化粧品製造業の区分の違い|一般区分・包装等区分・保管のみの登録の判断基準
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
化粧品製造業の区分の違いがわからないという相談が増えています。製造販売業と製造業の違いを説明した情報は多い一方で、製造業の中がさらに3つに分かれている点まで踏み込んだ解説は限られています。
区分を誤ると、申請のやり直しが生じます。許可の区分を変更・追加するには、あらためて厚生労働大臣の許可が必要です(薬機法第13条第8項)。登録で始めた製造所で許可が必要な行為をしていた場合は、製造業許可の取得から進めることになります。
判断の軸は2つです。包装や表示を行うかどうか、そしてその製造所から製品が市場に出るかどうか です。この2点を先に整理しておけば、区分の選択で迷うことはほとんどなくなります。
化粧品製造業の区分が3つに分かれる仕組み
化粧品を製造するには、製造業の許可が必要です(薬機法第13条第1項)。この許可は「厚生労働省令で定める区分に従い、製造所ごとに」与えられます(同条第2項)。区分を定めているのが施行規則第25条第3項で、化粧品については2区分が置かれています。
さらに令和3年施行の改正で、製造工程のうち保管のみを行う製造所の登録制度が創設されました(薬機法第13条の2の2)。登録を受けた製造所は、許可を受けることを要しません。この登録を加えて、化粧品の製造所は3類型に整理されます。
| 類型 | 根拠 | 行える行為 |
|---|---|---|
| 一般区分 | 施行規則第25条第3項第1号 | 製造工程の全部または一部 |
| 包装等区分 | 施行規則第25条第3項第2号 | 包装・表示・保管のみ |
| 保管のみを行う製造所の登録 | 薬機法第13条の2の2 | 保管のみ |
薬機法上の「製造」には、包装・表示・保管が含まれます。施行規則第25条第3項第2号が包装等区分を「製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの」と定めていることから読み取れます。中身を作らなくても、これらの行為を行えば製造業規制の対象になります。
許可も登録も製造所ごとの手続きです(薬機法第13条第2項、第13条の2の2第2項)。倉庫や作業拠点が複数あれば、拠点ごとに区分を判断することになります。
区分ごとにできる行為の範囲
3つの区分は、行える工程の広さによって段階的に分かれています。一般区分の許可があれば包装・表示・保管も行えるため、上位の区分が下位の行為を含む構造です。
一般区分|製造工程の全部または一部を行う場合
充填、混合、成分の調製など、化粧品そのものを作る工程を行う製造所が対象です。
構造設備の基準は薬局等構造設備規則第13条が定めています。作業所の換気と清潔、常時居住する場所からの区別、防じん・防虫・防そのための構造、床の材質、廃水と廃棄物の処理設備まで求められます。製品や原料を衛生的かつ安全に貯蔵する設備も必要です。
試験検査の設備については、他の試験検査設備または他の試験検査機関を利用して自己の責任において行う場合、支障がないと認められるときは自前で備えなくてもよいとされています(同条第4号ただし書き)。
包装等区分|包装・表示・保管のみを行う場合
中身を作る工程は行わず、包装・表示・保管に限る製造所が対象です。
構造設備の基準は薬局等構造設備規則第13条の2が第10条を準用しており、次の3つに絞られます。
- 製品等および資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造および設備
- 作業を適切に行うのに支障のない面積
- 製品等および資材の試験検査に必要な設備および器具(外部委託が可能)
一般区分と比べて大幅に軽い基準です。輸入化粧品に日本語表示のラベルを貼る作業は「表示」に当たるため、この区分が必要になります。
保管のみを行う製造所の登録|保管だけを行う場合
保管しか行わない製造所は、登録を受ければ許可が不要になります(薬機法第13条の2の2第1項)。
登録では包装も表示も行えません。ラベルの貼付や詰め替えを予定しているなら、登録では足りず包装等区分の許可が必要になります。

許可と登録の制度上の違い
実務でいちばん迷うのは、保管ができる包装等区分の許可と、保管のみの登録の使い分けです。制度としての差は次のとおりです。
| 項目 | 許可(包装等区分) | 登録(保管のみ) |
|---|---|---|
| 行える行為 | 包装・表示・保管 | 保管のみ |
| 構造設備の基準 | 薬局等構造設備規則第13条の2(第10条を準用) | 法律上の要件なし |
| 申請時の調査 | 書面または実地の調査(薬機法第13条第7項) | 同種の規定なし |
| 責任技術者 | 施行規則第91条第2項 | 同じ(施行規則第91条第2項) |
| 有効期間 | 5年(施行令第10条) | 5年(施行令第16条の2) |
薬機法第13条第5項は、構造設備が基準に適合しないときは許可を与えないことができると定めています。同条第7項では、許可と更新の申請を受けたときに書面または実地の調査を行うものとされています。
保管のみを行う製造所の登録には、これらに対応する規定がありません。ただし令和3年4月28日付けの厚生労働省通知(薬生薬審発0428第2号)が、構造設備は薬局等構造設備規則第10条に準じることとしています。法令上の許可要件ではなく、行政指導という位置づけになります。
保管のみを行う場合の判断基準

保管しか行わない場合でも、登録で足りるとは限りません。判断の分かれ目は、その製造所から製品が市場に出るかどうか です。
施行規則第34条の2第1号が、最終製品の保管を登録の対象から除外しています。ただし他の医薬品、医薬部外品または化粧品の製造所に出荷されるものは、この除外から外れます。つまり次の製造所へ渡すための保管であれば、最終製品でも登録で対応できます。
厚生労働省の通知は、登録によって行えない最終製品の保管を「市場への出荷(GQP省令第2条第2項)を行う製造所における保管」と定義しています。
市場出荷判定を行う者が製造業者であるか製造販売業者であるかを問わず、市場への出荷を行う製造所は登録の対象外である。(令和3年7月2日事務連絡Q9)
倉庫の役割ごとに整理すると次のようになります。
| ケース | 倉庫の役割 | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 原薬・中間品等を別の製造業者等へ渡すための保管 | 製造工程の中継 | 保管のみを行う製造所の登録 |
| 市場への出荷を行う製造所での保管 | 市場出荷の拠点 | 包装等区分の製造業許可 |
| 市場出荷判定済み完成品の保管・発送 | 物流機能のみ | 薬機法上の手続き不要 |
ケース1|別の製造所へ渡すための保管
原薬や製品(中間製品を含む)を、別の製造販売業者・製造業者に販売または授与するための保管です。最終製品の保管に該当しないため、登録で対応できます(令和3年7月2日事務連絡Q11)。
バルク品や充填前の製品を、次の工程を行う別の製造所へ渡すまで一時保管するケースが典型です。
ケース2|市場への出荷を行う製造所での保管
市場への出荷を行う製造所での保管は、登録の対象外です。包装等区分の製造業許可が必要になります。
ここでいう市場への出荷は、製造販売業者の品質保証責任者による市場出荷判定を経て、消費者や流通へ出荷する行為です。製造業者から製造販売業者への受け渡しとは区別されます。化粧品の場合、市場への出荷に係る記録の作成はGQP省令第18条第2項第1号に基づいて行われます。
この原則は、市場出荷判定を行う者が製造業者であるか製造販売業者であるかを問わず適用されます。市場への出荷を行う製造所が複数あれば、その全てで許可が必要になります。典型例は次の2つです。
- 輸入化粧品を自社倉庫に搬入し、市場出荷判定を行って消費者や販売店へ出荷する
- OEM製品を受け入れ、市場出荷判定を経て市場へ出荷する
ケース3|市場出荷判定済みの完成品の保管・発送
製造業許可を持つ製造所で製造され、製造販売業者による市場出荷判定が完了した完成品を、自社拠点で保管して購入者へ発送するだけのケースです。この拠点は市場への出荷を行う製造所には当たりません。
従来から許可・登録が不要だった行為であり、令和3年の法改正後も変わりません。

区分の判断を誤りやすい場面
条文の要件を満たしているつもりでも、実際の運用が区分からはみ出しているケースがあります。相談で判断が分かれるのは次の3つです。
出荷先が薬機法上の製造所ではない場合
施行規則第34条の2第1号の括弧書きは「他の医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造所に出荷されるもの」と限定しています。
許可も登録も受けていない物流倉庫へ送る場合や、小売店・消費者へ直接出荷する場合は、この例外に当たりません。「他社へ渡すだけだから登録で足りる」と考えて進めると、判断を誤る可能性があります。出荷先が薬機法上の製造所かどうかを確認する必要があります。
入荷時の検品が出荷判定を兼ねている場合
質疑応答集は、登録で行える検査を主に荷姿等の外観検査(滅失や毀損の確認)としており、市場出荷判定のための外観検査は含まないとしています(令和3年7月2日事務連絡A4)。
入荷時の検品で市場への出荷の可否まで判断していると、登録では足りません。検品の目的が製品の受入確認にとどまるのか、出荷判定に踏み込んでいるのかを整理しておくことを推奨します。
ラベルの貼付や詰め替えを行う場合
輸入化粧品では、日本語表示のラベルを国内で貼ることが多くあります。この作業は「表示」に当たり、保管のみには含まれません。
小分けや詰め替えも「包装」に当たると判断される場合があります。保管のつもりで登録を取得したあとにラベル貼付を始めると、無許可での製造となるおそれがあります。将来の作業内容も想定して区分を選ぶことが重要です。
区分ごとの申請要件

許可と登録では、責任技術者の要件は共通で、提出書類と手数料が異なります。
化粧品製造業の責任技術者
化粧品の製造業者は、製造所ごとに責任技術者を置かなければなりません(薬機法第17条第10項)。要件は次のいずれかです(施行規則第91条第2項)。
- 薬剤師
- 旧制中学・高校以上の学校で薬学または化学に関する専門の課程を修了した者
- 旧制中学・高校以上の学校で薬学または化学に関する科目を修得した後、医薬品・医薬部外品・化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
- 厚生労働大臣が1から3と同等以上の知識経験を有すると認めた者
第2号は課程の修了だけで足り、実務経験を問いません。化学系の高校や大学の出身者であれば要件を満たします。第4号については、医薬品・医薬部外品・化粧品の製造実務(製造管理・品質管理に係る業務を含む)に5年以上従事した者が該当するとされています(令和3年7月2日事務連絡Q14)。
なお、保管のみを行う製造所の責任技術者に関する緩和規定(施行規則第91条の2)は医薬部外品を対象としたものです。化粧品には適用されませんが、施行規則第91条第2項がもともと緩やかな水準であるため、登録でも同じ要件で対応できます。
申請書類と申請先
許可申請に必要な主な書類は次のとおりです。
- 製造業許可申請書(様式)
- 申請者の住民票の写しまたは登記事項証明書(法人は6か月以内のもの)
- 法人の薬事に関する業務に責任を有する役員の住民票の写し
- 製造所の構造設備の概要(平面図・見取図)
- 責任技術者の資格を証する書類(卒業証明書・業務経歴書等)
- 責任技術者の雇用関係を証する書類
- 欠格要件に該当しない旨の誓約書・診断書
- 業者コード登録票(電子申請で事前取得)
- 委任状(行政書士が申請代理する場合)
登録の申請は様式第十七の二によります(施行規則第34条の3第1項)。添付書類は同条第3項が次のとおり定めています。
- 申請者が法人であるときは登記事項証明書
- 申請者以外の者が責任技術者であるときは、雇用契約書の写しその他の使用関係を証する書類
- 責任技術者が施行規則第91条または第91条の2に掲げる者であることを証する書類
- 登録を受けようとする保管のみを行う製造所の場所を明らかにした図面
- 申請者が他の製造業の許可または登録を受けている場合は、その許可証または登録証の写し
申請先はいずれも製造所の所在地の都道府県知事です。大阪府内の製造所であれば大阪府薬務課が窓口になります。
手数料と有効期間
大阪府の手数料は次のとおりです(令和3年8月1日改定版・改定の可能性があるため事前に確認してください)。
| 区分 | 新規 | 更新 |
|---|---|---|
| 一般区分の許可 | 39,900円 | 25,200円 |
| 包装等区分の許可 | 33,600円 | 24,100円 |
| 保管のみを行う製造所の登録 | 27,600円 | 20,100円 |
有効期間は許可も登録も5年です(施行令第10条、第16条の2)。

よくある質問
Q. 区分を誤って許可を取得してしまった場合、どうすればよいですか?
A. 許可の区分を変更または追加するには、あらためて厚生労働大臣の許可を受ける必要があります(薬機法第13条第8項)。この変更許可には、新規許可と同じ規定が準用されます(同条第9項)。包装等区分で取得したあとに充填工程を始めるのであれば、一般区分への変更許可を受けてからになります。構造設備の基準も一般区分のものに切り替わるため、設備投資を伴う場合があります。
Q. 一般区分の許可があれば、包装等区分の許可も別に取る必要がありますか?
A. 同じ製造所であれば必要ありません。一般区分は「製造工程の全部又は一部を行うもの」であり、包装・表示・保管もこの中に含まれます。ただし許可は製造所ごとに与えられるため、別の場所に倉庫を設けるのであれば、その倉庫について区分を判断することになります。
Q. 保管のみを行う製造所の登録から、包装等区分の許可へ切り替えるには?
A. 登録と許可は別の制度であるため、区分の変更ではなく製造業許可の申請から進めることになります。薬局等構造設備規則第13条の2の基準への適合が求められ、申請時には書面または実地の調査が行われます(薬機法第13条第7項)。登録では調査の規定がない分、切り替え時に確認される項目が増える点に注意が必要です。
Q. 製造業許可を持つOEMメーカーが市場出荷判定まで行う場合、自社倉庫は許可不要ですか?
A. OEMメーカーが市場出荷判定まで行い、判定済みの完成品を自社に送る体制であれば、自社倉庫での保管・発送に薬機法上の許可は原則として不要です。
ただし、自社に製造販売業許可が必要かどうかは、誰が製造販売業者になっているかで変わります。
- OEMメーカーが製造販売業許可も保有して製造販売業者を兼ねているケース(国内OEMの典型):自社は小売事業者として機能するため、製造販売業許可は不要です。
- 自社が製造販売業者となるケース(海外OEMを含む):自社に製造販売業許可が必要です。韓国・中国など海外のOEMメーカーが日本の製造販売業許可を取得することは現実的に難しく、海外OEM品を日本で販売する場合は日本側が製造販売業者として許可を取得する必要があります。

当事務所の強み|化粧品製造業の区分判定と申請支援
元化学メーカー研究員として化粧品原料の研究開発に携わった経験から、製造所で実際に行われている作業がどの区分に当たるかを、工程の実態に即して整理します。
- 作業内容と出荷フローに基づく区分判定(一般区分・包装等区分・登録の切り分け)
- 一般区分・包装等区分の製造業許可申請、保管のみを行う製造所の登録申請(大阪府薬務課への申請実務に対応)
- 構造設備の基準に照らした図面の確認と、申請前の是正点の洗い出し
- 製造販売業許可と合わせた申請スケジュールの調整
保管する製品の出荷先と、入荷時に行っている検品の内容がわかれば、どの区分に当たるかを判定できます。


