産業廃棄物収集運搬業許可の申請|費用・期間・要件とつまずきやすい点
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「取引先から、産廃の運搬を頼むなら許可証の写しを出してほしいと言われた」「新しく産廃の運搬を請け負いたいが、いつから始められるのか」。産業廃棄物収集運搬業許可(産廃収集運搬業の許可)の申請は、こうした場面で必要になる手続きです。
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第14条第1項の許可は、審査の標準処理期間だけで60日かかります。この期間に書類の補正にかかる期間は含まれず、申請の前には講習会の受講も必要です(大阪府の許可の手引き)。準備の順番を誤ると、さらに後ろへずれます。
この記事では、大阪府などの手引き(令和8年4月)をもとに、許可が要るかどうか、取得までの段取り、要件のうち止まりやすい点、大阪府内の申請先と申請の費用を順に解説します。対象は積替え・保管を含まない収集運搬業です。
産業廃棄物処理業(積替え・保管を含まない収集運搬業)の許可申請手続き/大阪府ホームページ
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産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になるケース
他人の産業廃棄物の収集・運搬を業として行う場合に、許可が必要になります(廃棄物処理法第14条第1項)。許可を受ける先は、産業廃棄物の積み込みと荷下ろしを行う区域を管轄する都道府県知事等です。
同項ただし書により、次の場合は許可が不要とされています。
- 排出事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合
- 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙・くず鉄・空きびん類・古繊維)のみを扱う場合
許可を受けずに産廃の収集・運搬を業として行うと、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり)の対象になります(廃棄物処理法第25条第1項第1号)。また、運搬を委託する排出事業者は、委託契約書に運搬業者の許可証の写しを添付しなければなりません(施行規則第8条の4第1号)。取引先から許可証の写しを求められるのは、このためです。
積替え・保管を行う場合は、申請の区分や必要な書類が異なります。

許可申請から取得までの期間と段取り
許可が下りるまでには、審査の期間のほかに「講習会の受講」と「書類の不備による補正」の期間がかかります。事業を始めたい日から逆算して、次の順に進めます。
- 最初に
- 講習会の予約
- 講習会まで
- 車両・保管場所の確保、申請先の決定、申請書と添付書類の準備
- 講習会の修了後
- 修了証を添えて申請・手数料の納付(大阪府の新規は81,000円)
- 申請から60日(標準)
- 書類審査。不備があれば補正を求められ、必要に応じて現地確認
- 許可証の交付後
- 車両の表示と書面の備え付けを整えて営業開始
標準処理期間の60日には、書類の不備を補正する期間は含まれません。添付書類は、役員全員分の書類や決算書、車両の書類など多岐にわたり、不備があれば補正を求められます。
- ご依頼者にお願いすること:講習会の受講(代表者・役員などご本人が受ける必要があります)、運搬車両の用意、決算書などお手元の書類のご提供
- 当事務所が行うこと:申請先と必要な許可の判定、講習会の日程から逆算したスケジュールの作成、申請書と添付書類の作成、窓口との事前相談・申請・補正への対応
- 複数の府県にまたがる場合は、共通する書類を使って並行して申請します
許可の要件のうち止まりやすい4つの点
許可の要件は、廃棄物処理法第14条第5項に定められています。第1号が施設と申請者の能力(細目は施行規則第10条)、第2号が欠格要件です。実務で申請が止まりやすいのは、次の4つです。
運搬車両と保管場所の要件
産業廃棄物が飛散・流出せず、悪臭が漏れない運搬車両や容器を持っていることが求められます(施行規則第10条第1号イ)。大阪府などの手引きでは、次の点が確認されます。
- 車検証の使用者が申請者と同じであること(異なる場合は車両の貸借に関する証明書で使用の権原を示す)
- 他の事業者が登録している車両ではないこと
- 車両の保管場所を確保していること
- 申請者と車両の運転者との間に雇用関係があること
手引きでは、次の運搬は申請を認めていません。
- 塵芥車(パッカー車)での、がれき類・石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等の運搬
- 車検証に「土砂等禁止」と記載のある車両での、がれき類・鉱さい・石炭がら等の運搬
講習会の受講と修了証の有効期限
産業廃棄物の収集・運搬を的確に行うに足りる知識と技能が求められ(施行規則第10条第2号イ)、講習会の修了証で示します。講習会は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)などが実施しています。
受講するのは、法人なら代表者・役員・政令で定める使用人(支店などの代表者)のいずれか、個人なら本人または政令で定める使用人です。修了証には有効期限があります。
- 新規・変更の許可申請:申請時点から数えて、修了日が過去5年以内
- 更新の許可申請:現在の許可の有効期間の満了日から数えて、修了日が過去5年以内(優良認定を受けている場合は過去7年以内)
経理的基礎と債務超過のときの追加資料
収集・運搬を的確に、かつ継続して行うに足りる経理的基礎が求められます(施行規則第10条第2号ロ)。手引きの基準は、「少なくとも債務超過の状態でなく、かつ持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがある」ことです。
直近の決算書で債務超過になっていても、それだけで不許可になるわけではありません。大阪府への申請では、次のような追加資料で経営の継続性を説明します。
- 経理的基礎に関する申立書
- 大阪府税に未納がない旨の証明書(大阪府内に事業所がある場合)
- 消費税等の納税証明書
- 直前3年分の販売費及び一般管理費・売上原価または製造原価の内訳(法人の場合)
追加資料は申請先によって異なります。事前に各窓口へ相談するよう、手引きでも案内されています。
赤字や債務超過の決算でも、それだけで不許可になるわけではありません(大阪府の手引き)。決算書を見ながら、経理的基礎に関する申立書で何をどう説明するかを一緒に組み立てます。
欠格要件の確認
申請者本人のほか、法人の役員、発行済株式の5%以上を持つ株主・出資者、政令で定める使用人も確認の対象です(廃棄物処理法第14条第5項第2号)。手引きによると、審査では警察本部などの関係機関への照会も行われます。主な欠格要件は次のとおりです。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるなどした日から5年を経過しない者
- 廃棄物処理法などの規定に違反し、罰金刑に処せられて5年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
大阪府内の申請先と許可申請の費用(手数料)
大阪府内では、運搬の範囲によって申請先が変わります。申請先を誤ると、受け付けてもらえず準備がやり直しになります。
| 申請先 | 対象になるケース |
|---|---|
| 大阪府知事 | 運搬の範囲が一の政令市等の区域を越える場合 政令市等以外の地域(茨木市・門真市など)のみで完結する場合 |
| 政令市長等 | 一の政令市等の区域内のみで完結する場合 |
大阪府内の政令市等(保健所設置市)は、次の9市です。
- 大阪市
- 堺市
- 東大阪市
- 高槻市
- 豊中市
- 枚方市
- 八尾市
- 寝屋川市
- 吹田市
他の都道府県で積み込みや荷下ろしをする場合は、その都道府県知事等の許可も必要です。例えば大阪府で積み込み、兵庫県で荷下ろしをする場合は、大阪府と兵庫県の両方に申請します。道路を通過するだけの自治体の許可は不要です。
大阪府の申請手数料は次のとおりです。このほかに、講習会の受講料や、登記事項証明書などの証明書を取る費用がかかります。
| 申請の種類 | 産業廃棄物収集運搬業 | 特別管理産業廃棄物収集運搬業 |
|---|---|---|
| 新規許可申請 | 81,000円 | 81,000円 |
| 更新許可申請 | 73,000円 | 74,000円 |
| 変更許可申請(事業範囲の変更) | 71,000円 | 72,000円 |
運ぶ廃棄物の種類と特別管理産業廃棄物の判定
申請書には、運搬する産業廃棄物の種類を記載します。産業廃棄物(廃棄物処理法第2条第4項)は、法令で定められた20種類に限られ、紙くず・木くずなど7種類は特定の業種から出た場合だけ産業廃棄物になります。どれに当たるかの判断は、次の記事で解説しています。

判断を誤りやすいのが、廃液が特別管理産業廃棄物に当たるかどうかです。当たる場合は、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が別に必要になります。工場の廃液でよく問題になる基準は次のとおりです。
| 廃棄物 | 特別管理産業廃棄物になる基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 廃油 | 揮発油類・灯油類・軽油類(引火点おおむね70℃未満のもの。大阪府「産業廃棄物処理のしおり」) | 施行令第2条の4第1号・施行規則第1条の2第1項 |
| 廃酸 | pH2.0以下 | 施行令第2条の4第2号・施行規則第1条の2第2項 |
| 廃アルカリ | pH12.5以上 | 施行令第2条の4第3号・施行規則第1条の2第3項 |
化学製品や溶剤を扱う製造業の廃液は、SDS(安全データシート)の物性データで判定できる場合があります。ただし、複数の薬品が混ざった廃液は、元の製品のSDSだけでは判定できないことがあります。
「中和してから出しているので普通の廃酸です」というご相談でも、実際の排出時のpHを測ると基準を下回っていることがあります。区分は、運搬する時点の性状で確かめることをおすすめします。

許可を取った後の更新・変更と運搬時の義務
許可を取った後も、有効期間ごとの更新、内容が変わったときの届出、運搬のたびの義務が続きます。
- 更新:有効期間は新規許可で5年(廃棄物処理法第14条第2項・施行令第6条の9)。優良産廃処理業者の基準に適合すると認められた更新では7年です。満了までに更新申請をしないと、許可は失効します
- 変更届:役員や車両などが変わったときは、変更の日から10日以内に届け出ます。法人で登記事項証明書を添付する変更は30日以内です
- 事業範囲の変更:扱う産業廃棄物の種類を追加する場合などは、届出ではなく許可が必要です(廃棄物処理法第14条の2第1項)
- 車両の表示:運搬車両の両側面に、収集運搬車である旨・氏名または名称・許可番号(下6けた)を表示します(施行規則第7条の2の2)
- マニフェスト:運搬を終えた日から10日以内に排出事業者へ送付し(施行規則第8条の23)、写しを5年間保存します(施行規則第8条の30)




よくある質問
産廃収集運搬業の許可について、よく寄せられる質問をまとめました。
産廃収集運搬業の許可は、申請してから何日で取れますか?
大阪府の審査の標準処理期間は60日です。ただし、書類の補正にかかる期間は含まれず、その前に講習会の受講が必要です。講習会の日程は早めに確認してください。
産業廃棄物収集運搬業の許可申請には、どのくらい費用がかかりますか?
大阪府に新規で申請する場合、申請手数料は81,000円です(特別管理産業廃棄物収集運搬業も同じ)。このほかに講習会の受講料と、証明書を取る費用がかかります。積み込みと荷下ろしをする都道府県ごとに申請するため、手数料もそれぞれの申請先に納めます。
個人事業主でも産廃収集運搬業の許可を取れますか?
取れます。講習会は、申請者本人または政令で定める使用人(支店などの代表者)が受講します。欠格要件の確認対象も、本人と政令で定める使用人になります。
自社の工場で出た廃棄物を自社のトラックで運ぶ場合も、許可は必要ですか?
排出事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合は、産廃収集運搬業の許可は不要です(廃棄物処理法第14条第1項ただし書)。ただし、運搬の基準や車両の表示の義務は守る必要があります。
大阪府と兵庫県をまたいで運ぶ場合、許可は1つで足りますか?
足りません。積み込みと荷下ろしを行う都道府県ごとに許可が必要です。それぞれの申請は並行して準備できます。
債務超過の状態でも許可申請はできますか?
申請はできます。経理的基礎に関する申立書などの追加資料で、経営の継続性を説明します。追加資料は申請先によって異なるため、事前に窓口へ相談することを推奨します。
どの許可が必要? かんたん診断
当事務所の強み:講習会から逆算した段取りと廃棄物区分の判定
産廃収集運搬業の新規許可申請は、当事務所が書類の作成から申請・補正への対応までお引き受けします。ご依頼の際に強みになる点は次のとおりです。
- 講習会の日程から逆算した段取り:事業を始めたい日と講習会の日程から、申請日と許可までの見通しを最初にお示しします。車両や書類の準備は、講習会を待つ間に並行して進めます。
- 化学の知見による廃棄物区分の判定:元化学メーカー研究員として、廃液・廃油の管理やSDSの作成に携わってきました。pHや性状のデータから、産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の区分を根拠とともに整理し、必要な許可を判定します。
- FPの知見による経理的基礎の説明:債務超過など経理的基礎の説明が要る財務状況でも、決算書を読み解き、経営の継続性を説明する申立書をつくります。
- 大阪府と各政令市等の申請に対応:大阪府と府内9市の政令市等への新規・更新・変更の申請に対応しています。複数の自治体への同時申請や、古物商・金属くず商などの関連許可もあわせてお任せいただけます。
報酬の目安と、ご依頼から許可までの流れは次のページにまとめています。

ご相談の際に、運ぶ予定の廃棄物の種類と、始めたい時期を伺えれば、申請先と許可までの見通しをお伝えできます。

