事業継続力強化計画(BCP認定)の申請方法|補助金加点・税制優遇を得る手順
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
補助金の加点項目として取り組みやすいのが、事業継続力強化計画の経済産業大臣認定(通称:BCP認定)です。申請書では高度な定量目標は通常求められません。計画の方向性を正しく理解すれば、中小企業でも着実に認定を取得できます。
「BCP認定」とは何か

「BCP認定」は、事業継続力強化計画の経済産業大臣認定を指す通称です。BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)という言葉を含むため混同されやすいですが、両者は性格が異なります。
BCPは企業が自主的に策定する計画であり、組織体制・財務戦略・復旧目標値まで含む包括的な内容が求められます。認定・審査の仕組みはなく、補助金加点にも原則つながりません。
一方、事業継続力強化計画は、国が中小企業向けに設計したBCPの入門的な公的認定制度です。「まず自社のリスクを認識し、初動対応の方向性を示す」ことが目的であり、精緻な数値目標は求められません。経済産業局の審査を経て認定を受けることで、補助金加点・税制優遇・低利融資といった公的支援につながります。この認定を受けることを通称「BCP認定を取る」と呼んでいます。
根拠法は中小企業強靱化法(中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律)で、所管は経済産業省(経済産業局)です。
| BCP | 事業継続力強化計画 (BCP認定) | |
|---|---|---|
| 性格 | 企業が自主的に策定する計画 | 国(経済産業大臣)が認定する制度 |
| 策定水準 | 組織体制・財務戦略・復旧目標値まで含む包括的な内容 | 自社のリスク認識・初動対応・訓練計画の方向性を示す入門レベル |
| 対象 | 大企業・中小企業を問わない | 中小企業・小規模事業者が対象 |
| 認定・審査 | なし(自社内の取り組み) | 経済産業局が審査・認定 |
| 補助金加点 | 原則なし | あり(ものづくり補助金等) |
認定を受けるメリット

事業継続力強化計画の認定には、3つの実利があります。
補助金への加点
以下の主要補助金で加点要件として活用できます。
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠、創業型)
- IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)
- 事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)
補助金の加点要件は、公募回ごとに見直しが行われます。最新の公募要領で必ず確認してください。

税制優遇(特別償却)
認定計画に記載した設備のうち、自家発電設備・止水板・排水ポンプ・耐震装置など一定の防災・減災設備について、認定後1年以内に取得した場合に取得価額の16%の特別償却(中小企業防災・減災投資促進税制)が適用される場合があります。対象設備の範囲や適用要件は税務上の条件によって異なるため、税理士または経済産業局に確認してください。
低利融資・保証枠の拡大
日本政策金融公庫による低利融資(設備・運転資金について基準利率から最大0.9%引き下げ、融資限度額は国民生活事業7,200万円・中小企業事業7億2,000万円)や、信用保証協会による別枠での追加保証・保証枠の拡大を受けられます。なお、融資申込そのものは別途各金融機関の審査が必要です。詳細は日本政策金融公庫または信用保証協会へご確認ください。
また、認定後はロゴマーク(専用シンボル)を名刺・ウェブサイト等で使用でき、対外的なPRにも活用できます。
申請できる事業者

事業継続力強化計画の認定を受けられるのは、中小企業基本法に定める中小企業者および小規模事業者です。業種ごとの資本金・従業員数要件を満たしていることが前提です。
申請形式は2種類あります。
- 単独型:自社のみで計画を策定・申請する
- 連携型(連携事業継続力強化計画):複数の中小企業者が共同で策定・申請する
製造業でサプライチェーンを組む事業者同士が連携して申請するケースが、連携型の典型です。
申請書に書く内容

申請書の記載項目は、経済産業省が公開するフォーマットに沿って作成します。大きく以下の構成になります。
ハザード・リスクの確認
自社の事業活動に影響を及ぼす自然災害等のリスクを洗い出します。ハザードマップ(洪水・土砂・津波等)を確認し、自社の所在地にどのリスクがあるかを記載します。ハザードマップポータルサイト(国土交通省)で無料確認できます。
地震・洪水・強風・感染症・サイバー攻撃など、影響しうるハザードを複数列挙することが求められます。
発災時の初動対応と事前対策
リスクが現実化した際の初動フロー(安否確認・避難・設備停止手順など)と、事前に講じる対策(設備の固定・データバックアップ・代替手段の確保など)を記載します。
「代替手段」としては、主要設備の故障時に外注先を確保しておく、データをクラウドに二重保存するといった内容が該当します。現状できていることをベースに、実現可能な対策を記載すれば十分です。
訓練・見直し計画
策定した計画の実効性を高めるため、定期的な訓練の実施と計画の見直しサイクルを記載します。「年1回、防災訓練を実施する」「毎年度末に計画を見直す」という記載で対応できます。
推進体制
計画の推進責任者(通常は代表者)と担当者を明記します。
申請の流れ

経済産業局へのオンライン申請が標準的な方法です。
- 計画の策定:上記の記載項目を埋めた申請書を作成する
- 申請書の提出:事業継続力強化計画電子申請システムから電子申請する。ログインにはGビズIDアカウント(プライムまたはメンバー)が必要です。
- 審査・認定:管轄の経済産業局が審査(標準処理期間45日)を行い、認定通知書が交付される
- ロゴマーク・認定証の受領:認定後、認定証・ロゴマークが交付され、名刺やウェブサイト等で使用できる
計画の実施期間は最長3年です。期間終了後に認定を継続したい場合は、新たな計画を策定して再申請が必要です。再申請時は新規書類に加え、直近認定計画の実施状況報告書と前回認定通知書・計画書の写しを添付します。
申請手数料は無料です(経済産業局への申請自体に費用はかかりません)。
補助金申請タイミングとの関係
ものづくり補助金や持続化補助金を申請する際、加点要件として公募締切時点で有効な認定が必要なことが多いです。制度・公募回によって条件が異なるため、最新の公募要領で必ず確認してください。
審査の標準処理期間は45日です。さらにGビズIDの取得と計画書の作成期間を加えると、申請開始から認定まで2〜3か月を見込む必要があります。補助金の公募スケジュールが決まったら、逆算して計画策定に着手してください。締切が近づいてから動き出すと、認定が間に合わず加点を受けられないリスクがあります。


よくある質問
Q. 認定を受けるには、すでに防災設備が整っていないといけませんか?
A. 設備が整備済みである必要はありません。現状のリスクを認識したうえで、今後どう対応するかの方向性を示す計画書を作ることが趣旨です。「これから取り組む」という内容でも申請できます。
Q. 計画書の記載量はどれくらい必要ですか?
A. 経済産業省が提供するWordフォーマットへの記載が基本で、分量の目安は数ページです。精緻な数値分析より、自社の実態に即した具体的な記載が評価されます。記載要領は経済産業局の公式サイトで確認してください。
Q. 計画の実施期間が終わったら加点は使えなくなりますか?
A. 有効な認定を持っていることが補助金加点の条件です。実施期間終了後は新たな計画を策定して再申請することで、引き続き加点要件として活用できます。再申請のタイミングも補助金スケジュールと合わせて管理してください。
当事務所の強み
当事務所では、事業継続力強化計画の認定申請支援を行っています。
- 元化学メーカー研究員として、製造設備・化学物質の取り扱いリスクを現場感覚で把握しています。ハザードマップの読み解きから、製造ラインの停止・復旧フローの整理まで、技術的な視点から計画書を一緒に作成します。
- FPの知見により、認定取得後の税制優遇(特別償却)を補助金・設備投資計画と組み合わせた「コスト最小化」の観点でアドバイスします。
- 認定申請にとどまらず、ものづくり補助金・持続化補助金への加点活用、採択後の交付申請・実績報告まで一貫してサポートします。
「BCP認定を取りたいが何から始めればよいかわからない」という状態でも対応できます。現状のリスク整理からご一緒に進めましょう。
