産業廃棄物と一般廃棄物の違い|製造業が迷う廃棄物の種類判定
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「自社から出る廃棄物が産廃なのか、普通のゴミとして捨てていいのかわからない」という相談は、製造業の経営者から多く寄せられます。廃棄物の種類を誤って処理すると、廃棄物処理法違反として行政指導・刑事罰の対象になるリスクがあります。
廃棄物処理法の種類判定は、物の名前だけでなく「どの事業から、どのような形で排出されたか」が判断基準です。同じ「廃紙」でも産廃になる場合と一般廃棄物になる場合があります。
元化学メーカー研究員として廃液・廃油の日常管理を経験した立場から、製造業でよく迷う判定ポイントを整理します。
産業廃棄物の定義と20種類の内訳
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法施行令第2条で定める20種類に該当するものをいいます(廃棄物処理法第2条第4項)。
産廃20種類は、全業種から排出される12種、業種が限定される7種、施行令第2条第13号の処理物1種に区分されます。
全業種から排出される12種
どの業種の事業活動から生じた場合でも産業廃棄物として扱われます。製造業で特に発生頻度が高いものを例示します。
| 種類 | 製造業での主な例 |
|---|---|
| 燃え殻 | 焼却炉の灰 |
| 汚泥 | 排水処理設備から出る泥状物 |
| 廃油 | 廃溶剤・廃潤滑油・廃切削油 |
| 廃酸 | 酸洗い廃液・廃硫酸・廃塩酸 |
| 廃アルカリ | 脱脂廃液・廃苛性ソーダ |
| 廃プラスチック類 | 廃容器・廃パッキン・廃ビニール |
| ゴムくず | 製造工程から生じた天然ゴムくず(使用済みタイヤ等は対象外) |
| 金属くず | 切削屑・プレス屑・鉄くず |
| ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず | 廃ガラス容器・廃セラミック |
| 鉱さい | 溶融スラグ・鋳造砂 |
| がれき類 | 解体工事から出るコンクリート破片 |
| ばいじん | 集塵機・排ガス処理装置からの粉塵 |
廃酸・廃アルカリは業種を問わずすべて産廃です。化学メーカー・メッキ工場・食品加工場でも同様に扱われます。
業種が限定される7種
特定の業種の事業活動から排出された場合にのみ産廃となります。それ以外の業種から出た場合は事業系一般廃棄物として扱われます。
| 種類 | 産廃となる主な業種 |
|---|---|
| 紙くず | 紙・パルプ製造業、印刷業、新聞業、出版業、製本業、建設業 |
| 木くず | 木材・木製品製造業、建設業、パルプ製造業 |
| 繊維くず | 繊維工業(衣服・その他繊維製品製造業を除く)、建設業 |
| 動植物性残渣 | 食料品製造業・飲料製造業・医薬品製造業など |
| 動物のふん尿 | 畜産農業 |
| 動物の死体 | 畜産農業 |
| 施行令第2条第13号の廃棄物 | 輸入廃棄物の処理や特定再生物など |
化学メーカーが注意すべきポイント:工場のオフィスから出る紙ごみや、資材の梱包に使われた木材の端材は、化学工業には紙くず・木くずの産廃指定業種が含まれないため、事業系一般廃棄物になります。一方、製造工程で生じた廃プラスチック梱包材は産廃(廃プラスチック類)です。物の種類だけでなく、どの工程から出たかで判断が変わります。
特別管理産業廃棄物の該非確認
産廃の中でも、爆発性・毒性・感染性など特に危険性が高いものは特別管理産業廃棄物(特管産廃)として指定され、保管・委託・マニフェストに関してより厳しい規制が適用されます。

化学メーカーで関係しやすい特管産廃は以下のとおりです。
- 引火性廃油:引火点70℃未満の廃油(廃溶剤・廃ガソリン等)
- 強酸:pH2.0以下の廃酸
- 強アルカリ:pH12.5以上の廃アルカリ
- 廃PCB等:PCBが含まれる廃棄物
通常の廃油でも引火点によって「特管」への分類が変わります。SDSで引火点を確認することが判定の第一歩です。
製造業でよく迷う判定ケース
廃棄物の種類判定で迷いやすい具体例を整理します。
廃液の判定:酸性やアルカリ性の廃液は、業種にかかわらず廃酸・廃アルカリとして産廃です。pH2以下は強酸(特管産廃)、pH12.5以上は強アルカリ(特管産廃)に分類されます。
廃溶剤の判定:有機溶剤の廃液は廃油(産廃)です。引火点70℃未満の場合は引火性廃油(特管産廃)になります。アセトン・エタノール・酢酸エチルなど引火点の低い溶剤は特管に該当することが多くあります。
排水処理汚泥:排水処理設備から出る泥状物は汚泥(産廃)です。重金属など有害物質を含む場合は有害物質を含む汚泥(特管産廃)に該当する可能性があります。
廃液・廃油の混合:引火性廃油と廃酸を混合した場合、双方の特管産廃の規制が適用されます。分別管理が委託コストを下げる観点からも重要です。
よくある質問
Q. 廃棄物の種類を誤って処理した場合、どうなりますか?
A. 産廃を一般廃棄物として処理した場合、廃棄物処理法違反として行政指導・行政処分の対象になります。悪質な場合は刑事罰(5年以下の拘禁または1,000万円以下の罰金)に問われることもあります。判断が難しい廃棄物は行政窓口や専門家に事前確認することが重要です。
Q. 委託する収集運搬業者はどう選べばいいですか?
A. 産廃収集運搬業の許可は廃棄物の種類ごとに付与されています。委託前に、自社が排出する廃棄物の種類が許可証に記載されているかを必ず確認してください。特管産廃を委託する場合は特別管理産廃収集運搬業許可が別途必要です。

Q. 廃棄物かどうかの判断(有価物との区別)はどう考えればいいですか?
A. 廃棄物かどうかは「占有者が自ら利用し、または他者に有償で売却できるものかどうか」が判断基準の一つです。スクラップ業者に有償売却できる金属くずは有価物として扱われることがありますが、有価物か廃棄物かの境界は行政の判断によります。不明な場合は都道府県・政令市の担当窓口に確認することが確実です。
当事務所の強み:廃液・廃油の種類判定から委託管理まで
元化学メーカー研究員として廃液・廃油のpH確認・引火点確認・SDS読解を日常業務として経験し、廃棄物の種類判定に必要な化学的知見を持っています。産廃か一廃か、特管か通常産廃かという判断を化学的根拠とともに整理します。
- 廃棄物の種類判定(pH・引火点・成分に基づく分類)
- 特別管理産廃の該非確認
- 委託契約書・マニフェストの整備支援
- 産廃収集運搬業許可取得との一括対応
廃棄物の種類判定という段階からのご相談を承ります。
