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化粧品の全成分表示義務|記載方法・順番のルールと落とし穴

「OEMメーカーから上がってきたラベルを見たが、成分の並び順がこれで合っているのかわからない」

化粧品の製造販売業許可を取得した後、実務で最初にぶつかりやすい壁のひとつが全成分表示です。記載が義務付けられているのは知っていても、成分名の選び方・記載順・例外ルールまで把握できているケースは多くありません。

全成分表示の違反は、販売開始後に行政指導や回収の対象となる可能性があります。元化学メーカー研究員として化粧品成分の研究開発に携わった経験と、薬機法の実務知識をもとに、OEM発注・輸入・自社製造それぞれの場面での対応ポイントを解説します。

全成分表示義務の法的根拠(薬機法第61条)

全成分表示は任意ではなく、薬機法と厚生労働省告示により義務化されています。まず条文の構造を確認します。

第61条が定める法定表示事項

薬機法第61条は、化粧品の直接の容器または直接の被包(パッケージ)に記載しなければならない事項を列挙しています。主な記載事項は以下のとおりです。

記載事項
第1号製造販売業者の氏名または名称および住所
第2号名称(販売名)
第3号製造番号または製造記号
第4号厚生労働大臣の指定する成分を含有する場合、その成分名(全成分表示の根拠)
第5号使用期限(指定化粧品のみ)

このうち全成分表示は、第4号「厚生労働大臣の指定する成分を含有する場合、その成分名」として義務付けられています。第61条の条文に「全成分」という文言は直接登場しませんが、平成13年の全面施行に伴い厚生労働省告示によって原則として「すべての成分」が第4号の指定成分として定められたため、全成分の表示が必須となりました。表示の具体的な方法(記載順・着色剤の扱い等)は、同年の行政通知(平成13年3月6日医薬監麻発第220号)で別途定められています。

全面施行の経緯と旧指定成分との違い

全成分表示は平成13年(2001年)4月に全面施行されました。それ以前は、アレルギーリスクが高い一部の成分(旧指定成分)のみが第4号の対象として表示が義務付けられていました。

平成13年の全面施行に伴い、厚生労働省告示によって原則として「すべての成分」が第4号の指定成分として追加指定されました。これにより、現在は旧指定成分を含むすべての成分の表示が義務となっています。旧制度との最大の違いは「以前は表示不要だった成分も、現在は全成分表示の対象」という点です。

全成分表示の6つの記載ルール

記載方法には細かいルールがあります。成分名の選び方・記載順・着色剤の扱いを実務の視点で解説します。

ルール①:成分名は「化粧品成分表示名称」を使う

成分名の記載に使うのは、日本語の「化粧品成分表示名称」です。海外で一般的なINCI名(国際化粧品成分命名法による英語表記)は、日本の化粧品成分表示名称に置き換える必要があります。

化粧品成分表示名称は、一般社団法人日本化粧品工業連合会(粧工連)が発行するリストで確認できます。同じ成分でも、INCI名と日本語表示名称が異なることがあるため、輸入化粧品やOEM品では1成分ずつ対照確認が必要です。

なお、精製水・蒸留水・イオン交換水の化粧品成分表示名称は「水」に統一されています。

ルール②:配合量の多い順に記載する

全成分は原則として配合量の多い順(重量%の高い順)に記載します。水が最初に来るケースが多いのはこのためです。

ただし、配合量が1%以下の成分については順不同で記載することが認められています。この特例が実務の落とし穴になりやすく、1%のラインがどこにあるかを把握しないと表示順が確定できません。OEM発注時に「処方表に配合量(%)が明記されているか」を確認することが重要です。

ルール③:香料は「香料」でまとめて記載できる

複数の香料成分をブレンドした場合は、個別成分ではなく「香料」の1語でまとめて記載することが認められています。

ルール④:着色剤は1%以下成分と同様に順不同で記載できる

着色剤は、1%以下の成分と同様に、配合量の多い順に従わず順不同で記載することが認められています。「着色剤は末尾にまとめる」とよく言われますが、末尾への固定が義務付けられているわけではなく、1%以下成分と着色剤の間で相互に順序が自由になるというのが正確なルールです(平成13年3月6日医薬監麻発第220号通知)。

ルール⑤:キャリーオーバー成分は表示不要

原料に付随して製品に持ち込まれる成分のうち、製品中でその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(キャリーオーバー成分)については、表示の必要はないとされています。ただし、この判断は成分ごとに移行量・残存量・機能の発揮有無を確認したうえで個別に行う必要があります。「原料由来だからキャリーオーバー」と自己判断で一律に表示を省略すると、表示漏れのリスクが生じます。判断に迷う場合は薬務課または専門家への確認を推奨します。

ルール⑥:小型容器(50g・50ml以下)は添付文書で対応できる

直接容器への記載が原則ですが、施行規則第221条の2により次のいずれかの条件を満たす場合に代替が認められています。

  • 外部容器(外箱)がある場合:外箱への記載で代替可
  • タッグ・ディスプレイカードがある場合:タッグ等への記載で代替可
  • 内容量50g又は50ml以下の化粧品:添付文書への記載で代替可(外箱・タッグの有無を問わない)

この場合、容器本体には添付文書に全成分を記載している旨の表示が必要です。

OEM・輸入化粧品で見落としがちな落とし穴

全成分表示の違反は、製造・輸入の完了後にラベルを確認した段階で初めて発覚するケースが少なくありません。製品化フロー別の注意点を整理します。

OEM発注時のチェックポイント

OEMメーカーから提供される「処方表」や「全成分リスト」の内容を確認する際は、以下の点を照合してください。

  • 配合量(%)が明記されているか:1%ラインを特定するために必要。重量%の記載がないと表示順が決められない
  • 成分名が日本の化粧品成分表示名称になっているか:OEMメーカーが英語名で記載している場合は変換が必要
  • キャリーオーバー成分の確認:原料由来で持ち込まれる成分のうち、製品中で機能を発揮しないものは表示不要とされますが、成分ごとの個別判断が必要です。OEMメーカーに処方段階での確認を求めてください
  • 複合原料(植物エキス等)の内訳:複合原料は構成成分をすべて個別に記載するのが原則
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輸入化粧品の外国語成分名から日本語表示名称への変換

海外メーカーの成分表は、韓国産であればハングル表記、中国産であれば中国語表記で記載されているのが一般的です。国際INCI名(英語・ラテン語)で届くケースもありますが、製造国の国内向け表記のまま提供されることも多くあります。いずれの場合も、日本の全成分表示には日本語の化粧品成分表示名称が必要なため、成分ごとに対照変換が必要です。

対照作業では、まず外国語の成分名から物質を同定し、日本の化粧品成分表示名称に変換するという手順を踏みます。同一物質でも複数の日本語表示名称が存在する場合があります。また、日本では配合禁止または配合制限がある成分が含まれていることもあるため、変換と同時にネガティブリスト・ポジティブリストとの照合も行う必要があります。

元化学メーカー研究員として化粧品原料の物性データや成分組成に向き合ってきた経験から、外国語成分名と化粧品成分表示名称の対照は専門的な知識を要する作業だと実感しています。特に植物由来エキスや複合成分は、表示名称が複数存在するケースがあり慎重な確認が求められます。

当事務所では、韓国・中国等からの輸入化粧品を対象に、外国語成分表(ハングル・中国語・INCI名いずれの形式でも可)から日本語の化粧品成分表示名称への変換と配合規制照合をまとめて受け付けています。海外サプライヤーから成分リストを受け取った段階でご依頼いただければ、日本での販売に必要な表示名称一覧を作成します。

全成分表示違反のリスク

全成分表示義務に違反した場合、行政からの指導・処分の対象となるリスクがあります。

実務上の影響としては、行政庁からの改善指導に始まり、違反が是正されない場合は製品の回収命令(薬機法第70条)や製造販売業の業務停止処分に至る可能性があります。ラベル修正・製品回収は多大なコストと信頼損失を伴うため、販売開始前の確認が重要です。

なお、薬機法第61条に違反する表示のまま化粧品を販売した場合、同法第62条が準用する第55条第1項の禁止に抵触し、薬機法第85条第3号による刑事罰(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、またはその両方)が科される可能性もあります。許可取得後の運用として、ラベル確認体制の整備が求められます。

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よくある質問

Q. サンプル品・テスターには全成分表示は必要ですか?

A. 有償・無償を問わず、市場に流通させる化粧品には全成分表示が求められます。サンプル品もこの対象に含まれます。ただし、専ら試験研究の目的で使用されるものや、特定の要件を満たす小型容器については、薬務課への確認のうえ対応方法を検討してください。

Q. OEMメーカーが全成分表示のラベルを用意してくれますが、それで問題ないですか?

A. 製造販売業者として最終的な責任を負うのは御社です。OEMメーカーが作成したラベルの内容が法令に適合しているかどうかは、製造販売業者側で確認・承認する義務があります。「OEMメーカーに任せていた」では、行政処分の回避理由にはなりません。

Q. 全成分の一部を企業秘密として非公開にすることはできますか?

A. 化粧品の全成分表示については、医薬品等と異なり成分の秘匿は原則として認められていません。特定の成分を非公開にしたい場合は、その成分を使用しない処方設計を検討するか、薬務課に事前相談する必要があります。

当事務所の強み:化粧品成分の読み解きと表示適合チェック

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化粧品の全成分表示対応において難しいのは、成分名の法令解釈だけでなく、OEMメーカーや海外サプライヤーから提供される成分情報を正確に読み解く技術的な視点です。

元化学メーカー研究員として化粧品原料の研究開発・処方設計に携わった知見を活かし、以下の支援が可能です。

  • 全成分リストの適合チェック:OEMメーカーから受け取った成分リストや処方表をもとに、成分名・記載順・特定成分の表示漏れを確認します。製造販売業者として最終責任を負う立場からの確認依頼に対応します
  • 外国語成分名から日本語表示名称への変換(輸入化粧品):韓国・中国等から輸入する化粧品の成分表(ハングル・中国語・INCI名いずれでも可)を日本語の化粧品成分表示名称に変換し、ネガティブリスト・ポジティブリストとの照合も含めて対応します(3.3万円〜/製品、成分数により変動)
  • ラベルデザイン段階でのリーガルチェック:製造後の修正コストを防ぐため、デザイン確定前の段階での確認に対応します

OEMメーカーからの成分リスト、輸入元の成分表(INCI名表記)、いずれの形式でもお送りいただければ、表示の適否を確認します。

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