公害防止管理者の選任届出|特定工場の種類別に必要な資格と手続き
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業で特定施設を有する工場(特定工場)は、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法)に基づき、公害防止管理者の選任と届出が義務付けられています。
「どの種類の管理者が何名必要か」「既存の資格保有者で対応できるか」という判断が難しく、設備を新設したタイミングで対応が遅れるケースがあります。
大気汚染防止法・水質汚濁防止法の届出手続きを扱ってきた立場から、公害防止管理者制度の概要と選任届出の手続きを整理します。
公害防止管理者が必要な特定工場とは

特定工場とは、以下の条件をすべて満たす工場です。
- 対象業種:製造業(加工業含む)・電気供給業・ガス供給業・熱供給業
- 対象施設:大気汚染防止法・水質汚濁防止法・騒音規制法・振動規制法・ダイオキシン類対策特別措置法が定める特定施設を有すること
- 規模要件:施設の種類・規模によって異なる
対象業種であっても、特定施設を保有していない工場は特定工場に該当しません。

対象施設の主な例
- 大気関係:ばい煙発生施設(ボイラー・焼却炉・乾燥炉等)、揮発性有機化合物排出施設
- 水質関係:特定施設(排水を伴う一定の設備)
- ダイオキシン類関係:廃棄物焼却炉・金属精錬炉等
特定工場に必要な公害防止組織の体制

特定工場に求められるのは「管理者」一人ではなく、規模に応じた3層の組織体制です。
公害防止統括者(従業員21人以上の工場)
常時使用する従業員が21人以上の特定工場は、公害防止に関する業務を統括管理する「公害防止統括者」の選任が義務付けられています(公害防止組織法第3条)。特定の資格は不要で、工場長など事業の実施を統括管理する者が就任するのが一般的です。
公害防止主任管理者(大規模工場のみ)
排出ガス量が4万m³以上かつ排出水量が1万m³以上の工場には、公害防止統括者を補佐し公害防止管理者を指揮する「公害防止主任管理者」の選任も義務付けられています(公害防止組織法第5条)。公害防止主任管理者試験の合格が必要です。
公害防止管理者(全特定工場)
すべての特定工場において、保有施設の種類・規模に応じた区分の「公害防止管理者」の選任が義務付けられています(公害防止組織法第4条)。
公害防止管理者の種類と資格

公害防止管理者の資格区分は、対応する公害の種類によって7つの分野に分かれています。大気・水質は施設規模に応じてさらに第一種〜第四種に細分されるため、資格区分は全部で12区分(公害防止主任管理者を含めると13区分)あります。
大気・水質関係の管理者区分
施設の排ガス量・排水量の規模によって、求められる資格区分が異なります。規模が大きいほど上位区分(第一種)の資格が必要です。
- 大気関係第一種:すべての大気関係施設の管理者に選任可
- 大気関係第二〜四種:排ガス量の規模に応じて選任できる施設が限定
- 水質関係第一種:すべての水質関係施設の管理者に選任可
- 水質関係第二〜四種:日排水量の規模に応じて選任できる施設が限定
その他の区分
- 騒音・振動関係:騒音規制法および振動規制法の特定施設が対象(1区分に統合)
- 特定粉じん関係:石綿(アスベスト)発生施設が対象
- 一般粉じん関係:コークス炉・鉱業用破砕機等が対象
- ダイオキシン類関係:廃棄物焼却炉等が対象
資格の取得方法は、公害防止管理者等国家試験の合格、または区分ごとに定められた技術資格(計量士・技術士等)の保有により試験免除となる制度があります。
選任届出の手続き
特定施設を新設して特定工場に該当することになった場合は、選任と届出の2段階の期限が設けられています。
選任・届出の期限
選任期限と届出期限は別々に定められています。
| 役職 | 選任期限(事由発生から) | 届出期限(選任日から) |
|---|---|---|
| 公害防止統括者 | 30日以内 | 30日以内 |
| 公害防止管理者 | 60日以内 | 30日以内 |
| 公害防止主任管理者 | 60日以内 | 30日以内 |
選任せずに放置した場合と、選任後に届出を怠った場合の両方が罰則の対象となります。
届出の流れ
- 特定工場の確認(業種・保有施設の種類・規模の確認)
- 必要な役職・管理者の種別・人数の特定
- 社内の資格保有者の確認、または採用・資格取得計画の策定
- 選任届出書の作成
- 都道府県知事へ届出
主な提出書類
- 公害防止管理者等選任届出書
- 公害防止管理者の資格証明書の写し(国家試験合格証・技術資格の証明書等)
- 工場の施設概要(特定施設の一覧)

よくある質問
Q. 社外のコンサルタントを公害防止管理者に選任できますか?
A. 公害防止管理者は工場に常時勤務する従業員から選任する必要があります。社外のコンサルタントを選任することは原則として認められておらず、自社内の資格保有者の確保が前提となります。
Q. 公害防止管理者には代理者の設置も必要ですか?
A. すべての特定事業者に代理者の選任が義務付けられています(公害防止組織整備法第6条第1項)。公害防止管理者が旅行・疾病等で職務を行えない場合に代行する者を選任し、届出が必要です。代理者にも同種の資格が求められます。
Q. 複数の工場を持つ場合、一人の管理者が兼任できますか?
A. 原則として工場ごとに選任が必要です。ただし、隣接する工場など一定の要件を満たす場合に例外が認められるケースがあります。同一工場内で複数区分(大気・水質等)を兼任することは、それぞれの資格を保有していれば可能です。
当事務所の強み
元化学メーカー研究員として大気・水質の法令実務に携わってきた経験から、特定工場に該当するかどうかの確認から、必要な役職・管理者の種別・人数の特定まで技術的な観点で整理します。大気汚染防止法・水質汚濁防止法の届出手続きとあわせて、公害防止管理者の選任届出を一括してサポートします。
- 特定工場の確認(業種・施設の種類・規模の照合)
- 必要な役職・管理者の種別・人数の特定
- 選任届出書の作成・提出代行
ご連絡をお待ちしています。


