経営革新計画の承認申請|大阪府の手続きと審査のポイント
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「新しい事業に取り組みたいが、融資を受けるための信用力が足りない」「補助金の採択率を上げたい」——そうした局面で活用できる制度が、経営革新計画の承認です。
中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画は、都道府県知事の承認を受ける制度です。承認を受けると、低利融資・信用保証の特例・販路開拓支援といった複数の支援策を利用できます。申請者自身が新事業の計画を策定し、その妥当性を審査機関に示すことが求められます。
数値目標の設定や計画書の構成には、財務の知識が求められます。FPとして財務分析に取り組んできた経験から、申請で見落とされやすいポイントを中心に解説します。
経営革新計画の概要

経営革新計画は「新事業活動を行うことにより、経営の相当程度の向上を図る計画」を都道府県知事が承認する制度です(中小企業等経営強化法第14条第1項)。
承認を受けると法定の支援策に申請できます。ただし、承認は支援策の実行を保証するものではなく、各支援策の実施機関による別途審査が必要です。
「新事業活動」の6区分

経営革新の内容として認められる新事業活動は、以下の6区分です。
- 新商品の開発または生産
- 新役務(サービス)の開発または提供
- 商品の新たな生産または販売の方式の導入
- 役務(サービス)の新たな提供の方式の導入
- 技術に関する研究開発およびその成果の利用
- その他の新たな事業活動
「新たな取り組み」は個々の事業者にとって新しいことが基準です。他社ですでに実施されている技術・方式でも、申請企業が初めて取り組む場合は原則として対象になります。ただし、同業者の間にすでに相当程度普及している取り組みは対象外となる場合があります。
「経営の相当程度の向上」の数値目標

計画の最終年度に、以下の伸び率をともに達成する見込みがあることが必要です(直近期末比)。
| 事業期間 | 付加価値額または一人当たり付加価値額 | 給与支給総額 |
|---|---|---|
| 3年 | 9%以上 | 4.5%以上 |
| 4年 | 12%以上 | 6%以上 |
| 5年 | 15%以上 | 7.5%以上 |
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
計画期間は事業期間として3〜5年間です。研究開発を含む場合は研究開発期間を合わせて3〜8年の範囲で設定できます。
数値目標の設定は「現実的かつ意欲的」であることが審査のポイントです。根拠のない楽観的な数値は、審査で指摘される可能性があります。過去の業績・市場規模・原価構造をもとに積み上げた説明が必要です。
申請者の要件

大阪府に申請できる事業者の要件は以下の2点です(令和5年4月時点の大阪府手引きによる)。
- 大阪府内に本店登記があること(個人事業者は大阪府内に住民登録があること)
- 創業後1年以上の事業実績があること
法人規模の上限(中小企業の定義)は以下のとおりです。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 500人以下 |
| 卸売業 | 400人以下 |
| サービス業(ソフトウェア・情報処理・旅館業を除く) | 300人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業 | 500人以下 |
| 小売業 | 300人以下 |
NPO法人・医療法人・学校法人は対象外です。個人開業医は個人事業主として対象になります。
申請から承認までの流れ

大阪府への申請は、まず申請書のメール送付から始まります。面談・審査会を経て、大阪府知事が承認または不承認を決定します。
申請書類の準備
申請書様式は大阪府経営支援課のホームページからダウンロードします。必要書類は以下のとおりです。
中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画のご案内/大阪府(おおさかふ)ホームページ
法人の場合
- 申請書(経営革新計画)
- 定款の写し
- 直近2期分の確定申告書類一式(写し)
- 前期決算日から直近までの合計残高試算表
- 会社概要(パンフレット等)
- 経営革新計画に関する企画書類等(適宜)
個人事業者の場合
- 申請書
- 住民票(写し・申請日より発行3か月以内のもの)
- 直近2期分の確定申告書類一式の写し(青色申告:損益計算書・貸借対照表 / 白色申告:収支内訳書)
- 個人事業者の計算式
- 前期決算日から直近までの合計残高試算表
- 事業概要がわかる資料(パンフレット等)
- 経営革新計画に関する企画書類等(適宜)
申請書の作成段階で、商工会・商工会議所の窓口から計画内容のアドバイスを受けることができます。
ヒアリング・審査会・知事承認
申請書案はメールに添付して送付します。送付前後に電話での連絡が必要です。面談は最低2回行われます(府庁1回、事業所1回またはオンライン)。事業計画の内容や数値根拠について詳細に確認されます。必要な補正を完了した段階で正式な申請受付となります。
その後、大学教授・弁護士等の外部有識者で構成される承認審査会で審査が行われます。審査結果をもとに、大阪府知事が承認または不承認を決定します。申請書案の送付から承認まで、一般的に2〜3か月かかります。
申請窓口(大阪府の場合)
大阪府商工労働部中小企業支援室経営支援課経営革新グループ
申請窓口は都道府県ごとに異なります。最新の連絡先は各都道府県の公式サイトでご確認ください。
承認後に受けられる主な支援策
承認を受けると、以下の支援策に申請できます(各支援策の実施機関の審査が別途必要)。
資金調達支援
- 中小企業信用保険法の特例
- 日本政策金融公庫による融資制度
- 日本政策金融公庫 スタンバイ・クレジット制度
- 商工組合中央金庫(商工中金)の融資制度
販路開拓支援
- 販路開拓コーディネート事業
- 中小企業新商品購入制度
- 大阪府経営革新計画「承認企業」「達成企業」シンボルマーク
キャッシュフロー改善
- 中小企業投資育成株式会社法の特例
- 起業支援ファンドからの投資
過去の公募では、経営革新計画承認が加点・優先採択の要件となった例もあります。ただし年度ごとに変わるため、最新の公募要領をご確認ください。補助金申請と並行して取り組むことで、相互に申請を補強できます。


よくある質問
Q. 創業して間もない企業でも申請できますか?
A. 創業後1年以上の事業実績が必要です。決算期を1度経過していれば、実情に応じて半年分の実績を2倍にして1年分として計算する対応も認められています。
Q. 数値目標は絵に描いた餅でも通りますか?
A. 審査を通過するのは難しい状況です。実現可能性は審査で重視される項目です。市場規模・販路・資金調達の見通しを具体的に説明できることが必要です。根拠のない数値では、審査時に補正を求められます。過去2期分の財務データを起点に積み上げ計算で説明できる状態にしておくことが重要です。
Q. BCP認定(事業継続力強化計画)との違いは何ですか?
A. BCP認定は、防災・減災対策に取り組む計画を経済産業大臣が認定する制度です。税制優遇・補助金加点が主な支援内容になります。経営革新計画は都道府県知事が承認する制度で、新事業への取り組みと経営の向上が審査対象です。融資・保証優遇・販路開拓支援が主な活用場面で、目的と支援の性質が異なります。両方を組み合わせることも可能です。
当事務所の強み:財務数値の根拠づくりから申請書作成まで一貫対応

経営革新計画の審査で特に問われやすいのが、付加価値額・給与支給総額の伸び率目標の根拠です。「なぜその数値を達成できるか」を財務的に説明できない計画は、ヒアリングで補正を求められる場合があります。
FPとして財務分析に取り組んできた知識を活かし、過去実績に基づいた目標数値の設定と根拠説明の整備を含めてサポートします。
- 経営革新計画の申請書(様式第13)作成代行
- 付加価値額・給与支給総額の数値目標の設定支援(過去実績の整理・将来推計の構成)
- 大阪府経営支援課との事前調整・ヒアリング対応
- ものづくり補助金・BCP認定との並行申請支援
直近2期分の決算書があれば、現状の数値を整理するところから対応できます。まずはお問い合わせください。
