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化粧品の倉庫保管に薬機法の許可が必要か|市場への出荷拠点かどうかで変わる3つのケース

「自社倉庫で化粧品を保管しているだけなのに、薬機法の許可が必要と指摘された」という相談があります。同じ「保管」でも許可が必要な場合と不要な場合があり、何が判断の分かれ目なのかわからないという声も聞かれます。

薬機法において、倉庫保管に許可が必要かどうかは一律ではありません。「その製造所が市場への出荷を行う場所かどうか」が判断の分かれ目です。

元化学メーカー研究員として化粧品材料の研究開発に携わった経験をもとに、倉庫の役割別に必要な手続きを整理しました。

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化粧品の「保管」が製造業規制の対象になる理由

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化粧品は製造所から消費者の手に渡るまでに、2段階の出荷が行われます。

  1. 製造所出荷(製造業者→製造販売業者):製造業者が製品を製造販売業者に引き渡す工程。薬機法第17条第10項に基づき、製造所の責任技術者が管理する。
  2. 市場出荷(製造販売業者→市場):製造販売業者の品質保証責任者が「この製品を市場(消費者・販売店)に出してよいか」を最終判断(市場出荷判定)し、出荷する工程。GQP省令第9条第2項に基づく。

薬機法上の「製造」には保管も含まれます(施行規則第25条第3項第2号)。ただし、すべての保管が製造業規制の対象になるわけではありません。令和3年の薬機法改正で「保管のみを行う製造所の登録制度」(第13条の2の2)が創設されました。

登録・許可・不要の分岐点は市場出荷を行う製造所かどうかです。厚生労働省の通知(薬生薬審発0428第2号・令和3年4月28日)は、登録によっては行えない最終製品の保管を「市場への出荷(GQP省令第2条第2項)を行う製造所における保管」と定義しています。

市場出荷判定を行う者が製造業者であるか製造販売業者であるかを問わず、市場への出荷を行う製造所は登録の対象外である。(令和3年7月2日事務連絡Q9)

倉庫の役割別に異なる3つのケース

2段階の出荷フローを踏まえて、倉庫の役割ごとに必要な手続きを整理します。

ケース倉庫の役割必要な手続き
原薬・中間品等を別の製造業者等へ渡すための保管製造工程の中継(製造所出荷の前段)保管区分登録(第13条の2の2)
市場への出荷を行う製造所での保管市場出荷の拠点包装等区分の製造業許可(第13条)
市場出荷判定済み完成品の単純保管・発送物流機能のみ(市場出荷完了後)薬機法上の手続き不要
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ケース1|別の製造業者等に渡す前の保管(登録でOK)

原薬・製品(中間製品を含む)を別の製造販売業者・製造業者に販売・授与するための保管は「最終製品の保管」に該当せず、保管のみを行う製造所の登録(第13条の2の2)で対応できます。

バルク品(充填前の成分)やパッケージング前の製品を、次の製造工程(充填・ラベル貼付)を行う別の製造所に渡すまでの一時保管がこれに当たります。製造所出荷の前段階の保管です。

ケース2|市場への出荷を行う製造所での保管(許可が必要)

市場への出荷(GQP省令第2条第2項)を行う製造所での保管は、保管区分登録の対象外です。包装等区分の製造業許可が必要です。

ここでいう「市場への出荷」は、製造販売業者の品質保証責任者による市場出荷判定を経て消費者・流通へ出荷する行為です。製造所から製造販売業者への受け渡し(製造所出荷)とは区別されます。

この原則は、市場出荷判定を行う者が製造業者であるか製造販売業者であるかを問わず適用されます。市場への出荷を行う製造所が複数ある場合、その全てで許可が必要です。

このケースに当たる典型例は以下のとおりです。

  • 輸入化粧品を自社倉庫に搬入し、市場出荷判定を行って消費者・販売店に出荷する
  • OEM製品を受け入れ、市場出荷判定を経て市場に出荷する

ケース3|市場出荷判定済みの完成品の単純保管・発送(不要)

製造業許可を持つ製造所で製造され、製造販売業者による市場出荷判定が完了した完成品を、自社拠点で保管して購入者へ発送するだけのケースです。市場出荷判定が完了した製品の保管であり、この拠点自体は市場への出荷を行う製造所には当たりません。

従来から製造業の許可・登録が不要だった行為であり、令和3年の法改正後も変わりません。

ケース2の申請要件|包装等区分の製造業許可

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包装等区分(包装・表示・保管のみを行う許可区分)の化粧品製造業許可(薬機法第13条)の要件を確認します。

化粧品製造業の責任技術者要件

化粧品の製造業許可を受ける事業者は、製造所ごとに責任技術者を選任しなければなりません(薬機法第17条第10項)。化粧品の責任技術者の要件は以下のいずれかです(施行規則第91条第2項)。

  1. 薬剤師
  2. 旧制中学・高校以上で薬学または化学の専門課程を修了した者
  3. 旧制中学・高校以上で薬学または化学の科目を修得した後、医薬品・医薬部外品・化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
  4. 厚生労働大臣が1〜3と同等以上の知識・経験を有すると認めた者

なお、第4号(厚生労働大臣が認めた者)の具体的な認定基準については申請先の都道府県薬務課に確認してください。

包装等区分の申請書類・申請先

包装等区分の化粧品製造業許可申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

  1. 製造業許可申請書(様式)
  2. 申請者の住民票の写しまたは登記事項証明書(法人は6か月以内のもの)
  3. 法人の薬事に関する業務に責任を有する役員の住民票の写し
  4. 製造所の構造設備の概要(平面図・見取図)
  5. 責任技術者の資格を証する書類(卒業証明書・業務経歴書等)
  6. 責任技術者の雇用関係を証する書類
  7. 欠格要件に該当しない旨の誓約書・診断書
  8. 業者コード登録票(e-Gov電子申請で事前取得)
  9. 委任状(行政書士が申請代理する場合)

申請先は製造所の所在地の都道府県知事です。大阪府内の製造所であれば大阪府薬務課が窓口になります。

手数料と有効期間

手数料は大阪府の場合、包装等区分の新規申請が33,600円、更新申請が24,100円です(R3.8.1改定版・改定の可能性があるため事前に確認すること)。許可の有効期間は5年です。

よくある質問

Q. 自社倉庫がどのケースに当たるか、どう判断すればよいですか?

A. 判断の基準は「その倉庫が消費者・販売店への最終出荷を行う場所かどうか」です。自社倉庫から市場へ出荷するならケース2(製造業許可が必要)です。製造工程の中継として別の製造業者等に渡すだけであればケース1(保管区分登録)、市場出荷判定済みの完成品を受け取って発送するだけであればケース3(不要)に当たります。出荷先と市場出荷判定の実施場所を整理することで判断できます。

Q. 市場出荷判定は製造販売業者が書類で確認するだけでも、保管倉庫に許可が必要になりますか?

A. はい。厚生労働省の公式Q&Aでは「市場出荷判定を行う者が製造業者であるか製造販売業者であるかを問わず、市場への出荷を行う製造所は登録の対象外」と明示されています。市場出荷判定は製造販売業者の品質保証責任者が行う最終判断ですが、その対象製品を保管して市場へ出荷する製造所は、判定者の属性にかかわらず製造業の許可が必要です。

Q. 製造業許可を持つOEMメーカーに製造を委託し、OEMメーカーが市場出荷判定まで行う場合、自社倉庫は許可不要ですか?

A. OEMメーカーが市場出荷判定まで行い、判定済みの完成品を自社に送る体制であれば、自社倉庫での保管・発送に薬機法上の許可は原則として不要です。

ただし、自社に製造販売業許可が必要かどうかは誰が製造販売業者になっているかで変わります。

  • OEMメーカーが製造販売業許可も保有して製造販売業者を兼ねているケース(国内OEMの典型):自社は小売事業者として機能するため、製造販売業許可は不要です。
  • 自社が製造販売業者となるケース(海外OEMを含む):自社に製造販売業許可が必要です。韓国・中国など海外のOEMメーカーが日本の製造販売業許可を取得することは現実的に難しく、海外OEM品を日本で販売する場合は日本側が製造販売業者として許可を取得する必要があります。
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当事務所の強み|化粧品保管に関わる薬機法手続きの支援

元化学メーカー研究員として化粧品原料の研究開発に携わった経験から、倉庫の業務内容が「市場への出荷を行う製造所かどうか」を実務的な観点で整理したうえで、必要な許可・登録の手続きを支援します。

  • 自社倉庫の役割(市場への出荷拠点か・物流機能のみか)に基づくケース判定と必要な手続きの整理
  • 包装等区分の製造業許可申請(大阪府薬務課への申請実務に対応)
  • 製造販売業許可と合わせた申請スケジュールの調整

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