積替え保管の保管上限の計算|1日の搬出量×7日と容器の容量の決め方
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
産業廃棄物の積替え保管施設では、置ける場所がいくら広くても、保管できる量に上限があります。廃棄物処理法の施行令で、保管の場所の「1日当たりの平均的な搬出量」の7日分までと決められているためです。
積替え保管あり許可の事前協議では、施設に保管できる量と、その計算書を出します。この保管上限の計算は、容器の数と大きさ、1日に運び出せる量の両方から説明することになります。
保管上限の計算式、容器の容量との関係、搬出量の根拠の示し方、計算書と掲示板に書くことを整理します。
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積替え保管の保管上限は「1日の平均的な搬出量×7日」
積替えのための保管をする場合、保管する産業廃棄物の数量が、その保管の場所の1日当たりの平均的な搬出量に7を掛けた量を超えないようにすることが求められます(廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号ホ)。
産業廃棄物の保管を行う場合には、第三条第一号チ及びリの規定の例によるほか、当該保管する産業廃棄物の数量が、環境省令で定める場合を除き、当該保管の場所における一日当たりの平均的な搬出量に七を乗じて得られる数量を超えないようにすること。
保管上限は、置ける量ではなく「運び出せる量」から決まります。1日に平均8㎥運び出す施設なら、保管できるのは56㎥までです。容器や区画の容量がそれより大きくても、56㎥を超えて保管できません。
7日分の決まりの例外
例外は、環境省令で次の2つが定められています(廃棄物処理法施行規則第7条の4)。
- 船で運ぶ場合で、その廃棄物を積む船の積載量が保管上限を上回るとき
- 使用済自動車等を保管する場合
トラックで運ぶ一般的な積替え保管施設は、例外に当たりません。
処分業者の保管上限との違い
中間処理などの処分業者が処分のために保管する場合は、別の決まりです。保管できる量は、処理施設の1日当たりの処理能力の14日分までです(施行令第6条第1項第2号ロ(3))。収集運搬業者の積替え保管は7日分、処分業者は14日分と、掛ける日数が違う点に注意が必要です。
容器の容量の合計と保管上限の関係
積替え保管で、品目ごとに容器(バッカン・コンテナなど)や区画を分けて保管する場合は、容器の容量の合計と保管上限の大小で、事前協議での説明の仕方が変わります。
| 容器の容量の合計と保管上限 | 事前協議での説明 |
|---|---|
| 合計が保管上限以下 | 容器をすべて満杯にしても上限を超えないことを、計算書で示す |
| 合計が保管上限を超える | 搬出量の根拠を足して上限を上げるか、容器の数・大きさを見直す |
容器の合計が上限を超えたまま「運用で上限以内に抑える」と書くだけでは、実際に守れるのかが分からないとして、説明を求められることがあります。当事務所が同席した大阪市の事前相談でも、この点を指摘されました。
容量の合計が上限を超えるときの直し方
直し方は、大きく3つです。
- 搬出量の根拠を足して上限を上げる:容器の合計を7で割った量以上を毎日運び出せることを示す
- 容器の数を減らす:予備の容器をなくす、品目の容器をまとめるなどして、合計を上限以内にする
- 容器の大きさを変える:容器の大きさを選び直して、合計を上限に合わせる
たとえば容量7㎥の容器を9基置くと、合計は63㎥です。1日の搬出量が8㎥なら上限は56㎥で、合計が上回ります。この場合、1日に9㎥(63÷7)以上を運び出せる根拠を示すか、容器を8基(56㎥)にするかのどちらかになります。
予備の容器も保管の場所に数える
予備の容器を置く計画も、申請した以上は保管の場所の一部として扱われます。大阪市の事前相談では、予備でも申請したらその場所に置き続ける必要があり、空いたときに一時だけ別のものを置く使い方はできないと説明されました。レイアウトを変えるには変更の手続きが要るため、予備の容器を置くかどうかは最初に決めておくことを推奨します。
1日の平均的な搬出量の根拠の示し方
保管上限の式の「1日の平均的な搬出量」は、施設を計画する事業者が決める数字です。そのため、事前協議では、その数字をどう出したかの根拠を求められます。
根拠として示すのは、たとえば次のような事実です。
- 搬出に使う車両の大きさ(2トン車・4トン車など)と、1台に積める量
- 1日の車両の台数と、1台あたりの往復の回数
- 搬出先(中間処理施設など)の受入れの量と曜日
「予測」だけでは根拠として弱く、車両と回数から計算した量を示すほうが伝わります。大阪市の事前相談でも、搬出量の算定の根拠を聞かれました。
計算書に書くこと|保管の量・面積・高さ
保管上限の計算は、事前協議の書類の「処理能力を明らかにする計算書」などで示します。大阪市では、事前協議書に保管できる産業廃棄物の数量を書き、その計算書を添付します(大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する規則第33条第1項第3号・第2項第7号)。
計算書に入れる主な項目の例は次のとおりです。
- 1日当たりの平均的な搬出量と、その根拠(車両・台数・回数)
- 保管上限(1日の搬出量×7日)
- 品目ごとの容器の容量・基数と、容量の合計
- 容器の保管面積(1基あたりの面積と合計)
- 保管の高さ(容器の高さ、または積み上げる高さ)
- 容量の合計が保管上限以内であること(超える場合は、その扱い)
大阪市の事前相談では、計算書に容器1基の保管面積と高さを入れるよう求められました。容器の製作図があれば、外寸から面積と高さを書けます。大阪府の区域では、事前協議書に積替え場所と保管場所の面積・保管の最大の高さ・保管の最大の容量を書く欄があり、府の参考様式「積替え保管面積・容量計算書」で品目ごとに面積と容量を計算します。
掲示板にも保管上限を書く
積替えのための保管の場所には、縦横それぞれ60センチメートル以上の掲示板を設けます。掲示板には、保管する廃棄物の種類・管理者の氏名または名称と連絡先に加えて、積替えのための保管上限を表示することが求められます(施行規則第7条の3)。屋外で容器を使わずに積む場合は、積み上げの高さの最高のものも表示します。
よくある質問
積替え保管の保管上限は、重さ(トン)と容積(㎥)のどちらで計算しますか?
施行令は「数量」と定めていて、単位までは決めていません。大阪府の事前協議書は保管の最大の容量を㎥で書く様式です。容器で保管する場合は容積で計算することが多く、どちらで示すかは事前協議で自治体に確かめることを推奨します。
保管上限の7日分を超えて保管したらどうなりますか?
保管上限は、施行令の処理の基準の1つです。基準に合わない保管は、改善命令などの行政処分の対象になりえます。上限を守れる計画にすることと、許可後も日々の保管量を記録して確かめることが大切です。
1日の搬出量を多めに書けば、保管上限を大きくできますか?
搬出量は根拠とあわせて確かめられるため、車両や回数の裏付けのない数字は認められにくいと考えられます。運び出せる最大の量を、実際の車両と回数から計算して示すことを推奨します。
当事務所の強み:保管上限の計算と計算書の作成から事前協議まで
積替え保管の保管上限の計算と、事前協議の書類は、当事務所がお引き受けします。
- 計算書の作成:容器の製作図と搬出の計画から、保管上限・容量の合計・保管面積・高さを計算書にまとめます
- 配置図との整合:配置図の容器の数・大きさと、計算書・事前協議書の数字をそろえます
- 事前協議での説明:容量の合計が上限を超える場合の直し方を、自治体の指摘に合わせて整理します
- 数字の扱い:元化学メーカー研究員として、容積・重さ・比重の換算など、廃棄物の量の数字の扱いに慣れています


容器の大きさと数、搬出に使う車両と回数を伺えれば、保管上限がいくらになり、容器の計画が上限に収まるかをお伝えできます。
