肥料登録とは|普通肥料の登録・特殊肥料の届出・肥料販売届の違い
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
肥料登録とは、肥料の品質の確保等に関する法律(肥料品質確保法、肥料法)に基づき、普通肥料を生産・輸入する前に農林水産大臣または都道府県知事の登録を受ける手続きです。肥料を扱う事業には、この登録のほかに、特殊肥料の届出や販売業者の届出があり、どれが必要かは肥料の種類と事業の形で決まります。
有機質肥料・堆肥・バイオスティミュラント等の農業資材を事業化するときは、製品が肥料に該当するかどうかの確認が先決です。食品廃棄物や動植物性残さを原料とした製品も同じです。
化学物質・製品の法令該非判定を行ってきた立場から、肥料法上の登録・届出の仕組みを整理します。
肥料の種類と手続きの違い
肥料法は肥料を「普通肥料」と「特殊肥料」に区分し、それぞれ異なる手続きを定めています。普通肥料のうち、登録済みの肥料を配合してつくる「指定混合肥料」は、登録ではなく届出で生産できます。
| 区分 | 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 普通肥料 | 農林水産大臣または都道府県知事の登録 | 生産・輸入の前 | 法第4条 |
| 公定規格のない普通肥料 | 農林水産大臣の仮登録 | 生産・輸入の前 | 法第5条 |
| 指定混合肥料 | 農林水産大臣または都道府県知事への届出 | 事業開始の1週間前まで | 法第16条の2 |
| 特殊肥料 | 都道府県知事への届出 | 事業開始の1週間前まで | 法第22条 |
| 肥料の販売 | 都道府県知事への販売業者の届出 | 販売開始後2週間以内 | 法第23条 |
普通肥料:登録が必要
化学肥料・有機質肥料など、成分規格が定められた肥料は「普通肥料」に分類されます。普通肥料を業として生産するには、銘柄ごとに農林水産大臣または都道府県知事の登録が必要です(肥料品質確保法第4条第1項)。
登録先は、肥料の種類によって次のように分かれます。
- 農林水産大臣登録:化学的方法によって生産される普通肥料、汚泥を原料とする普通肥料など(第4条第1項第1号〜第6号)
- 都道府県知事登録:上記以外の普通肥料(石灰質肥料を含む。同項第7号)
公定規格(農林水産大臣が種類ごとに定める成分等の規格)が定められていない普通肥料は、登録ではなく、農林水産大臣の仮登録を受けます(第5条)。
特殊肥料:届出で足りる
魚かす・草木灰・堆肥など、農林水産大臣が指定する肥料は「特殊肥料」に分類されます。特殊肥料は登録不要で、事業を開始する1週間前までに、生産する事業場の所在地を管轄する都道府県知事へ届け出れば生産・輸入できます(肥料品質確保法第22条第1項)。
届出事項に変更が生じたときや、事業を廃止したときは、2週間以内に届け出る必要があります(同条第2項)。
指定混合肥料:届出で生産可能
登録済みの普通肥料や、届出済みの特殊肥料を原料として配合する肥料のうち、配合による品質の低下のおそれがないものとして定められたものは「指定混合肥料」と呼ばれます。新たな登録を受けず、届出で生産できます(肥料品質確保法第4条第2項第2号〜第4号・第16条の2)。
指定混合肥料は、次の4種類に分かれます。
- 指定配合肥料:登録済みの普通肥料同士を配合した肥料
- 指定化成肥料:登録済みの普通肥料同士を配合し、水以外の材料を使って造粒するなどの加工をした肥料
- 特殊肥料等入り指定混合肥料:普通肥料と特殊肥料を配合した肥料
- 土壌改良資材入り指定混合肥料:普通肥料・特殊肥料に指定土壌改良資材を混入した肥料
届出は、事業を開始する1週間前までに行います。輸入業者と、第4条第1項第1号〜第3号の普通肥料を原料に使う生産業者は農林水産大臣に、それ以外の生産業者は生産する事業場の所在地の都道府県知事に届け出ます(第16条の2第1項)。
普通肥料の登録手続き
普通肥料の登録は銘柄ごとに申請が必要で、登録先は肥料の種類によって異なります。手続きを始める前に、製品がどの種類の普通肥料にあたるかを公定規格で確認することが先決です。
登録申請の流れ
- 製品の成分分析(公定規格との照合)
- 肥料の種類の判定と、原料規格への当てはめの確認
- 登録申請書の作成と、FAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)への下書き確認
- 登録申請書の提出と手数料の納付、肥料の見本(500グラム以上)の提出
- 調査・登録
農林水産大臣あての申請書と見本は、FAMICを経由して提出できます(施行規則第6条第1項)。申請書には肥料の見本を添えることが法律で定められています(第6条第1項)。
農林水産大臣あての申請は、e肥料(肥料情報システム)から電子申請できます。電子申請の手順や手数料、毎月10日・25日の締切から登録日が決まる仕組みは、次の記事で解説しています。

他社の工場で生産する場合
自社の工場を持たずに、他社の工場の設備を借りたり、生産を委託したりする場合は、登録の申請に先立って届出が必要になることがあります。契約の形によって、登録を受ける者も変わります。

有効期間と更新
普通肥料の登録の有効期間は、3年(農林水産省令で定める種類の普通肥料は6年)です(肥料品質確保法第12条第1項)。6年になる種類は、施行規則第7条の6に列挙されています。副産肥料や化成肥料などは、農林水産大臣が告示で指定したものに限って6年になります。
有効期間は、申請により更新できます(同条第2項)。更新の手数料は、書面申請で8,000円、電子申請で5,700円です(施行令第3条第2項)。更新を忘れて有効期間が切れると登録は効力を失い、その状態で生産すると無登録での生産になります
保証票の表示義務
登録を受けた普通肥料を生産または輸入した場合、容器または包装の外部に保証票を付けることが義務付けられています(肥料品質確保法第17条第1項)。保証票には、肥料の種類及び名称・保証成分量・生産業者の氏名及び住所・生産した年月・生産した事業場・正味重量・登録番号などを記載します。
保証票に記載する肥料の種類・名称・保証成分量・登録番号などは、登録証の記載と同一でなければなりません(施行規則第11条第6項)。成分や原料を変える場合は、登録の内容を変更する手続きが必要です。
また、生産業者・輸入業者・販売業者は、肥料の主成分・含有量・効果・原料・生産の方法について、虚偽の宣伝をしてはならず(第26条第1項)、誤解を生ずるおそれのある名称も使えません(同条第2項)。チラシやWebサイトでの宣伝も対象になるため、「有機由来100%」のような表示が原料の実態と合っているかの確認が重要です。
輸入肥料の手続き
海外から普通肥料を業として輸入する場合は、銘柄ごとに農林水産大臣の登録が必要です(肥料品質確保法第4条第4項)。
輸入する肥料が日本の公定規格を満たすかどうかの確認が先決です。海外で肥料として使われている製品でも、日本の規格に合致しない場合は、成分を調整するか、日本の規格に対応した銘柄として登録する必要があります。
なお、海外の生産業者が自ら農林水産大臣の登録を受ける制度もあります(第33条の2)。この場合は、日本国内に住所を有する国内管理人を選任します。
肥料販売業者の届出手続き
肥料の販売は許可制ではなく、肥料販売届(販売業者の届出)で足ります。普通肥料の登録や特殊肥料の届出とは別に、販売業務を行う事業者は、事業場ごとに都道府県知事へ届け出る必要があります(肥料品質確保法第23条第1項)。生産業者・輸入業者が自ら販売する場合も、この届出が必要です。
届出の種類と期限
- 開始届(肥料販売業務開始届出書):販売業務を開始した後2週間以内
- 変更届(肥料販売業務開始届出事項変更届出書):届出事項に変更が生じた日から2週間以内(同条第2項)
- 廃止届(肥料販売業務廃止届出書):廃止した日から2週間以内(同項)
開始届は「販売業務を開始した後」の届出です。特殊肥料・指定混合肥料の届出(事業開始の1週間前まで)とは期限の向きが逆になります
提出書類(開始届・変更届)
大阪府への届出は、郵送のほか、大阪府行政オンラインシステムによるオンライン申請もできます。
郵送で届け出る場合の提出書類は、次のとおりです。
- 所定の届出書 1部
- 法人:登記事項証明書/個人:住民票(いずれも発行後3か月以内・写し可)
- 返信用封筒(返信先を明記)
- 返信用切手
廃止届の場合は、届出書と既届出書の副本を提出します(返信用封筒・切手は不要)。
大阪府内の届出先
営業所(事業場)の所在地によって届出先が異なります。一部の市町は権限移譲により、各市の窓口への届出になります。
| 営業所の所在地 | 届出先 | 電話 |
|---|---|---|
| 権限移譲市以外の大阪府内 | 大阪府環境農林水産部農政室推進課地産地消推進グループ(大阪府咲洲庁舎22階) | 06-6210-9590 |
| 池田市 | まちづくり推進部 農政課 | 072-754-6152 |
| 寝屋川市 | まちづくり推進部 産業振興室 | 072-824-1181 |
| 箕面市 | みどりまちづくり部 農業振興室 | 072-724-6728 |
| 高石市 | 総合政策部 まち未来戦略室 産業共創課 農水・労働係 | 072-275-6179 |
| 門真市 | 市民文化部 産業振興課 | 06-6902-5966 |
| 泉佐野市・泉南市・阪南市・熊取町・田尻町・岬町 | 泉佐野市 生活産業部 農林水産課 | 072-463-1212(内線2203・2204) |
帳簿の備え付けと保存義務
肥料の生産業者・輸入業者・販売業者は、事業場ごとに帳簿を備え、肥料を購入したとき、または生産業者・輸入業者・販売業者に販売したときは、名称・数量・年月日・相手方の氏名または名称を記載しなければなりません(肥料品質確保法第27条第2項)。帳簿は2年間の保存が義務付けられています(同条第3項)。
生産業者・輸入業者は、これとは別に、生産・輸入したときに名称・数量・原料などを記載する帳簿を備える義務があります(第27条第1項)。食品廃棄物や動植物性残さを原料とする場合は、原料の管理を記録で示せるようにしておくことが重要です。
無登録・無届出の罰則
登録や届出をしないまま事業を始めると、罰則の対象になります。
- 登録・仮登録を受けずに普通肥料を業として生産・輸入した場合:3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科(第36条第1号)
- 特殊肥料・指定混合肥料の届出をしないで事業を開始した場合:1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその併科(第37条第1号)
- 販売業者の届出をしなかった場合、虚偽の宣伝をした場合:同じく1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその併科(第37条第2号・第3号)
よくある質問
肥料の販売に許可は必要ですか?
肥料の販売は許可制ではなく、届出制です。販売業務を行う事業場ごとに、販売を開始した後2週間以内に都道府県知事へ届け出ます(肥料品質確保法第23条第1項)。ただし、販売する肥料を自社で生産・輸入する場合は、販売の届出とは別に、普通肥料の登録や特殊肥料の届出が必要です。
食品工場から出る廃棄物を原料に有機肥料を作って販売したいのですが、登録は必要ですか?
製品が肥料に該当する場合は、登録または届出が必要になります。食品廃棄物を原料とした有機質肥料は、成分・製造方法によって、普通肥料と特殊肥料のどちらに分類されるかが変わります。廃棄物処理法上の扱いとの関係も整理する必要があるため、原料の性状と製造工程を確認したうえで、肥料法上の区分を判断することが重要です。
自社の農地だけで使う堆肥を作る場合も、届出は必要ですか?
特殊肥料の届出や普通肥料の登録は、肥料の生産を「業とする」者に課されています(第2条第4項・第4条・第22条)。自家用に作るだけで第三者に譲り渡さないなら、生産を「業とする」に当たらず、届出・登録の対象外と考えられます(第2条第4項)。
登録した肥料の成分配合を少し変えたい場合はどうなりますか?
保証成分量など登録の内容が変わる場合は、変更の手続きが必要になります。変更の内容によって、変更の届出で足りる場合と、新たな登録が必要になる場合があります。事前にFAMICまたは都道府県の担当窓口に確認することが重要です。
農薬と肥料を同じ店舗で販売しています。届出は別々に必要ですか?
それぞれ別の法律に基づく届出が必要です。肥料の販売には肥料品質確保法第23条の届出(都道府県知事あて)が、農薬の販売には農薬取締法第17条の届出(都道府県知事または権限移譲市あて)が、それぞれ販売所ごとに必要になります。農薬が毒物・劇物に該当する場合は、毒物及び劇物取締法の登録も別に必要です。

当事務所の強み:登録か届出かの判定から申請まで
肥料の登録と届出は、当事務所が登録か届出かの判定から申請書類の作成、FAMICとのやり取りまでお引き受けします。
化学物質の成分分析・製品の法令該非判定を実務で経験してきた立場から、肥料法上の登録・届出手続きを支援します。有機質肥料・バイオスティミュラント等の新規製品では、公定規格の種類の判定から、原料規格への当てはめ、FAMICとの下書き確認まで一貫して対応します。
- 普通肥料の登録申請(農林水産大臣登録・都道府県知事登録、e肥料による電子申請を含む)
- 仮登録の申請
- 特殊肥料・指定混合肥料の届出
- 変更の手続き・登録の更新
- 輸入肥料の登録申請
- 他社の工場を使う場合(生産設備の賃借・委託生産)の届出
- 肥料販売業者の届出(大阪府内の権限移譲市を含む)
- 廃棄物処理法との関係整理(食品廃棄物を原料とする場合)
製品の成分と、生産・販売の形がわかれば、登録か届出かを判定できます。製品がまだ試作中でも構いません。
