水質汚濁防止法の特定施設とは|61日前の届出・必要書類・許可との違い

水質汚濁防止法の特定施設とは|61日前の届出・必要書類・許可との違い

自社工場への新しい生産設備の導入や、工場の拡張・移転を検討している経営者・設備担当者の方へ。

条件に該当する「特定施設」を導入する場合、工事に着手する61日以上前までに、水質汚濁防止法(または内海法・都道府県条例)に基づく手続きを完了させなければなりません。無届での設置や稼働には罰則が科されるため、計画の初期段階から対応が必要です。

​水質汚濁防止法(第1条)は、工場・事業場からの排出による公共用水域の汚濁防止、国民の健康保護・生活環境の保全、被害者への損害賠償責任の明確化を目的としています。この目的のもと、汚水・廃液を排出する特定の設備を「特定施設」と位置づけ、設置前の届出を義務付けています。

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届出対象となる「特定施設」

特定施設とは、汚水または廃液を排出する施設のうち、政令で定められた以下の要件を備えるものを指します。

  • 有害物質を排出する施設:カドミウムなど、人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質(有害物質)を含む汚水・廃液を排出する施設。
  • 生活環境に影響を及ぼすおそれがある施設:化学的酸素要求量(COD)など、水の汚染状態(熱を含み、有害物質を除く)に関し、生活環境に被害を生ずるおそれがある汚水・廃液を排出する施設。

内海法における「特定施設」には、上記に加えてダイオキシン類対策特別措置法に規定される「水質基準対象施設」も含まれます。

​補足:特定施設の解釈に係るガイドライン

ある設備が特定施設に当たるかどうかの判断のよりどころとして、環境省は「特定施設の解釈に係るガイドライン」を作成しています。自治体の間で判断がばらつかないようにすることが目的とされています。

実際に特定施設に当たるかを判断するのは届出先の自治体です。該当するか迷う設備は、設置を計画する段階で自治体の担当課に相談することを推奨します。

大阪府域に工場がある場合、水質汚濁防止法の「特定施設」の規模や要件に該当しない設備であっても、条例で「届出施設」として指定されているケースがあります。大阪府の場合も、国の法律と同様に工事着手の61日以上前までの事前届出が必須です。必ず​府条例の対象設備かどうかも確認してください。

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排水を公共下水道に流す工場は、下水道法の特定施設の届出も必要です。届出先と期限は次の記事で整理しています。

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施設規模による手続きの違い

事業場に設置する施設の種類、1日当たりの最大排水量、有害物質取扱いの有無により、適用される法令と手続き(届出か許可か)が異なります。無届・虚偽届出・無許可での設置・変更、実施制限期間中の違反等には、拘禁や罰金などの罰則が科せられます。

根拠法令対象となる事業場・施設設置・構造変更の手続きその他の手続き(変更・廃止等)
水質汚濁防止法1日最大排水量が50m³未満の特定施設、有害物質使用特定施設など工事着手の61日以上前に「届出」変更・廃止・承継から30日以内に「届出」
瀬戸内海環境保全特別措置法日最大排水量が合計50m³以上の事業場事前に「許可」が必要(事前評価書が必要な場合あり)軽微な変更・廃止・承継から30日以内に「届出」
大阪府生活環境保全条例水濁法の特定施設には該当しないが、条例で定める「届出施設」工事着手の61日以上前に「届出」変更・廃止・承継から30日以内に「届出」

設置届出の手順と必要書類

水質汚濁防止法に基づく特定施設設置届出の手順および必要書類は以下の通りです。

参考:​水質汚濁防止関係法令の届出等/大阪府ホームページ

設置届出の手順

​届出の時期と実施の制限
  • 届出の時期:特定施設を設置しようとする場合、設置工事に着手する61日以上前までに届出を行う必要があります。
  • 実施の制限:届出が受理された日から60日を経過した後でなければ、特定施設を設置できません(第9条第1項)。届出内容が相当と認められる場合は、都道府県知事が期間を短縮できます(同条第2項)。
  • 提出先:工場・事業場の所在地にある市町村の環境・公害担当課に提出します。
  • 提出部数:正本1部(都道府県用)と副本2部(市町村用、届出者用)の計3部を作成し提出します(大阪府の案内)。

必要書類

届出書は、法定様式である「表紙」「別紙」と、内容を補足する「添付図面等」で構成されます。

  • 届出書および別紙(法定様式)
    • 特定施設設置届出書(様式第1):届出者の氏名・名称、工場・事業場の名称・所在地、特定施設の種類等を記載する表紙です。
    • 別紙1:特定施設の構造
    • 別紙2:特定施設の使用の方法
    • 別紙3:汚水等の処理の方法
    • 別紙4:排出水の汚染状態及び量
    • 別紙6:排出水に係る用水及び排水の系統
    • (以下は該当する場合のみ)
    • 別紙1の2:有害物質使用特定施設等に該当する場合(特定施設の設備)
    • 別紙5:日平均排水量が50m³以上の事業場の場合(排出水の排水系統別の汚染状態及び量)
  • 添付図面等(必要な内容がそろっていれば様式は問いません)
    • 周辺の見取り図(別図①):排水口から主要河川等への排水経路を明示したもの。
    • 敷地内の配置図(別図②):特定施設、汚水処理施設、排水経路、排水口の位置等の配置図。
    • 操業系統図(別図③):特定施設を含む操業のフローシート。
    • 用水及び排水の系統図(別図④):水道水・井戸水などの用水系統と、工程排水・生活排水・雨水等の排水系統図。
    • 特定施設等の構造概要図(別図⑤):立面図、平面図、主要寸法など。
    • 汚水処理施設の構造概要図・処理系統図(別図⑧、⑨)
    • 水質・水量のデータ(別表①、②):特定施設等の使用時や汚水処理施設の処理前後の汚染状態(水質)と水量の「通常値」および「最大値」。
    • (有害物質使用特定施設等の場合)床面・周囲の構造概要図(別図⑥)、設備の構造概要図(別図⑦)など。
  • その他の書類・注意事項
    • 委任状:法人の代表権を有する者(代表取締役等)以外の者が届出者となる場合は委任状が必要です。
    • 押印の廃止と本人確認:届出書の押印は不要ですが、名刺や発注書の写しなど、代替手段による本人確認が実施されます。

特定施設を設置した結果として事業場からの日最大排水量が50m³以上となる場合など、一定の条件を満たす事業場については、水質汚濁防止法の手続きに代わって内海法に基づく設置許可申請の手続きが必要となります。

届出後の事業者の義務

特定施設等の設置・変更手続きを行った後、事業者には以下の遵守・報告義務が課せられます。

  • 排水基準等の遵守義務:水質汚濁防止法や都道府県条例で定められた排水基準に適合しない水の排出は禁止されています。有害物質を含む特定地下浸透水の地下浸透も禁止です。
  • 水質の測定・記録・保存義務:排出水や特定地下浸透水の汚染状態を測定(届け出た項目は原則年1回以上)し、その結果を記録して3年間保存しなければなりません(施行規則第9条)。
  • 構造基準の遵守と定期点検の義務:有害物質取扱施設は、地下浸透を防止するための構造・設備基準を遵守し、定期点検の結果を記録・保存する義務があります。
  • 事故時の応急措置と届出義務:施設の破損等により有害物質等が排出され、被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに応急措置を講じ、速やかに都道府県知事へ届け出る必要があります。
  • 変更・廃止・承継時の届出義務:構造や設備を変更する場合は「工事着手の61日以上前」、氏名変更や使用廃止、施設を承継した場合は「事由発生から30日以内」に届出が必要です。

これらの義務に違反した場合、改善命令や施設使用の一時停止命令、罰則(拘禁や罰金等)が科されることがあります。

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よくある質問

工場が大阪以外の都道府県にある場合も手続きは同じですか?

基本的な手続きは水質汚濁防止法に基づいて全国共通ですが、都道府県条例による上乗せ規制の内容は自治体ごとに異なります。申請先は工場の所在地を管轄する都道府県(または政令市等)の担当窓口になります。大阪府以外の場合は、各都道府県の環境担当課に手続き内容を確認してください。

設備設置後に構造を変更した場合も届出が必要ですか?

はい。特定施設の構造を変更する場合は、変更工事着手の61日前までに変更届出が必要です。変更内容が届出対象かどうかは、事前に担当窓口で確認することを推奨します。

水濁法の「届出」と内海法の「許可」のどちらが必要か、どう判断すればよいですか?

判断の基準は日最大排水量です。設置後の事業場全体の日最大排水量が50m³以上となる場合は内海法の許可が必要で、50m³未満であれば水濁法の届出手続きになります。大阪府域では条例による届出施設に該当する可能性もあるため、施設の種類・排水量・所在地をまとめたうえで担当窓口に相談することが確実です。

当事務所の強み:工程の図面化から届出・補助金まで

水質汚濁防止法の特定施設の届出は、当事務所が届出の要否の確認から届出書の作成・提出までお引き受けします。

水質汚濁防止法や内海法に基づく手続きでは、届出書の記入に加えて、「操業系統図(フローシート)」や「用水・排水の系統図」といった、工場の製造プロセスそのものを図面化して説明する作業が中心になります。

  • 製造工程・排水処理フローの図面化:元化学メーカー研究員として、製造工程や排水処理フローを読み解いた経験から、行政担当官が求める技術的書類の作成をサポートします
  • 届出の代行:届出要否の確認から書類作成、届出の代行まで対応します
  • 排水処理設備の補助金:水質基準をクリアするための新たな排水処理設備の導入が必要な場合は、設備投資に活用できる各種補助金の選定から申請まで一括してご提案します

報酬の目安とご依頼の流れは、次のページにまとめています。

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