騒音規制法・振動規制法の特定施設届出|工場の機械設置時に見落としがちな義務
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
工場に新しい機械を設置する際、大気汚染防止法や水質汚濁防止法の届出は比較的認知されています。しかし騒音規制法・振動規制法に基づく特定施設の届出は、見落とされやすい手続きのひとつです。
設置する機械の種類と定格出力によっては、工事着手の前に市区町村長への届出が義務付けられています。届出なしに工事を進めた場合、法律違反として罰則の対象となる可能性があります。
元化学メーカー研究員として製造現場の法令実務に触れてきた経験から、届出が必要になる機械の種類と手続きの流れを整理します。

特定施設の届出義務
工場・事業場において「特定施設」を設置、使用し、または数を変更しようとする場合、工事着手の30日前までに市区町村長へ届出が必要です。
騒音規制法における特定施設の例
騒音規制法の特定施設は、一定の定格出力以上の機械・設備が対象です。機械の種類は政令の別表で定められており、定格出力の要件を満たすかどうかで該当可否が決まります。
- 空気圧縮機・送風機(原動機の定格出力7.5kW以上)
- 金属加工機械(圧延機械・せん断機・ブラストなど)
- 木材加工機械(帯のこ盤・丸のこ盤・かんな盤など)
- 印刷機械(原動機を用いるもの)
- 合成樹脂用射出成形機
カタログや仕様書の「モータ出力(kW)」で出力を確認します。
振動規制法における特定施設の例
振動規制法の特定施設は、主にプレス・鍛造・コンプレッサーが中心です。
- 液圧プレス(矯正プレスを除く)
- 機械プレス
- 鍛造機
- 圧縮機(原動機の定格出力7.5kW以上)
- 土石用・鉱物用の破砕機・摩砕機・ふるい・分級機(原動機の定格出力7.5kW以上)
圧縮機のように両法の特定施設に該当する機種では、騒音・振動それぞれの届出が必要になります。
届出の手順と提出書類
市区町村長(大阪府内は権限移譲市が処理する市町村では各市長)への届出が必要です。届出のタイミングと書類を確認します。
届出のタイミング
工事着手の30日前までに届出を行うことが騒音規制法・振動規制法の両方で求められます。機械の搬入・設置工事の日程が固まった時点で、速やかに届出書類の準備に着手することを推奨します。
主な提出書類
- 特定施設設置(使用・変更)届出書
- 特定施設の配置図(工場レイアウト図)
- 特定施設の仕様書・カタログ(定格出力の確認資料)
- 防音・防振対策の概要(必要に応じて)
届出書の様式は各市区町村が定めているため、提出先の担当窓口に事前確認することを推奨します。
変更・廃止時の届出
届出済みの特定施設に変更が生じた場合や廃止する場合も届出が必要です。
- 変更届出:騒音は施設数が2倍を超えて増える場合、振動は種類・能力ごとの数が増える場合(工事着手の30日前まで)
- 廃止届出:廃止の日から30日以内に届出(法第10条)
届出後に特定施設の騒音・振動が規制基準を超えると判断された場合、行政から改善勧告・命令が出ることがあります。機械の導入前に防音・防振対策を検討しておくことが重要です。

よくある質問
Q. 同じ機械に入れ替えるだけでも届出が必要ですか?
A. 既存の特定施設を撤去して同種の機械を設置する場合は、廃止と設置の両方の届出が必要になるケースがあります。機械の定格出力や種類が変わる場合は変更届の対象になることもあります。工事着手前に届出が必要かどうかを確認することを推奨します。
Q. 騒音規制法の届出をすれば振動規制法の届出は不要ですか?
A. 両法の届出は別々の手続きです。圧縮機など両法の特定施設に共通する機械を設置する場合は、それぞれの届出が必要になります。
Q. 工場が騒音規制区域外に立地している場合も届出は必要ですか?
A. 市区町村長が指定した騒音規制区域(または振動規制区域)内に工場が立地している場合に届出義務が生じます。区域外であれば義務は生じませんが、区域の指定状況は市区町村に確認してください。地方条例で独自の規制が設けられているケースもあります。
Q. 騒音規制法の特定施設に該当しない機械でも届出が必要になることはありますか?
A. 大阪府内では、大阪府生活環境の保全等に関する条例が騒音規制法・振動規制法を補完する形で「届出施設」を定めています。法の特定施設より低い出力要件で届出義務が生じる機械があります。例えば送風機は法では7.5kW以上が対象ですが、条例では3.7kW以上が届出施設になります。法の閾値を下回る機械でも、条例の届出が必要なケースがあるため、設置前に管轄の市区町村の環境担当課に確認することを推奨します。
当事務所の強み
元化学メーカー研究員として製造設備の仕様書を読み解いてきた経験を活かし、設置予定の機械が特定施設に該当するかどうかを技術的な観点から判断します。大気汚染防止法・水質汚濁防止法・消防法など、設備増設時に重なる届出をまとめて対応することで、窓口ごとに担当者を探す手間を省けます。
- 特定施設届出書の作成・提出代行(騒音規制法・振動規制法)
- 設備増設時の複数法令ワンストップ対応(大気法・水濁法・消防法・高圧ガス等)
- 届出後の変更届・廃止届サポート
機械の仕様書と設置場所をお知らせください。届出の要否を確認します。


