産廃収集運搬業の変更届と変更許可|車両追加・役員変更の期限と必要書類
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後も、事業内容の変化に応じて変更手続きが必要になる場面があります。取り扱う廃棄物の種類を増やしたい、車両を追加したい、役員が変わった…そのたびに必要な手続きの種類・期限・書類は異なります。
変更許可を取らずに品目を追加した場合、無許可営業と同じ重さの罰則が定められています。廃棄物処理法第25条第1項第3号に基づく5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその併科)の対象で、法人には3億円以下の罰金が科されます(同法第32条)。変更届出(車両・役員・住所等)を怠った場合は、第30条に基づく30万円以下の罰金の対象です。廃棄物処理法違反で罰金刑を受けると欠格要件に該当し、許可取消しの対象となります。
本記事では、産廃収集運搬業の変更手続きを「変更許可申請」と「変更届出」に分けて整理し、それぞれの対象ケース・期限・必要書類を解説します。
変更の内容ごとの手続きと期限
産廃収集運搬業許可の変更手続きには、「事前に許可が必要なもの」と「事後に届け出るもの」の2種類があります。よくある変更ごとの期限は次のとおりです。
| 変更の内容 | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 運搬車両の増車・減車・入れ替え | 変更届出 | 変更の日から10日以内 |
| 住所・事務所・事業場・駐車場の所在地 | 変更届出 | 変更の日から10日以内 |
| 5%以上の株主・出資者 | 変更届出 | 変更の日から10日以内(株主・出資者が法人なら30日以内) |
| 法人の名称・役員(登記事項証明書を添付するもの) | 変更届出 | 変更の日から30日以内 |
| 扱う産業廃棄物の種類の追加 | 事業範囲変更許可申請 | 運搬を始める前に許可を受ける(審査は標準60日) |
届出の期限は変更の日から数えるため、増車や役員交代の予定が決まった時点で書類の準備を始めると間に合います。
事業範囲変更許可申請(品目追加)
変更許可が必要なケースとその申請手順を整理します。
変更許可が必要なケース
廃棄物処理法第14条の2第1項(特別管理産廃は第14条の5第1項)に基づき、以下の変更を行う場合は事前に変更許可申請が必要です。
- 取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合(例:廃油・廃酸を新たに追加)
- 許可証に「石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等を除く」と記載されており、「含む」に変更する場合
- 積替え・保管施設を新設する場合

特別管理産廃(引火性廃油・強酸・強アルカリなど)を新たに扱う場合は、産業廃棄物収集運搬業の変更許可ではなく、特別管理産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請が別途必要です。積替え・保管施設の新設は、施設の所在地を管轄する行政庁への事前相談から始めます。

申請に必要な書類
令和8年4月版・大阪府産廃収集運搬業許可申請手引きに基づく主な必要書類は以下のとおりです。
申請書類
- 産業廃棄物収集運搬業許可申請書(第1面〜第3面)
- 事業計画の概要(様式第六号の二 第1面・第2面・第4面〜第7面)
添付書類(法人の場合)
- 定款・登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 役員全員の住民票・誓約書・登記されていないことの証明書
- 直前3年分の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表、法人税の納税証明書(その1)、確定申告書(別表一・別表四)の写し
- 講習会修了証(JWセンター主催・有効期限内のもの)
車両関係
- 運搬施設の概要(様式第六号の二 第2面):継続使用車両を含む全車両を記載
- 運搬車両の写真(様式第六号の二 第6面):継続使用車両の写真は省略可
- 自動車検査証の写し:継続使用車両の車検証は省略可
継続使用車両の一部書類が省略できる点は、新規申請との重要な違いです。
申請先・手数料・審査期間
申請先は新規申請と同じルールに従います。運搬範囲が一の政令市等区域を越える場合は大阪府知事、政令市等区域内のみで完結する場合はその政令市の市長等が申請先です。

手数料は産廃が71,000円、特別管理産廃が72,000円です(新規81,000円、更新73,000円より低額)。提出部数は正本1部・副本1部の計2部です。
審査標準期間は60日です。品目追加の運搬を開始できるのは変更許可証の交付後です。
更新申請と同時に行う場合
更新許可申請と変更許可申請を同時に提出する場合、重複する書類を省略できます。「重複書類省略の申立書」を省略した申請に1枚添付することで対応します。更新直前に品目追加を検討している場合は、同時に申請すれば重複する書類を省けます。
変更届出(車両・役員・住所の変更)
許可内容に変動が生じた場合、事後的に届け出が必要です。期限は2種類あります。
10日以内に届け出が必要なケース
廃棄物処理法第14条の2第3項に基づき、変更の日から10日以内に届け出が必要な事項は以下のとおりです。
- 事業の一部廃止
- 氏名の変更(個人の場合。法人の名称・代表者の変更は登記事項証明書を添付するため30日以内)
- 使用人(廃棄物処理法施行令第6条の10に規定する者)の変更
- 住所・事務所・事業場・駐車場の所在地の変更
- 運搬車両の増車・減車・変更
- 5%以上の株主または出資者の変更(株主・出資者が個人の場合。法人の場合はその登記事項証明書を添付するため30日以内)
車両の増減も変更届の対象です。変更届は変更後に出す届出なので、増車した日から10日以内に届け出ます。届出には全車両を記載した運搬施設の概要と、新しい車両の車検証・写真が必要です。写真の車両の両側面には、産業廃棄物収集運搬車であることの表示をしておきます。
30日以内に届け出が必要なケース
法人の名称や役員の変更は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の添付が必要なため、変更の日から30日以内に届け出が必要です(廃棄物処理法第14条の2第3項・同法施行規則第10条の10第2項)。5%以上の株主・出資者の変更は、株主・出資者が個人なら登記事項証明書が不要で10日以内、法人ならその登記事項証明書を付けるため30日以内の届出となります。
ただし、法務局での登記完了まで時間がかかるため、実務上は登記完了後に遅滞なく提出することになります。役員変更を検討している場合は、登記手続きと届出のスケジュールを事前に確認してください。
なお、新しい役員が廃棄物処理法第14条第5項の欠格要件(拘禁刑以上の刑を受け執行終了から5年を経過しないなど)に該当すると、許可は取り消されます。役員が欠格要件に該当するに至ったときは、2週間以内の届出も必要です(同法第14条の2第3項で準用する第7条の2第4項)。役員変更時は欠格要件の確認が必須です。
変更届出の必要書類
変更内容によって添付書類が異なります。
| 変更内容 | 主な添付書類 |
|---|---|
| 氏名・名称(商号)変更 | 定款(商号が変わる場合)・住民票または登記事項証明書 |
| 役員変更 | 登記事項証明書・変更後の役員全員の住民票・誓約書・登記されていないことの証明書 |
| 株主・出資者の変更 | 住民票(本籍地記載)・登記されていないことの証明書(株主が法人の場合はその法人の履歴事項全部証明書を追加) |
| 住所・事業場所在地変更 | 事務所・事業場・駐車場付近の見取図 |
| 車両変更(増車・減車) | 運搬施設の概要(全車両記載)・運搬車両の写真・自動車検査証の写し |
提出部数は正本1部・副本1部の計2部です。大阪府への変更届は郵送または電子(行政オンラインシステム)でも受付可能です。
- ご依頼者にお願いすること:変更の内容と日付のご連絡、新しい車両の車検証や役員の方の住民票など、ご本人でないと用意できない書類のご提供
- 当事務所が行うこと:届出か変更許可かの判定、全車両を記載した運搬施設の概要など届出書と添付書類の作成、期限内の提出
- 大阪府と政令市など複数の自治体に許可がある場合は、同じ内容の届出をまとめて進めます。次の更新のときに届出の漏れがないかも確かめます
よくある質問
廃油を新たに収集運搬したい。変更許可と変更届のどちらが必要ですか?
廃油が引火性廃油(揮発油類・灯油類・軽油類。引火点70℃未満が目安)に当たる場合は特別管理産廃なので、特別管理産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請が必要です。それ以外の廃油(通常の産廃)を新たに追加する場合は事業範囲変更許可申請が必要です。廃油のSDS(安全データシート)で引火点を確認することが判断の起点になります。
車両を1台増やすだけですが、何か手続きが必要ですか?
はい。増車は変更届出の対象で、増車の日から10日以内に届け出ます。期限内に届け出なかった場合は、変更届出義務違反として罰則(30万円以下の罰金)の対象になり、罰金刑を受けると欠格要件に当たり許可の取消しにつながります。
変更許可申請の審査中も、既許可の品目は収集運搬できますか?
できます。変更許可申請中も既存の許可内容の範囲での営業は継続できます。審査が完了して変更許可証が交付された後、新たな品目の運搬が可能になります。
当事務所の強み:産廃変更手続きのサポート
産廃収集運搬業の変更届・変更許可は、当事務所が判定から書類の作成・提出までお引き受けします。
- 変更許可(品目追加)・変更届出(車両・役員・住所)のいずれにも対応します。更新申請との同時提出もご提案できます。
- 廃油・廃酸・廃アルカリの引火点・pHによる特別管理産廃の該非判定は、元化学メーカー研究員としての知見を活かして対応します。SDSを読み解いた上で申請書類を作成します。
- 大阪府・大阪市・各政令市への変更届出に対応しています。複数自治体に同一内容の変更届が必要な場合も、まとめて進められます。
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

増車や役員交代の予定日が決まった時点でご連絡ください。期限から逆算して届出の段取りを組みます。
