輸出用化粧品の届出|輸出届の対象と様式第114の届出事項
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
化粧品を輸出するために製造や輸入をする場合、薬機法 に基づく届出が求められます。輸出用化粧品の届出(輸出届)です。
輸出用として届け出た製品は、法第61条が定める直接の容器等への記載事項が適用対象から外れます。国内向け製品とは扱いが変わる点が、この届出の特徴です。
届出の対象と届出事項、表示規制の適用範囲を整理します。
輸出用化粧品の届出(輸出届)の位置づけ
輸出届の根拠は、薬機法施行令第74条第1項です。化粧品を輸出するために製造等をし、または輸入をしようとする者に対し、あらかじめ厚生労働大臣への届出を義務付けています。
提出は医薬品医療機器総合機構(PMDA)を経由して行います。
この届出は、海外の取引先や相手国当局から求められる証明書とは別の手続きです。証明書は相手国から求められた場合に取得するものですが、輸出届は要件に当たれば相手国の要求とは無関係に必要になります。

輸出届の対象
条文が対象としているのは「輸出するために製造等をし、又は輸入をしようとする者」です(施行令第74条第1項)。
「製造等」は法第2条第13項に規定する製造等をいいます。輸出するために製造する場合だけでなく、輸出するために輸入する場合も条文の対象に含まれています。
製造販売届との関係
輸出届と製造販売届(法第14条の9)は、対象としている行為が異なります。
法第2条第13項は「製造販売」を、製造等または輸入をした化粧品を販売し、貸与し、または授与することと定義しています。国内で販売等をしない輸出専用の製品は、この定義上の「製造販売」に当たらないため、製造販売届の対象にはなりません。
一方、国内向けの目的で製造等をし、製造販売届を提出済みの製品を、その後輸出に回す場合は、その製造等・輸入の時点で「輸出するために」行ったとはいえないため、施行令第74条第1項が対象とする製造等・輸入には当たらないと整理されます。
分かれ目になるのは、その製造等・輸入をどの目的で行うかです。国内向けの製品と輸出専用の製品を並行して扱う場合は、それぞれについて対応する届出を行うことになります。
届出事項と様式第114
届出の具体的な内容は、薬機法施行規則第265条が定めています。
届出事項の6項目
施行規則第265条第1項が定める届出事項は次のとおりです。
- 届出者の氏名及び住所
- 製造販売業者の場合は、主たる機能を有する事務所の名称及び所在地
- 製造業者の場合は、製造所の名称及び所在地
- 製造販売業の許可の種類、許可番号及び許可年月日
- 製造業の許可または登録の区分、許可番号または登録番号及び許可年月日または登録年月日
- 輸出するために製造等をし、または輸入をしようとする化粧品の品目及びその輸出先その他の情報
第6号には輸出先が含まれます。品目とあわせて、どこへ輸出するかも届出事項になります。
提出部数と提出先
届出は様式第114による届書で行い、正本1通と副本1通を提出します(施行規則第265条第2項)。提出はPMDAを経由して厚生労働大臣あてに行います。
記載内容に変更が生じた場合
届書に記載した事項に変更が生じたときは、施行規則第265条第3項により様式第6による届書を提出します。新規の届出とは様式が異なります。
輸出届で外れる表示規制と残る規制
届け出た製品は、国内向け製品にかかる規制の一部から外れます。
適用されなくなる法第61条の記載事項
薬機法施行令第74条第2項は、輸出のための製造・輸入・販売等について、法第43条や法第9章の規定を適用しないと定めています。
化粧品に関係するのは、法第61条(直接の容器等の記載事項)が適用対象から外れることです。同条は直接の容器または被包への記載事項として、次の内容を定めています。
- 製造販売業者の氏名または名称及び住所
- 名称
- 製造番号または製造記号
- 厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品にあっては、その成分の名称
引き続き適用される規定
施行令第74条第2項の括弧書きは、適用除外から外す条文を列挙しています。化粧品に関係するのは、法第62条によって準用される次の規定です。
- 法第55条第2項(販売、授与等の禁止)
- 法第56条第6号から第8号まで(販売、製造等の禁止)
- 法第57条(有毒有害な物質を含む容器の使用禁止等)
法第57条は、有毒もしくは有害な物質からなる物と一緒に収められていないこと、使用方法を誤らせやすい容器でないことを求めています。
適用除外の条件
施行令第74条第2項ただし書は、適用除外を受けられるのは届出の内容に従って製造・輸入し、または販売等をする場合に限ると定めています。
届出をしていない場合や、届け出た内容と実際の製造・出荷が異なる場合は、この条件を満たしません。
よくある質問
Q. 国内で販売している化粧品をそのまま輸出する場合も、輸出届は必要ですか。
施行令第74条第1項が対象としているのは「輸出するために」製造等をし、または輸入をしようとする場合です。すでに国内向けの目的で製造等を終え、製造販売届を提出済みの製品を、その後輸出に回すだけであれば、その製造等・輸入の時点で「輸出するために」行ったとはいえないため、同項の対象には当たらないと整理されます。輸出用として別に製造等をする場合は、輸出届の対象になります。
Q. 輸出専用の化粧品だけを製造する場合、製造販売業の許可は必要ですか。
法第12条第1項が許可を求めているのは「製造販売」をする場合です。国内で販売等をしない輸出専用の製品はこの定義に当たらないため、製造販売業の許可の対象にはなりません。一方、法第13条第1項は製造業の許可を受けた者でなければ業として製造をしてはならないと定めており、対象は製造行為そのものです。輸出専用であっても、国内で業として製造する場合には製造業の許可が求められます。
Q. 化粧品製造販売業の許可があれば、輸出届は不要ですか。
許可と届出は別の手続きです。製造販売業の許可を受けていても、輸出するために製造等をし、または輸入をしようとする場合には、施行令第74条第1項の届出が求められます。届出事項の第4号では、製造販売業の許可の種類・許可番号・許可年月日を記載することとされています。
Q. 英語の製品名で輸出する場合も届出が必要ですか。
日本化粧品工業会は、輸出証明書の製品名欄について、英語の名称で輸出する場合には輸出用化粧品製造届書の届出が必要であるとし、届出をした輸出用名称であれば記載できると案内しています(同会「輸出証明書発給業務 よくある質問」)。証明書の取得を予定している場合は、名称の扱いもあわせて確認することを推奨します。
Q. 輸出先の国が増えるたびに届出が必要ですか。
届出事項の第6号に「その輸出先」が含まれています。届け出た事項に変更が生じた場合は、施行規則第265条第3項により様式第6の届書を提出することとされています。
Q. OEMメーカーに製造を委託していますが、届出は誰が行いますか。
条文が対象としているのは「輸出するためにその製造等をし、又は輸入をしようとする者」です(施行令第74条第1項)。届出事項では、製造販売業者の場合と製造業者の場合とで記載する内容が分かれています(施行規則第265条第1項第2号・第3号)。
当事務所の強み
元化学メーカー研究員として、海外向け製品の仕様と国内の法令要求を突き合わせてきた経験から、輸出用化粧品の届出を支援します。
- 輸出用化粧品の届出(施行令第74条・様式第114)の作成とPMDAへの提出
- 輸出先の追加・製造所の変更に伴う変更届(様式第6)の作成
- 輸出用製品の表示規制の適用範囲の確認
- 相手国から求められる輸出証明書の発給申請支援


輸出届の要否は、製造や輸入の目的が「輸出するために」当たるかどうかで決まります。


