薬機法のNG表現と言い換え一覧|化粧品広告で使える代替表現
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
化粧品の広告文を作っていて「この表現は使えるのか」と手が止まる場面があります。化粧品として標榜できる効能は56項目に限られており、そこから外れる表現は薬機法違反になりえます。
ただし、伝えたい訴求そのものを諦める必要はありません。多くの場合、効能56項目の範囲内に言い換える余地があります。
元化学メーカー研究員として化粧品原料の研究開発に携わり、広告表現の確認業務を行っている立場から、実務で頻出するNG表現と代替案を整理します。
化粧品広告で言い換えが必要になる理由

化粧品として標榜できる効能は、厚生労働省の通知が定める56項目の範囲内に限られます。この枠を超える表現は、医薬品的あるいは医薬部外品的な効能の標榜とみなされます。
判断の軸は3つあります。
- 効能56項目の範囲内か:範囲外なら化粧品としては使えません
- 医薬部外品の承認を得ているか:美白・育毛などは承認品目のみ標榜できます
- 景表法上の裏づけがあるか:効果の程度や優位性を示すなら合理的根拠が必要です
同じ言葉でも、化粧品として使えば違反、承認を得た医薬部外品として使えば適法という場合があります。自社製品がどの区分かを確認してから表現を検討してください。

肌・スキンケアの言い換え
最も相談が多い領域です。カッコ内の数字は効能56項目の番号を示します。
| NG表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| ターンオーバーを促進する | 生理的機能の改変を示唆 | 肌をすこやかに保つ(21番) |
| 肌の生まれ変わりを助ける | 同上 | 肌のキメを整える(20番) |
| 細胞を活性化する | 医薬品的効能 | 使用不可(削除) |
| コラーゲン生成を促す | 体内機能への作用を示唆 | 肌にはりを与える(30番) |
| 傷んだ肌を修復する | 治療・修復を示唆 | 肌荒れを防ぐ(22番) |
| 毛穴を引き締める | 医療的改変の示唆 | 肌をひきしめる(23番) |
「治す」「治療」「回復」「改善」は医薬品に対して使う言葉です。化粧品では使いません。医薬部外品として個別に承認を取得した場合に限り、承認された効能の範囲内で改善表現を広告できます。
美白・シミの言い換え
美白は化粧品と医薬部外品の境界が最も紛らわしい領域です。
| NG表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 美白効果(化粧品として) | メラニン生成抑制を想起させる場合がある | 透明感を与える/明るく見せる(メイク効果として) |
| メラニンの生成を抑える | 医薬部外品の効能 | 日やけを防ぐ(36番)に留める |
| 肌を白くする | 医薬品・医薬部外品的効能 | 透明感のある肌に見せる(メイク効果) |
| シミを消す/シミをなくす | 治療・除去表現 | 使用不可(削除) |
「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」は、美白有効成分の配合と医薬部外品としての承認が前提の表現です。有効成分を配合していても、承認を得ていなければ使えません。
エイジング・シワの言い換え
化粧品は皮膚深部の生理代謝機能に影響を与えるものではないとされています。そのため「シワを予防する」「タルミを解消する」といった表現はできません。
| NG表現 | 言い換え例 |
|---|---|
| シワやタルミを解消する | メーキャップ効果による外観的変化として表現(事実であることが前提) |
| しわ予防(化粧品として) | 医薬部外品で承認を得た場合のみ、承認の範囲内で標榜可 |
| 若返り/老化防止 | 使用不可(削除) |
「乾燥による小ジワを目立たなくする」の使用条件
効能56項目の第56番は、条件付きで認められた効能です。日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験、またはそれと同等以上の適切な試験を行い、効果が確認された製品のみが標榜できます。
| NG表現 | OK表現 |
|---|---|
| 小ジワの悩みを解消します | 皮膚の乾燥を防いで小ジワを目立たなくします |
| 小ジワを防いで美しい素肌を育てます | うるおい効果が小ジワを目立たなくします |
| 乾燥による小ジワを防いで、お肌の老化防止を | キメを整えて乾燥による小ジワを目立たなくします |
単に「小ジワを目立たなくする」とだけ書くことはできません。「乾燥による」という限定が必要です。試験を実施していない製品では、この効能自体を標榜できません。
頭皮・毛髪の言い換え
育毛・発毛は医薬部外品「育毛剤」の領域です。化粧品としては標榜できません。
| NG表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 育毛/発毛を促す/脱毛を防ぐ | 医薬部外品的効能 | 頭皮をすこやかに保つ(3番)/毛髪にはり・こしを与える(4番) |
| 薄毛に悩む方に | 育毛効果を暗示 | 同上 |
| 女性特有の抜け毛に効果的 | 効能範囲の逸脱 | 使用不可(削除) |
成分・浸透の表現
成分の訴求は、作用する部位の書き方で適否が分かれます。
「浸透」は角質層の範囲内であることを明記するのが原則です。
| NG表現 | OK表現 |
|---|---|
| 肌へ浸透(角質層の明記なし) | 角質層へ浸透 |
| 肌内部のいくつもの層/肌の奥深く | 角質層のすみずみへ |
| ダメージを受けた角質層へ浸透して肌本来の状態に回復 | 髪の内部へ浸透(角化した毛髪部分の範囲) |
| 傷んだ髪へ浸透して健康な髪に | 髪の芯まで浸透 |
注釈で「角質層」と補っても、本文が「肌の奥深く」であれば認められません。本文そのものを角質層の範囲に収める必要があります。
配合成分そのものの効能を訴求することにも制限があります。製品全体の効能として認められる範囲を超えて、特定成分の働きを強調する表現は避けてください。

「テスト済み」「専用」「強力」の表現
製品の安全性や適用対象を示す表現にも、化粧品公正競争規約などの自主基準があります。
「アレルギーテスト済み」は4条件を満たす場合のみ
次の4つをすべて満たす場合に限り使用できます。
- キャッチフレーズになっていないこと
- デメリット表示が記載されていること
- デメリット表示が「アレルギーテスト済み」等の近傍にあること
- デメリット表示が同等程度の大きさで目立つように記載されていること
デメリット表示の例は「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」です。テスト実施の事実があっても、この表示を欠けば使えません。
「○○専用」は原則として使わない
「専用」という強調は原則として行いません。一方、使用感や使用方法から判断して対象が特定される「○○用」は差し支えないとされています。
| NG表現 | OK表現 |
|---|---|
| 敏感肌専用 | 敏感肌用 |
| 女性特有の抜け毛に効果的な育毛剤 | 女性向け/子供用/乾燥肌用 |
「強力」「強い」は原則として使わない
効果の程度を過度に示す表現として、原則使用しません。最大級の表現も同様です。
景表法で問題になる表現
薬機法をクリアしても、景表法に抵触する場合があります。効果の程度や他社との優位性を示す表現が対象です。
| 表現 | 必要な対応 |
|---|---|
| 「No.1」「売上第1位」 | 調査の出典・時期・範囲の明示。合理的根拠の保有 |
| 「自社調べ」 | 調査方法・対象・時期を示せること。表記だけでは根拠にならない |
| 「〇〇%が実感」 | 調査の母数・条件の明示。試験結果と訴求内容の対応 |
| 「通常価格の半額」 | 比較対象価格の実売実績 |
景表法第7条には不実証広告規制があり、消費者庁から求められた根拠資料を期限内に提出できない場合、優良誤認表示とみなされます。「言い換えれば通る」性質のものではなく、根拠資料の準備が前提になります。

よくある質問
広告表現の判断でご質問の多い点をまとめます。
Q. NGワードの一覧さえあれば、それを避ければ大丈夫ですか。
一覧だけでは不十分です。薬機法は個別の単語ではなく、広告全体から受ける印象で判断されます。個々の言葉が効能56項目の範囲内でも、写真・図表・体験談・前後比較の組み合わせによって、範囲外の効能を暗示していると評価されることがあります。文言の置き換えと同時に、ビジュアルや構成も含めて確認してください。
Q. 「個人の感想です」と書けば、体験談で効果を語ってもよいですか。
打消し表示があっても、体験談で効能範囲を超える効果を示せば薬機法上の問題は解消されません。景表法上も、体験談が一般的な結果でない場合は打消し表示の有無にかかわらず優良誤認となりえます。注記で免責するという発想ではなく、本文そのものを範囲内に収める必要があります。
Q. SNSやインフルエンサー投稿にも同じルールが適用されますか。
適用されます。薬機法・景表法は媒体を問わず、業として行う表示・広告に及びます。依頼して投稿してもらう場合、その内容の責任は依頼した事業者が負います。投稿前に文言を確認する運用にしておくことをおすすめします。
Q. 医薬部外品なら効能を自由に書けますか。
書けません。医薬部外品は品目ごとに製造販売承認を受けており、標榜できるのは承認された効能の範囲内に限られます。有効成分を配合していても、承認を得ていない効能は標榜できません。
Q. 海外ブランドの原文をそのまま訳して使えますか。
そのままでは使えないことが多くあります。海外で認められている表現が、日本の効能56項目の範囲を超えている場合が少なくないためです。翻訳の正確さと薬機法の適合性は別の問題です。日本市場向けに表現を作り直す前提で進めてください。
当事務所の強み:成分知識と薬機法・景表法の一体チェック
広告表現の確認で難しいのは、言葉の置き換えだけでは判断できない場面です。配合成分の薬理作用が強ければ、表現を整えても無承認医薬品と判断されるリスクが残ります。
元化学メーカー研究員として化粧品原料の研究開発に携わった経験から、成分・処方の内容と表現の両面を確認します。
- 化粧品・医薬部外品・健康食品の広告表現チェック
- パッケージ・ECサイト・SNS投稿・動画スクリプトの確認
- 効能56項目の範囲内での代替表現の提案
- 景表法の根拠資料(合理的根拠)の整理支援
訴求したいコンセプトの原文をお送りいただければ、使える表現に組み替えたうえでお返しします。文案が固まる前の段階でも構いません。


