化粧品の輸出証明書|自由販売証明書に対応する様式と申請先・手数料
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
海外の取引先や現地当局から「Certificate of Free Sale を出してほしい」と求められ、化粧品の輸出証明書をどこに申請すればよいか分からず止まってしまうケースがあります。
日本には「自由販売証明書」という名称の様式が存在しません。相手国が求める 自由販売証明書(Certificate of Free Sale、CFS)に対応する日本側の証明書は、別の名称で用意されています。
あわせて見落としやすいのが、相手国向けの証明書とは別に、日本の 薬機法 が求める届出が存在することです。2つの手続きの違いから整理します。
化粧品輸出で必要になる2つの手続き
化粧品の輸出では、性質の異なる2つの手続きが発生します。
| 項目 | 輸出証明書 | 輸出用化粧品の届出(輸出届) |
|---|---|---|
| 求める主体 | 輸出先国の当局・取引先 | 日本の薬機法 |
| 法令上の義務 | 日本の法令上の義務ではない | 薬機法施行令第74条第1項の義務 |
| 提出先 | 日本化粧品工業会(粧工会) | 医薬品医療機器総合機構(PMDA)経由で厚生労働大臣 |
輸出証明書は、相手国から求められた場合に取得するものです。一方の輸出届は、要件に当たれば相手国の要求と関係なく必要になります。
薬機法施行令第74条に基づく輸出用化粧品の届出
まず日本側の義務から確認します。
薬機法施行令第74条第1項は、化粧品を輸出するために製造等をし、または輸入をしようとする者に対し、あらかじめ厚生労働大臣への届出を義務付けています。届出は様式第114による届書で行い、PMDAを経由して提出します(薬機法施行規則第265条)。
輸出用として届け出た製品は、法第61条が定める直接の容器等への記載事項が適用対象から外れます(施行令第74条第2項)。
ただし、この適用除外は届出の内容に従って製造・輸入する場合に限られます(施行令第74条第2項ただし書)。
届出が必要になる場面や届出事項の詳細は、次の記事で整理しています。

自由販売証明書に対応する日本側の証明書
ここからは相手国向けの証明書です。
粧工会が発給する5種類の様式
輸出用化粧品の証明書については、厚生労働省の通知「輸出用化粧品の証明書の発給について」(令和3年8月2日 薬生安発0802第1号・薬生薬審発0802第1号)が発給の枠組みを定めています。
この通知により、発給申請の窓口は日本化粧品工業会(粧工会)とされ、証明書の発給も原則として粧工会が行います。都道府県の薬務課ではない点が、化粧品製造販売業の許可申請と異なります。
証明書は次の5種類です。
| 様式 | 証明する内容 | 申請できる者 |
|---|---|---|
| 様式2-1 | 製造販売業に関する証明 | 製造販売業者 |
| 様式2-2 | 製造業に関する証明 | 製造業者 |
| 様式3 | 製造(輸入)及び販売に関する証明 | 製造販売業者 |
| 様式4-1 | 製造販売業者の製造(輸入)に関する証明 | 製造販売業者 |
| 様式4-2 | 製造業者の製造(輸入)に関する証明 | 製造業者 |
保管のみの製造所は登録を証明する様式
製造業に関する証明(様式2-2)には、許可を証明するものと登録を証明するものの2種類があります。根拠となる条文が異なるためです。
| 対象 | 根拠条文 | 英文の表記 |
|---|---|---|
| 製造業(一般区分・包装等区分) | 法第13条第1項の許可 | licensed |
| 保管のみを行う製造所 | 法第13条の2の2第1項の登録 | registered |
保管のみを行う製造所は、法第13条の2の2により製造業の許可ではなく登録を受ける仕組みです。証明書でも「登録された製造業者」として証明されることになります。

様式3・4は製品名のみの証明
前掲の厚生労働省通知は、様式3、様式4-1および様式4-2について「製品名のみの証明とし、成分等についての証明は行わない」と明記しています。
成分を証明する書類を求められても、これらの様式では対応できません。
粧工会証明分の発給申請の手順
申請できる者と必要書類を確認します。
申請できる者と必要書類
申請者は日本国内の医薬品医療機器等法上の化粧品製造販売業者もしくは製造業者に限られます。輸出を担う商社や卸売業者が単独で申請することはできません。
作成する書類は次の3点です。
- 化粧品証明書発給申請書(粧工会様式1)
- 証明書(様式2-1〜4-2のいずれか)
- 誓約書(粧工会様式5)
証明書そのものも申請者が作成して提出します。粧工会は、申請者が記入した内容を確認して証明する立場になります。
添付する書類は次のとおりです。
- 化粧品製造販売業の許可証の写し
- 化粧品製造業の許可証の写し
- 化粧品製造販売届書の写し
- 輸出用化粧品製造(輸入)届書の写し(製品が輸出用名称の場合)
- 発給手数料の振込金受取書のコピー
- 発給申請担当者連絡先
- 返信用封筒
粧工会の会員は、許可証や届書の写しを省略できます。
手数料と発給までの期間
| 区分 | 手数料(税込) | 内訳 |
|---|---|---|
| 粧工会会員 | 1,100円 | 発給手数料1,000円+消費税100円 |
| 非会員 | 4,400円 | 発給手数料4,000円+消費税400円 |
発給までの期間は14日間以内とされています。土日祝日、年末年始休暇、書類整備期間、証明者の海外出張日は含まれません。申請先は東京本部・中部日本支部・西日本支部の3か所で、支部ごとに振込口座と住所が異なります。
厚生労働省証明分が必要になる場合
原則は粧工会の証明ですが、輸出先国の法令等により厚生労働省の証明が要求される場合に限り、厚生労働省名義の証明書が発給されます。申請の窓口は厚生労働省証明分であっても粧工会です。
| 区分 | 手数料(税込) | 内訳 | 処理期間 |
|---|---|---|---|
| 粧工会会員 | 2,200円 | 発給手数料2,000円+消費税200円 | 概ね20日間 |
| 非会員 | 6,600円 | 発給手数料6,000円+消費税600円 | 概ね20日間 |
処理期間から土日祝日、年末年始休暇、書類整備期間が除かれる点は粧工会証明分と同じです。
必要書類も増えます。粧工会様式1に加えて厚生労働省様式1が必要になるほか、英文の証明書には訳文を添えます。また、輸出先国が厚生労働省の証明を求める根拠となる法令の写しを添付します。
粧工会は、厚生労働省の証明を求める場合には「粧工会の証明ではなく、厚生労働省の証明でなければならない理由」を十分に確認するよう案内しています。
よくある質問
Q. 商社に輸出を任せていますが、証明書は商社が申請できますか。
申請できるのは日本国内の医薬品医療機器等法上の化粧品製造販売業者または製造業者に限られます。商社が単独で申請することはできません。
Q. 証明書を取得すれば、輸出届は不要になりますか。
2つは別の手続きです。証明書は相手国が求めるために取得するもので、日本の法令上の義務ではありません。輸出届は薬機法施行令第74条第1項に基づく日本の義務で、相手国の要求とは無関係に必要になります。
Q. 粧工会に入会していないと証明書は取得できませんか。
非会員でも申請できます。ただし手数料が会員の4倍になり、許可証や届書の写しの省略も認められません。
Q. 証明書は粧工会が作成してくれるのですか。
証明書の様式そのものは、申請者が作成して提出します。粧工会は、申請者が記入した内容を確認して証明する立場になります。
当事務所の強み
化粧品の輸出では、日本側の法令対応と相手国からの要求への対応が並行します。
元化学メーカー研究員として海外拠点や海外の取引先と製品仕様をやり取りしてきた経験から、英文資料の読み解きと、日本の制度への対応付けを支援します。
- 輸出用化粧品の届出(薬機法施行令第74条・様式第114)の作成と提出
- 粧工会証明分・厚生労働省証明分の発給申請書類の作成
- 輸出用製品の表示規制の適用範囲の整理
- 国内向け製品と輸出専用品を併売する場合の届出の切り分け


粧工会の証明で足りるか、厚生労働省の証明が必要かは、輸出先国の法令等によって変わります。


