優良産廃処理業者の認定基準|5つの要件とエコアクション21の取り方
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「取引先から優良認定は取っていないのかと聞かれた」「次の更新で許可を7年にしたいが、何から始めればいいのか分からない」——優良認定は、基準を知った時点では間に合わないことがある制度です。
優良産廃処理業者認定制度は、通常の許可基準より厳しい5つの基準を満たした処理業者を、都道府県知事や政令市長が認定する制度です(廃棄物処理法施行令第6条の9第2号ほか)。認定を受けると、許可の有効期間が5年から7年になります。
ただし、5つの基準の中には、申請の直前に慌てても満たせないものがあります。ホームページでの情報公開は申請前の6か月間続けている必要があり、環境配慮の基準はISO14001かエコアクション21などの認証が前提です。更新の時期から逆算して準備することが重要です。
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優良産廃処理業者認定制度の5つの基準
基準は廃棄物処理法施行規則第9条の3(収集運搬業)に9つの号で定められ、大阪府の手引きでは5つにまとめて案内されています。
| 基準 | 中身 | 根拠(規則第9条の3) |
|---|---|---|
| 遵法性 | 従前の許可の有効期間(または連続する5年間のうち長い方)に、事業停止命令や改善命令などの特定不利益処分を受けていない | 第1号 |
| 事業の透明性 | 会社の情報・許可の内容・運搬量などを、申請前の6か月間インターネットで公表し、決まった頻度で更新している | 第2号 |
| 環境配慮の取組 | ISO14001、またはエコアクション21などの認証を受けている | 第3号 |
| 電子マニフェスト | 情報処理センター(JWNET)に加入し、電子マニフェストを使える | 第4号 |
| 財務体質の健全性 | 自己資本比率・利益・税と社会保険料の納付などの基準を満たす | 第5号〜第9号 |
特別管理産業廃棄物の収集運搬業にも同じ形の基準があり(施行令第6条の13第2号・施行規則第10条の12の2)、処分業にも別に定められています(施行令第6条の11第2号・施行規則第10条の4の2)。
遵法性:特定不利益処分を受けていないこと
対象になる特定不利益処分は、事業停止命令、処理施設の改善命令や使用停止命令、不適正処理への改善命令や措置命令、各種の認定の取消しなどです(規則第9条の3第1号)。
すでに優良認定を受けて7年の許可を持っている業者は、その7年の間に処分を受けていないことが求められます。
事業の透明性:情報公開は申請前6か月の継続が必要
インターネットで公表する事項と、更新の頻度は規則で決まっています。主なものは次のとおりです(規則第9条の3第2号)。
- 会社の情報:名称・所在地・設立年月日・資本金・代表者と役員の氏名と就任日・事業の内容
- 役員などは1年に1回以上、ほかは変更の都度更新
- 許可の内容:事業計画の概要と、許可証の写し
- 施設:運搬車の種類と台数、低公害車の導入状況、積替え保管の場所の情報
- 処理の状況:直前3年間の各月の、産廃の種類ごとの受入量と運搬量(1年に1回以上更新)
- 財務:法人は直前3年の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表
- 料金・体制:料金の示し方、組織と人員配置、事業場の公開の有無
公表の方法は、自社のホームページか、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団の「産廃情報ネット」を使う方法が手引きで示されています。公表と更新を申請前の6か月間続けていないと、この基準を満たせません。
環境配慮の取組:ISO14001かエコアクション21の認証
規則第9条の3第3号は、環境配慮の状況について、ISO14001の認証か、一般財団法人持続性推進機構の認証を受けていることを求めています。持続性推進機構の認証がエコアクション21です。
大阪府の手引きでは「ISO14001又はエコアクション21若しくはこれと相互認証されている認証制度」と案内されています。相互認証されている地域の制度は、エコアクション21中央事務局のページに載っています。三重県の M-EMS(ステップ2W)もその1つです(三重県の案内)。
認証の取り方は次の節で説明します。
電子マニフェスト:JWNETへの加入
情報処理センター(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)の電子マニフェストに利用登録し、使える状態にしておく必要があります(規則第9条の3第4号)。申請では、センターが出す使用を証する書面の写しなどを付けます。
収集運搬業者の負担は、基本料(1年間13,200円)だけです(大阪府の手引き・令和8年4月版)。

財務体質の健全性:決算書で判定される基準
法人の場合、直前3年の決算書で次の基準を満たす必要があります(規則第9条の3第5号〜第7号)。
- 直前3年の各事業年度の自己資本比率が0以上(債務超過でない)
- 直前3年のいずれかの年の自己資本比率が10%以上、または前事業年度の「営業利益+減価償却費」が0を超える
- 直前3年の「経常利益+減価償却費」の平均が0を超える
- 法人税・消費税・住民税・事業税などの税と、社会保険料・労働保険料を滞納していない
自己資本比率は、純資産を「純資産+負債」で割った値です。個人事業主は、税と保険料の滞納がないことの基準が対象になります(第8号)。
優良認定を受けるメリット
認定を受けると、許可の期間が延びるほかに、申請の手間や取引先の選び方の面でも違いが出ます。
許可の有効期間が7年になる
更新の許可の有効期間は通常5年ですが、優良基準に適合すると認められると7年になります(施行令第6条の9第2号)。更新の手続きの回数が減ります。
講習会の修了証も、優良認定を受けている場合は、更新の満了日から過去7年以内のものが使えます(通常は5年以内・大阪府の手引き)。
許可証に「優良」と表示され、自治体が公表する
優良認定を受けた業者には、優良である旨を記載した許可証が交付されます(収集運搬業は施行規則第10条の2・様式第七号の二、処分業は第10条の6・様式第九号の二)。認定を受けた業者は自治体のサイトでも公表されます。大阪府は産業廃棄物処理業者名簿のページに、優良認定業者の名簿を載せています。全国の認定業者は、産業廃棄物処理事業振興財団の「産廃情報ネット」で検索できます。
排出事業者の側から見ると、委託先を選ぶときの目印になります。多量排出事業者が出す産業廃棄物処理計画書には、優良認定業者への委託量の現状と目標を書く欄があります(同しおり)。
申請書類の一部が省略できる
処理業の許可を申請するときに、優良基準に適合すると認められた申請者は、次の書類の添付を省略できます(施行規則第9条の2第6項。大阪府の手引きでは次の3つ)。優良認定を受ける更新の申請のほか、すでに認定を受けている業者が別の区分の新規や変更の許可を申請するときにも対象になります(大阪府の申請書の様式でも、新規・更新・変更許可のそれぞれに「優良」の欄があります)。
- 事業計画の概要を記載した書類
- 直前3年の財務諸表と法人税の納付額を証する書類
- 定款・寄附行為
エコアクション21の取り方と費用
エコアクション21は、環境省が策定したガイドラインに沿って環境への取組を進める、中小事業者向けの認証制度です。産廃処理業者は「産業廃棄物処理業者向けガイドライン」に沿って取り組みます。
認証までの流れ
エコアクション21中央事務局の案内では、次の順で認証・登録されます。
- 環境経営の仕組みを作って運用し、環境経営レポートをまとめる
- 審査申込書と環境経営レポートを、最寄りの地域事務局へ送る
- 地域事務局が選んだ審査員が、書類審査と現地審査を行う
- 地域事務局の判定委員会が判定し、中央事務局が結果を通知する
- 認証・登録の契約を結び、登録料を払う
登録審査を申し込む時点で、仕組みを最低3か月以上運用していることが必要条件です(エコアクション21「審査及び判定規則」)。
産廃処理業者は、認証の対象範囲を産廃処理業の許可の範囲と一致させる必要があります(産業廃棄物処理業者向けガイドライン・審査及び判定規則)。
認証・登録にかかる費用
費用は中央事務局のページで、従業員数と業種に応じて示されています。産廃の収集運搬業は「環境負荷が比較的大きい事業所」の表に入ります。
審査費用は、標準審査工数表の人日数に、審査人1人日あたり5万円(税別)をかけた額に交通費を加えたものです。認証・登録料(2年分)は従業員数で決まります。
認証は2年ごとの更新で、登録の約1年後に中間審査、2年以内に更新審査があり、その都度審査費用がかかります。審査で不適合と判断された場合も、審査費用はかかります。
優良認定の申請時期と準備の段取り
優良認定は、許可の更新の申請とあわせて申請します。令和2年2月25日からは、一度許可の更新を受けた業者であれば、次の更新期限を待たずに、優良認定を伴う更新を申請できます(大阪府の手引き)。
透明性の基準(6か月の公表)とエコアクション21(3か月以上の運用と審査)を並べると、段取りは次のようになります。
- 最初に
- エコアクション21の取組を始める(地域事務局への相談・ガイドラインに沿った仕組みづくり)
- 申請の6か月以上前
- ホームページか産廃情報ネットで情報の公表を始める
- 運用3か月以上
- 環境経営レポートをまとめ、審査を申し込む
- 審査の後
- 判定・登録を受け、認証書の写しを用意する
- 更新の申請
- 優良認定を伴う更新を申請する(誓約書・公表の証明・認証書の写し・電子マニフェストの証明・納税証明書などを添付)
審査の日程や判定にかかる期間は地域事務局によって変わります。更新の満了日が近い場合は、今回は通常の更新を済ませ、優良認定は次の更新か期限前の申請で狙うことも考えられます。

よくある質問
新規の許可で優良認定を受けられますか?
優良認定は許可の更新とあわせて申請する仕組みのため、新規の許可では受けられません(施行令第6条の9第1号・第2号)。一度許可の更新を受けた後は、次の更新期限を待たずに、優良認定を伴う更新を申請できます(大阪府の手引き)。

赤字の年があっても優良認定は受けられますか?
1年だけ赤字でも、直前3年の「経常利益+減価償却費」の平均が0を超えていれば、その基準は満たせます。自己資本比率の基準は「いずれかの年で10%以上」か「前事業年度の営業利益+減価償却費が0超」のどちらかで足ります。ただし、どの年も自己資本比率が0以上(債務超過でない)であることは必要です(施行規則第9条の3第5号〜第7号)。
特別管理産業廃棄物の収集運搬業でも優良認定はありますか?
あります。特別管理産業廃棄物の収集運搬業にも、同じ形の5つの基準が定められています(施行令第6条の13第2号・施行規則第10条の12の2)。認定は許可の更新とあわせて受けるため、通常の産廃と特管の許可を両方持っている場合は、それぞれの許可の更新で申請することになります。

当事務所の強み:優良認定とエコアクション21の準備をまとめて支援
当事務所は、許可の更新とあわせて、優良認定の基準を満たすまでの段取りを支援します。エコアクション21の審査は地域事務局の審査員が行い、当事務所は取得の準備を支援する立場です。
- 5つの基準の現状確認:許可証・決算書・電子マニフェストの加入状況を確かめ、足りない基準と準備の順番を整理します。財務の基準は、1級FP技能士として決算書の数字から判定します。
- エコアクション21の取組の準備:産業廃棄物処理業者向けガイドラインに沿って、環境への負荷の把握・環境関連法規の一覧・環境経営レポートの作成を支援します。特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を持ち、化学メーカーで研究開発に携わった経験から、廃油・廃酸などの性状も踏まえて整理します。
- 情報公開の項目の整理:規則で決まった公表事項と更新の頻度を一覧にし、ホームページか産廃情報ネットへの載せ方を決めます。
- 優良認定を伴う更新の申請:誓約書・証明書類をそろえ、更新の許可申請とあわせて提出します。大阪府と府内の政令市の申請先の違いも踏まえて進めます。
報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

許可証の満了日が分かった時点でご連絡ください。情報公開の6か月とエコアクション21の運用期間から逆算して、どの更新で優良認定を狙うかをご提案します。
