計量証明事業の登録申請|環境計量・産廃重量計量に必要な手続きと要件
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
排水・排ガスの濃度測定、騒音・振動の測定、産業廃棄物の重量計量——これらを事業として行うには、計量法に基づく都道府県知事への登録が必要です。「測定・計量の専門業者として依頼を受ける」という行為が、計量証明事業の登録を要する業務に該当します。
環境コンサルタントや廃棄物処理業者が事業範囲を広げる際に、この登録の存在を見落とすケースがあります。登録なしに計量証明書を発行することはできません。
産廃・環境関連の許認可手続きに携わってきた立場から、計量証明事業登録の仕組みと申請の流れを整理します。
計量証明事業とは
計量証明事業とは、他者の依頼を受けて物象の状態(濃度・長さ・質量・音圧等)を計量し、その結果について証明を行う事業です(計量法第百七条第一項)。
「証明」とは、計量結果を文書(計量証明書)として発行することを指します。自社内の管理目的の計量は登録不要ですが、取引・証明の目的で第三者に結果を提供する場合は登録が必要です。
登録が必要な主な事業区分
計量証明事業には以下の区分があります(計量法第百七条第一項)。
環境計量(濃度関係):大気・水・土壌中の化学物質・重金属等の濃度測定。水質汚濁防止法・大気汚染防止法に基づく排水・排ガスの法定測定を受託する場合に必要です。なお、移動可能な状態で集積されている産業廃棄物の分析は計量証明事業の対象外とされています。
環境計量(音圧レベル・振動加速度レベル関係):騒音・振動の測定。騒音規制法・振動規制法に基づく測定を受託する場合が該当します。
一般計量証明(質量):産業廃棄物・貨物等の重量を計量して証明する事業。産廃の収集・運搬において重量計量証明書の発行を受託する場合が該当します。

登録要件
登録を受けるには、事業区分ごとに人的要件・設備要件を満たす必要があります。
環境計量士の配置
環境計量(濃度関係)および環境計量(騒音・振動関係)の登録には、事業の区分に応じた計量士を計量管理者として配置する必要があります。対象となる計量士は計量法施行規則で事業区分ごとに定められており、環境計量(濃度関係)には濃度関係の環境計量士、環境計量(騒音・振動関係)には音圧レベル・振動加速度レベル関係の環境計量士(いずれも国家資格)が必要です。
環境計量士は濃度関係と騒音・振動関係で区分が異なります。両方の事業を行う場合、各区分に対応した資格を持つ環境計量士の配置が必要です。ただし、両区分の資格を持つ1人の環境計量士が両方の計量管理者を兼任することは可能です。
一般計量証明(質量)については、環境計量士の配置は不要ですが、事業所に一般計量士(国家資格)または主任計量者(計量法第百八条第五号ロ)を最低1名配置する必要があります。主任計量者は一般計量士の国家試験とは別のルートで資格を取得できるため、社内人材を活用しやすい選択肢です。
計量器の基準適合
事業に使用する計量器が計量法上の検定・校正要件を満たしていることが必要です。天びん・ガスクロマトグラフ・騒音計等が対象になります。
申請先
都道府県知事(事業所の所在地を管轄する都道府県)へ申請します。
主な申請書類
- 計量証明事業登録申請書
- 事業所の所在地・構造を示す書類
- 環境計量士の資格を証する書類(環境計量の場合)
- 一般計量士または主任計量者の資格を証する書類(一般計量証明の場合)
- 使用する計量器の一覧・検定証印の写し
- 登記事項証明書(法人の場合)
登録後の義務
登録後も、計量証明書の発行・計量器の管理・変更届など継続的な義務があります。
計量証明書の発行
計量証明を行った場合は、所定の事項を記載した計量証明書を依頼者に交付できます(計量法第百十条の二)。
計量器の定期検査
使用する特定計量器については、定期的な検査・校正が求められます。
変更届・廃業届
登録事項(所在地・計量管理者(計量士または主任計量者)・使用する計量器等)に変更が生じた場合は変更届が必要です。

よくある質問
Q. 産廃の収集運搬業者が自社で重量を計って証明書を出す場合も登録が必要ですか?
A. 他者の依頼を受けて計量証明書を発行する場合は登録が必要です。自社が収集した廃棄物の重量を自社で記録するだけであれば計量証明事業には当たりません。ただし、排出事業者等から計量証明書の発行を求められる場合は、計量証明事業の登録が必要になります。
Q. 環境計量士の資格を持つ社員がいません。外部委託で対応できますか?
A. 環境計量(濃度・騒音)の登録には、事業所に環境計量士を計量管理者として置くことが要件です。外部委託による代替は原則として認められておらず、自社社員が環境計量士の資格を取得するか、資格保有者を採用・転籍させる必要があります。
なお、一般計量証明(質量)に登録する場合は、環境計量士ではなく一般計量士または主任計量者の配置が必要です。主任計量者は国家試験とは別のルートで資格を取得できるため、環境計量士の確保が難しい場合でも、社内の人材を主任計量者として配置したうえで質量の計量証明から着手する方法があります。
Q. 複数の都道府県で計量証明事業を行う場合はどうなりますか?
A. 事業所ごとに所在地の都道府県知事への登録が必要です。大阪府と兵庫県に事業所がある場合は、それぞれの都道府県で登録を受ける必要があります。
当事務所の強み
元化学メーカー研究員として排水・排ガスの測定管理に携わった経験を活かし、計量証明事業登録の手続きを支援します。水質汚濁防止法・大気汚染防止法の届出と計量証明事業登録を合わせて対応することで、環境法令全体の手続き漏れを防げます。
- 計量証明事業登録申請(新規・変更)
- 水質汚濁防止法・大気汚染防止法の届出との一括対応
- 登録後の変更届・廃業届サポート
どの事業区分が必要かわからなくても対応できます。事業内容をお聞かせいただければ、登録区分を特定します。


