家庭用品規制法とは|対象製品と有害物質の基準、事業者が確かめること

家庭用品規制法とは|対象製品と有害物質の基準、事業者が確かめること

衣類・寝具・タオルなどの繊維製品や、住宅用の洗浄剤、エアゾール製品を企画・輸入して売るとき、「この製品は何かの規制に当たるのか」と迷うことがあります。こうした生活用品の化学物質を規制しているのが家庭用品規制法(有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律)です。

この法律には、許可や届出の手続きがありません。その代わり、基準が定められた製品は、基準に合わなければ売ること自体が禁止されています(第5条)。違反すると1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(第10条)。

化粧品として売るか雑貨として売るかで、かかる法律も変わります。この記事では、製品が対象になるかの見分け方と、事業者が何を確かめればよいかを、条文と厚生労働省の資料に沿って整理します。

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家庭用品規制法の対象になる「家庭用品」の範囲

まず、法律がいう「家庭用品」に当たるかを確かめます。範囲は広い一方で、ほかの法律で規制されている製品は外れます。

一般消費者が生活で使う製品は広く対象

法律は「家庭用品」を、主として一般消費者の生活の用に供される製品と定めています(第2条第1項)。厚生労働省のQ&Aでも、一般消費者が生活のために使うあらゆる製品が基本的に当たると説明されています(家庭用品に関するQ&A・Q1)。

ただし、基準(数値の上限)があるのは、施行規則で指定された製品と物質の組み合わせだけです。対象の製品は、次の節の表で確かめられます。

化粧品・医薬部外品・食品用の器具などは対象外

法律の別表に掲げる製品は、「家庭用品」から除かれます(第2条第1項・別表)。

区分除かれる製品かかる法律
別表第1号食品・添加物・食器などの器具・容器包装、乳幼児用のおもちゃ、食品や食器用の洗浄剤食品衛生法
別表第2号医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品薬機法
別表第3号政令で定める製品現時点で該当なし(Q&A・Q3)

つまり、同じ「肌に使うもの」「洗うもの」でも、化粧品なら薬機法、食器用の洗剤なら食品衛生法、それ以外の生活用品なら家庭用品規制法、という分かれ方になります。化粧品か雑貨かの境目は、次の記事で解説しています。

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「業務用」と書くだけでは対象から外れない

明確に業務用として区別されている製品は、家庭用品に当たりません(Q&A・Q1)。厚生労働省は、その条件を次の2つとしています(Q&A・Q2-1)。

  • 消費者に見える部分に「業務用」と書いてある
  • 一般消費者が手に入れにくい流通経路で売られている

ホームセンターで売られている製品は、原則として家庭用品に当たるとされています。業務用のコーナーに置き、店員が一般の購入を止めるなどの対応をしている場合は別です(同Q2-1)。

相談者
相談者

うちの洗浄剤は「業務用」と書いてネットで売っています。家庭用品規制法は関係ないですよね?

行政書士
行政書士

「業務用」の表示だけでは足りないことがあります。ネットでは一般の方も簡単に買えるので、家庭用品とみなされる場合があります。

相談者
相談者

では、どうすれば業務用として扱われますか?

行政書士
行政書士

厚生労働省は、表示に加えて、一般の方が誤って買わないための仕組みを例に挙げています。購入画面で用途や注意事項の理解を確かめる質問を設ける、などです。

ネット販売で「明確に業務用として区別されている」とみなせる売り方の例は、令和8年9月25日版のQ&Aの別紙にまとまっています。商品ページの見やすい所に「業務用」と書くことに加えて、次の対応をすべて行う形です(Q&A・Q2-2別紙)。

  • 一般消費者向けの製品ではないことと、安全のための使用上の注意を商品ページに書く
  • 「ご家庭でもお使いいただけます」のような、一般向けと誤解される説明を書かない
  • 購入画面で用途や注意事項の理解を確かめる質問を設けるか、問い合わせを経て売る仕組みにする

法人や事業者だけが登録できる事業者専用のマーケットプレイスで売る場合は、上の対応がなくても業務用とみなしてよいとされています(同別紙の補足)。一般消費者が簡単に買える状態で売り、その製品が基準に合わない場合は、法律に基づく措置の対象になりえます(同別紙)。

有害物質の基準と対象製品の一覧(施行規則別表第1)

基準が定められている有害物質は、政令で21の化学物質群が指定されています(Q&A・Q4-1)。どの製品にどの物質の基準がかかるかは、施行規則の別表第1で決まっています(施行規則第1条)。

製品の種類ごとの有害物質と基準

施行規則別表第1を、製品の種類から引けるように並べ直しました。μg/gは、試料1gあたりのマイクログラムです。

製品の種類有害物質基準
乳幼児用(出生後24月以内)のおしめ・おしめカバー・よだれ掛け・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具ホルムアルデヒド試験法の吸光度差0.05以下または16μg/g以下
下着・寝衣・手袋・くつした(乳幼児用を除く)・たびホルムアルデヒド75μg/g以下
かつら・つけまつげ・つけひげ・くつしたどめに使う接着剤ホルムアルデヒド75μg/g以下
アゾ染料を使った繊維製品(おしめ・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具・床敷物・テーブル掛け・えり飾り・ハンカチーフ・タオル・バスマットなど)特定芳香族アミン24種を生じるアゾ化合物各アミン30μg/g以下
アゾ染料を使った革製品(毛皮製品を含む)の下着・手袋・中衣・外衣・帽子・床敷物同上各アミン30μg/g以下
おしめ・おしめカバー・よだれ掛け・下着・衛生バンド・衛生パンツ・手袋・くつした、家庭用の接着剤・塗料・ワックス、くつ墨・くつクリーム有機水銀化合物水銀として1μg/g以下
同上トリフェニル錫化合物・トリブチル錫化合物錫として1.0μg/g以下
おしめカバー・下着・寝衣・手袋・くつした・中衣・外衣・帽子・寝具・床敷物、家庭用毛糸ディルドリン・DTTB30μg/g以下
寝衣・寝具・カーテン・床敷物(繊維製品)APO検出されないこと
同上TDBPP8μg/g以下
同上BDBPP化合物10μg/g以下
住宅用の洗浄剤で液体状のもの塩化水素・硫酸酸の量として10%以下(容器の試験もあり)
家庭用の洗浄剤で液体状のもの水酸化ナトリウム・水酸化カリウムアルカリの量として5%以下(容器の試験もあり)
家庭用エアゾール製品塩化ビニル検出されないこと
家庭用エアゾール製品メタノール5w/w%以下
家庭用エアゾール製品・家庭用の洗浄剤テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン0.1w/w%以下
クレオソート油を含む家庭用の木材防腐剤・木材防虫剤ジベンゾ[a,h]アントラセン・ベンゾ[a]アントラセン・ベンゾ[a]ピレン各10μg/g以下
クレオソート油などで処理した家庭用の防腐木材・防虫木材同上各3μg/g以下

出典:施行規則別表第1・第2、厚生労働省​有害物質を含有する家庭用品の規制基準概要(2025年4月1日更新)。DTTB・APO・TDBPPは同資料の略称です。

酸・アルカリの液体洗浄剤は、中身の濃さに加えて、容器の強さの基準もあります。漏れ・落下・耐酸性(耐アルカリ性)・圧縮変形の試験に合うことが求められます(施行規則第2条・別表第2)。

​TDBPP・BDBPP化合物の基準の改正(令和7年4月1日施行)

改正前TDBPP・BDBPP化合物とも「検出されないこと」


改正後TDBPPは試料1gあたり8μg以下、BDBPP化合物は試料1gあたり10μg以下

試験法の改正で分析の精度が上がったため、従来の試験法の検出限界と同じ水準の値を基準にしたものです(令和6年7月31日 医薬発0731第1号)。

​補足:劇物に当たる洗浄剤は毒劇法の基準になる

表の洗浄剤の基準は、「製剤たる劇物」を除いたものです(施行規則別表第1)。濃度が高く劇物に当たる住宅用の液体洗浄剤は、毒劇法の側で成分の量と容器の基準が決まっています(毒物及び劇物取締法第13条の2・施行令第39条の2・別表第一)。劇物に当たる製品を販売するには、原則として毒物劇物販売業の登録が必要です(毒物及び劇物取締法第3条第3項。製造・輸入はそれぞれ製造業・輸入業の登録〔同条第1項・第2項〕)。

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下着・中衣・外衣などの範囲は通知の分類表で判断

「下着」「中衣」「外衣」がどの衣類を指すかは、昭和50年の留意事項通知の「繊維製品の分類表」に例が並んでいます。対象の製品かどうかは、原則として総務省の日本標準商品分類に従って判断します(Q&A・Q4-2)。

  • 下着:肌シャツ・パンツ・ブラジャー・ガードル・ペチコートなど
  • 中衣:ブラウス・ワイシャツ・Tシャツ・ポロシャツ・ベストなど
  • 外衣:スーツ・セーター・カーディガン・ワンピース・スカート・ズボン・ジャケットなど
  • 寝具:枕・布団・毛布・タオルケット・シーツなど
  • 床敷物:じゅうたん・マットなど
  • 家庭用毛糸:手編用毛糸・手芸用毛糸

出典:​有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律の運用に伴う留意事項について(昭和50年2月17日 環企第48号) 別紙

乳幼児用(出生後24月以内)かどうかは、使用目的や形から明らかなもののほか、「ベビー用」「24か月用」などの表示や広告で判断するとされています(同通知の2)。乳幼児用に当たると、ホルムアルデヒドの基準が16μg/g以下と厳しくなるため、商品名や商品ページの書き方にも注意が要ります。

アゾ化合物の基準は、特定芳香族アミン(政令で指定された24種の芳香族アミン)を化学的な変化で生じやすいアゾ染料が対象で、アゾ顔料は含まれません(平成28年 薬生化発0222第1号 第1の3)。専ら室内の装飾用・観賞用に使う製品や、畳・麦わら帽子のように紡績していない素材の製品は対象外とされています(同通知第5・Q&A・Q10)。

許可・届出はなく、事業者が基準に合うかを確かめる仕組み

家庭用品規制法には、販売前の審査や登録がありません。そのため、基準に合うかどうかを確かめる責任は、製造・輸入する事業者の側にあります。

事前の審査はないが、製造・輸入する事業者が確かめる

厚生労働省は、法律に事前の審査の規定はないとしています。そのうえで、基準に合わない製品は売れないため、製造・輸入する事業者が基準に合っているかを確かめる必要があると説明しています(Q&A・Q6)。確かめ方の例は次の2つです(同Q6)。

  1. 検査機関か自社の検査施設で、製品を試験する
  2. 原材料の事業者から、基準に合っているという情報を伝えてもらう(製造工程で化学的な処理を加えない場合に限る)

市場に出た後は、都道府県などが市販品を検査するなどして監視しています(厚生労働省​家庭用品の安全対策)。国内品か輸入品かは区別されません(同ページ)。

基準のない物質でも事業者の責務がある

製造・輸入する事業者は、製品に含まれる物質が健康に与える影響を把握し、被害が出ないようにしなければなりません(第3条)。Q&Aでは、別表第1にない物質も無制限に使えるわけではないとしています(Q&A・Q5)。重大な健康被害が出た場合は、回収などの対象になります(同Q5・第6条第2項)。

化学物質そのものは、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)で使い方が制限されていることもあります(Q&A・Q5)。新しい物質の追加を検討する仕組み(検討対象物質選定スキーム)も、令和6年7月に整理されました(厚生労働省「家庭用品の安全対策」)。

輸入品・ネット販売も対象

国内で売る家庭用品は、売り方にかかわらず対象です。ネット販売でも、実店舗と同じように扱われます(Q&A・Q11)。海外の工場で作った製品を輸入して売る場合も、国内で売る以上は基準に合っている必要があります。

基準の対象になる品目を扱っているか、取引先の試験結果で足りるかの判断に迷う場合は、当事務所にご相談ください。製品の種類と素材、配合表やSDS(安全データシート)から、関係する物質と基準を整理します。試験・分析そのものは検査機関にご依頼いただく形になり、どの項目を依頼すればよいかの整理までをお手伝いします。

基準に合わない家庭用品を売ったときの回収命令と罰則

基準に合わない製品は、製造・輸入・販売のどの事業者も、売ること・渡すこと・売るために並べることが禁止されています(第5条)。違反があると、次の措置や罰則の対象になります。

項目内容根拠
回収命令基準に合わない製品を売り、健康被害のおそれがあるとき、回収などを命じられることがある第6条第1項
応急の回収命令重大な健康被害が出て、原因物質が含まれる疑いがあるとき、製造・輸入事業者に回収などを命じられることがある第6条第2項
立入検査・収去家庭用品衛生監視員が事務所・倉庫などに立ち入り、製品を試験のために持ち帰ることがある第7条
販売禁止・命令の違反1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金第10条
報告・検査の拒否など5万円以下の罰金第11条
法人への罰則従業者が違反したとき、法人にも罰金刑第12条

命令を出すのは、厚生労働大臣または都道府県知事です。保健所を設置する市・特別区では、市長・区長になります(第6条第1項)。

化粧品か雑貨かで変わる規制と、ほかの法律との関係

生活用品にかかる法律は、家庭用品規制法だけではありません。製品の区分と、何を規制しているかで使い分けます。

化粧品として売れば薬機法、雑貨なら家庭用品規制法

化粧品・医薬部外品は家庭用品規制法の対象から外れ、薬機法で規制されます(第2条第1項・別表第2号)。区分を決めるのは、主に標榜する効能と使い方です。肌への効果をうたえば化粧品に当たる可能性が出てきて、製造販売業の許可や品目ごとの届出が必要になります。

一方、雑貨として売る製品は薬機法の許可は要りませんが、家庭用品規制法の基準の対象になりえます。たとえば、つけまつげに使う接着剤は施行規則別表第1に名前があり、ホルムアルデヒドの基準がかかります。区分を決めずに売り出すと、どちらの法律の手続きが漏れているかが分からなくなります。

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表示・劇物・製品事故はそれぞれ別の法律

家庭用品規制法が決めているのは、有害物質の量と一部の容器の基準です。表示や劇物の扱いは、別の法律が決めています。

法律何を決めているか関係する場面
家庭用品規制法有害物質の含有量・溶出量・発散量の基準、一部の洗浄剤の容器繊維製品・洗浄剤・エアゾール製品などを売るとき
家庭用品品質表示法政令で定める家庭用品の品質の表示(成分・用途など)洗剤・繊維製品などのラベルを作るとき
毒劇法劇物に当たる家庭用品の成分と容器(第13条の2)、劇物の販売の登録濃度の高い洗浄剤を扱うとき
薬機法化粧品・医薬部外品などの許可・届出・広告肌への効果をうたうとき
消費生活用製品安全法重大製品事故の報告など製品で重大な事故が起きたとき

厚生労働省は、重大製品事故の報告のうち家庭用品規制法で防ぐべきものについて、情報提供を行うとしています(厚生労働省「家庭用品の安全対策」)。

よくある質問

家庭用品規制法について、製造・輸入・販売の事業者からよくいただく質問をまとめます。

取引先から「アゾ化合物を使っていない証明書」を求められました。法律で決まった書類ですか?

法令上、基準に合うことを証明する書類は定められていません(Q&A・Q9)。取引先から書類を求められた場合は、どの形式が必要かを取引先に確かめることになります。基準に合うかの確かめ方としては、検査機関などでの試験や、原材料の事業者からの情報伝達が例に挙げられています(Q&A・Q6)。

古着や中古品を売る場合も家庭用品規制法の対象ですか?

対象になります。新品か中古品かにかかわらず、基準の対象になる家庭用品なら、基準に合わない製品は売れません(Q&A・Q4-3)。古着の下着・寝具などを扱う場合は、仕入れの段階で確かめ方を決めておくことを推奨します。

海外へ輸出するだけの製品にも、日本の基準がかかりますか?

家庭用品規制法は国内の行為だけを対象にしているため、輸出する製品には適用されません(Q&A・Q7)。輸出先の国の規制には従う必要があります。

出荷のときは基準内だったのに、倉庫で保管中に基準を超えたらどうなりますか?

移送・保管の間にほかの製品や建物から移って基準を超えた場合も違反になり、回収などの対象になります(Q&A・Q8)。輸送・販売する事業者も、保管の方法に注意が求められます。

当事務所の強み:家庭用品規制法の該当確認と化粧品・雑貨の区分判断

家庭用品規制法の該当確認と、化粧品・雑貨の区分の判断は、当事務所がまとめてお引き受けします。

代表は、元化学メーカー研究員として化粧品・洗剤・接着剤などの研究開発に携わってきました。配合表やSDSから、規制される物質が関係しそうかを読み取ることを得意としています。

  • 対象かどうかの整理:施行規則別表第1・留意事項通知の分類表に照らし、製品が基準の対象かを整理
  • 成分資料からの確認:配合表・成分表・SDSから、関係する有害物質と確かめる項目を洗い出し(試験・分析は検査機関)
  • 区分の判断:化粧品・医薬部外品・雑貨のどれに当たるかの判断と、化粧品になる場合の製造販売業・製造業の許可申請
  • 関係する法律の手続き:劇物に当たる製品の毒物劇物販売業の登録申請、薬機法・景表法の広告・表示の確認

初回のご相談はオンラインで無料です。販売中・企画中の製品の一覧を一度見直すだけでも構いません。基準の対象になる品目の洗い出しから始めます。

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