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健康食品・サプリメントと薬機法|食薬区分の判断基準と違反リスク

「血糖値の上昇を抑える」「免疫力を高める」——健康食品やサプリメントの販売ページでよく見る表現です。しかし、このようなフレーズが薬機法(医薬品医療機器等法)の規制に抵触する可能性があることを、すべての販売事業者が把握しているわけではありません。

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健康食品とサプリメントは、法律上「食品」として扱われます。ただし成分の性質や販売時の表現次第で「医薬品」と判断され、無許可販売として行政指導・回収命令・刑事罰の対象になるリスクがあります。この境界を引く考え方が「食薬区分」です。

元化学メーカー研究員として化学物質の成分評価に携わった経験から、食品・医薬品・医薬部外品の区分判断の仕組みを整理します。

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食薬区分の3つの判断軸

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食薬区分は成分・表現・用法の3つの観点を組み合わせて判断します。いずれか一つでも医薬品的と判断されれば、製品全体が規制の対象となる場合があります。

食薬区分(食品医薬品区分)とは、ある製品が「食品」として流通できるか「医薬品」として規制されるかを判断するための基準です。根拠は厚生労働省の通知(昭和46年薬発第476号「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)にあります。製品が医薬品と判断された場合、薬機法第14条に基づく製造販売承認なしに販売することは認められていません。

成分本質(原材料)による判断

厚生労働省は原材料ごとに2種類のリストを公表しています。

専ら医薬品リスト(「専ら医薬品として使用される原材料」リスト):このリストに収載された成分を含む製品は、効能を標榜しなくても医薬品として扱われます。センナ・マオウ・ゲンチアナ・ブクリョウなど多くの生薬成分が該当し、食品として販売することは認められていないとされています。

標榜しない限りリスト(「標榜しない限り食品として扱われる原材料」リスト):このリストの成分は、医薬品的な効能を標榜しない限り食品として流通できます。ビタミンC・コラーゲン・ヒアルロン酸・乳酸菌などが該当します。

医薬品的な効能効果の標榜による判断

成分が食品に使用できるものであっても、医薬品的な効能を謳えば医薬品として扱われる場合があります。

「血圧を下げる」「血糖値を改善する」「がん予防に効果がある」などの表現は、医薬品的な効能効果の標榜に該当する可能性があります

薬機法第66条は、医薬品等について虚偽・誇大な効能効果を広告することを禁じています。薬機法第68条は、承認を受けていない医薬品について効能効果を広告することを禁じています。これらは食薬区分で医薬品と判断された製品を販売・広告する場合に適用されると考えられます。

医薬品的な用法・用量による判断

昭和46年薬発第476号通知(別紙Ⅰ-4)では、服用時期・服用間隔・服用量等の記載がある場合は原則として医薬品的な用法用量とみなすとされています。「1日3粒、食前に服用」「体重60kgあたり〇〇mg服用」のような記載は該当する可能性があります。「食べ方」「摂り方」ではなく医薬品の服用指示のような表現は避けることが重要です。なお「服用」という言葉自体が医薬品で用いられる用語であるため、食品に対して使用すると行政指導のリスクが著しく高まります。実務では「1日3粒を目安に、水などと一緒にお召し上がりください」といった表現が一般的です。

機能性表示食品・トクホとの関係

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健康機能を合法的に訴求するためには、届出または許可を受けた制度の枠内で行うことが求められます。制度を利用しない場合は、後述のとおり広告表現に関する3法(薬機法・景表法・健康増進法)に抵触するリスクが生じます。

健康機能を合法的に表示できる制度として、機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)があります。

機能性表示食品(届出制)

食品表示法に基づく食品表示基準により設けられた制度です。事業者が消費者庁に届出することで「本品には〇〇が含まれ、〇〇の機能があることが報告されています」という表示が可能になります。ヒト試験または研究レビューによる科学的根拠の整備が求められます。

特定保健用食品(許可制)

健康増進法第43条に基づき、内閣総理大臣(消費者庁長官に委任)の許可を受けた製品のみ「〇〇の摂取が〇〇に有効です」という表示ができます。臨床試験による有効性・安全性の証明が求められ、審査期間も長くなります。

いずれの制度も利用せずに効能を標榜すると、広告表現を規制する3法——薬機法・景品表示法第5条第1号(優良誤認表示の禁止)・健康増進法第65条(誇大表示の禁止)——が問題となる場合があります。健康増進法第65条は「食品として販売する物」を直接の対象とした規定であり、食品販売事業者にも広く適用される点は押さえておくことが重要です。

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違反した場合のリスク

食薬区分の問題は、発覚後に段階的にリスクが拡大する傾向があります。行政指導から始まり、対応が遅れると刑事罰・EC停止に発展するケースもあります。

行政指導・改善命令

都道府県の薬務課または消費者庁が問題を把握した場合、まず行政指導が入ります。表現の改善・自主回収が求められ、対応が遅れると改善命令・廃棄命令に発展することがあります。

EC事業者への影響

Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングは薬機法違反の疑いがある商品を定期的に監視・削除しています。出品停止やアカウント停止に至ると、販売機会の喪失につながります

刑事罰

悪質な無許可医薬品の販売・広告は刑事訴追の対象となる場合があります。法人に対しても両罰規定により罰金刑が科される場合があります。

よくある質問

Q. 「むくみが気になる方に」という表現は薬機法に抵触しますか?

A. 製品の成分と組み合わせによって判断が異なります。「むくみ」は身体症状への言及であり、利尿作用を持つ成分が含まれている場合は医薬品的な効能効果の標榜と判断される可能性があります。成分が標榜しない限りリストに収載されているものであれば、表現を軟化させることで対応できる場合があります。表現の適否は成分リストとの照合を先に行うことが重要です。

Q. 海外で合法に販売されているサプリを日本のECで転売する場合も規制の対象ですか?

A. 対象となる場合があります。日本で販売する以上、日本の薬機法が適用されるとされています。海外の基準で合法であっても、専ら医薬品リストに収載された成分が含まれている場合や、日本の基準で医薬品的な効能を標榜している場合は、日本での販売が問題になる可能性があります。仕入れ前の成分確認と表現の精査が求められます。

Q. 「〇〇を含む」という成分名の記載だけなら問題ありませんか?

A. 成分名の単純な記載は原則として食品として販売できます。ただし、特定の成分名を強調することで「この成分によって〇〇の効果が得られる」という印象を与える場合は、暗示的な効能効果の標榜として問題になる場合があります。表現の強調度・配置・コンテキストが判断基準になります。

当事務所の強み

食薬区分の判断は、成分の化学的性質・製品の訴求表現・製造方法の3点を組み合わせた専門的な分析が求められます。

元化学メーカー研究員として化合物の成分分析・物性評価を実務で経験してきた立場から、成分本質リストとの照合・表現の適否確認・必要な許可手続きをまとめて対応します。

  • 食薬区分の判定(専ら医薬品リスト・標榜しない限りリストとの照合)
  • 商品ページ・SNS・広告文の薬機法・景表法チェック
  • 機能性表示食品届出に向けた要件整理
  • 医薬部外品への移行が必要な場合の許可申請サポート

区分の判定だけでも構いません。製品を市場に出す前に一度確認しておくことで、販売後の回収・行政対応を防げます。まずご相談ください。

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