挟んですぐ隣の事業所の事務所で管理する形でよいとされた(遠く離れた事務所では難しい)
どちらも、事前相談の前の電話では「文言どおりに必要」という答えでした。図面と現地の状況を持って対面で相談したことで、具体的な当てはめを聞けました。ただし、判断は施設ごと・担当者ごとに変わりうるもので、同じ答えが得られるとは限りません。
事前相談では、答えを「できる・できない」ではなく「どう直せば足りるか」の形でもらうようにしています。費用のかかる工事の話は、その場で約束せず、持ち帰って事業者の方と相談します。
大阪市以外の積替え保管施設|大阪府内の指定都市・中核市
大阪府内でも、施設のある市によって、許可を出す自治体と事前協議の手続きが変わります。大阪市の要綱の基準は、ほかの市にはそのまま当てはまりません。
大阪府内で、積替え保管施設の許可をその市が出すのは、大阪市・堺市・東大阪市・高槻市・豊中市・枚方市・八尾市・寝屋川市・吹田市の9市です(指定都市と中核市。廃棄物処理法施行令第27条第1項)。施設がこの9市にあれば、その市の「積替え保管あり」の許可が要ります。大阪府の事前協議取扱指針は、この9市の区域を除く府の区域が対象です(指針第2条)。
- 大阪市以外の8市に施設を置く場合:事前協議の手続きがあるか、要綱などの基準があるかを含めて、その市の窓口に確かめます
- 9市以外の府内の市町村に施設を置く場合:大阪府の事前協議取扱指針と、大阪府循環型社会形成推進条例の手続きになります
どの自治体の許可が要るかは、積み込み・荷降ろしの場所と施設の場所の組み合わせで決まります。


よくある質問
大阪市の積替え保管の事前協議に、大阪府の事前協議書の様式は使えますか?
使えません。大阪市内の施設は、大阪市の市条例と指導要綱による手続きで、事前協議書は指導要綱の第1号様式です。大阪府の事前協議取扱指針は、指定都市と中核市(施行令第27条第1項の市)の区域を除く府の区域が対象です(指針第2条)。
大阪市の事業計画承認書の有効期間を過ぎたらどうなりますか?
承認書の有効期間は交付から1年です(指導要綱第9条)。正当な理由があれば、申し出により市長が延ばせる場合があります。工事や許可申請が遅れそうなときは、期限の前に環境局へ相談することを推奨します。
大阪市の積替え保管施設に、建設廃棄物以外を扱う場合も600㎡が必要ですか?
要綱の計画地の面積の基準は、建設廃棄物を扱う積替え保管施設が600㎡以上、それ以外の産業廃棄物が300㎡以上です(別表1)。扱う品目に建設廃棄物が含まれるかで基準が変わります。
当事務所の強み:大阪市の事前相談から承認・許可まで同席と書類で支援
大阪市の積替え保管施設の手続きは、当事務所が事前相談から許可申請までお引き受けします。
- 事前相談・協議への同席:要綱の基準の当てはめを、図面と現地の事実で環境局に確かめます
- 事前協議書と添付書類:配置図・処理工程図・保管の量の計算書などを作り、市の指摘に合わせて直します
- 説明会と事業計画:説明会開催計画書・配布資料・見解書・説明会報告書・事業計画書をまとめます
- 化学の知見:元化学メーカー研究員として、扱う廃棄物の性状に応じた保管と、積替え保管と中間処理の境目を整理します
施設の平面図・構造図・設計計算書と工事は、設計者・施工業者の方と分担して進めます。

大阪市内の候補地の住所と、扱う廃棄物の種類が分かった時点でご連絡ください。要綱の立地の基準に合うかを確かめ、承認書の期限から逆算した段取りをお伝えします。
