内容証明を行政書士に頼める範囲|対応可・不可の境界線
※本記事は執筆当時の情報に基づきます。法改正等により現在の内容と異なる場合がありますので、実際の運用にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
「行政書士に内容証明を作ってもらえますか?」というご相談をいただくことがあります。
結論から言うと、行政書士が対応できる内容証明とできない内容証明があります。
依頼先の選択を誤ると、案件に応じた適切な対応が受けられなかったり、業務範囲の問題が生じたりするおそれがあります。
本記事では、行政書士が作成できる内容証明の種類と、弁護士に相談すべき案件の境界線を整理します。
「自分の案件は誰に頼めばよいか」を判断する材料としてお使いください。
内容証明郵便の役割

内容証明郵便とは、郵便局が「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を公的に証明する郵便サービスです。
文書の内容や送付の事実を後から証明できるため、法的な意思表示を行う際に活用されます。
内容証明それ自体に強制力はありません。
相手が要求に応じなければ、裁判や調停など別の手段が必要になります。
ただし、「正式な通知を行った日付と内容が証明できる」ことで、後のトラブル対応における証拠力が格段に高まります。
行政書士が作成できる内容証明

行政書士は、権利義務に関する書類の作成を業とすることができます(行政書士法第1条の2第1項)。
内容証明郵便も「権利義務に関する書類」に当たり、一定の範囲で作成が可能です。
行政書士が対応できるのは、紛争性がなく、権利義務に関する書類作成の範囲に収まる意思表示の通知です。
すでに紛争が発生している案件への代理人としての関与は、後述のとおり対象外となります。
クーリングオフ通知
訪問販売・電話勧誘販売などで締結した契約に対し、法定の期間内(契約書面受領から8日以内等)にクーリングオフを行使する場合、その意思を書面で通知する必要があります(特定商取引に関する法律第9条等)。
クーリングオフは「法律上当然に認められた権利の行使」であり、相手方の承諾を必要としない一方的な意思表示です。
行政書士が作成できる内容証明の代表的な例です。
契約解除通知
売買契約・業務委託契約・サービス契約などについて、債務不履行を理由に契約解除を通知する場面があります。
相手方が義務を履行しない場合、まず相当の期間を定めて催告し(民法第541条)、それでも履行がなければ解除できます。
解除の意思表示を内容証明で行うことで、「いつ解除通知を発したか」を明確にできます。
ただし、解除に伴い損害賠償の請求・交渉が絡む場合は、案件の具体的な事情によって紛争性が生じる可能性があります。そうした局面では弁護士への相談が必要です。当事務所では提携する弁護士をご紹介できます。
賃貸借契約の解約通知
賃貸物件の解約申し入れ・更新拒絶などについても、内容証明で通知を行うケースがあります。
一方的な意思表示の通知であり、行政書士に作成を依頼できる場合があります。
当事務所が取り扱わない案件

弁護士以外の者が、報酬を得る目的で「一般の法律事件」について代理・鑑定・仲裁・和解その他の法律事務を取り扱うことは、非弁行為にあたり違法です(弁護士法第72条)。
当事務所では、非弁行為となり得るリスクを慎重に判断した結果、紛争性が認められる案件や相手方の権利・判断の当否を争う性質の文書については、方針として取り扱いをお断りしています。
紛争性のある案件
損害賠償請求の交渉・賃料の値下げ交渉・解雇の撤回要求など、すでに相手方と争いになっている案件は、非弁行為となり得るリスクがあることから、当事務所では対応しない方針です。
こうした案件には弁護士対応が必要です。
SNS上の誹謗中傷・アカウント凍結に関する案件
「SNSで誹謗中傷を受けたので削除・発信者開示を求めたい」「SNSアカウントが凍結されたのでプラットフォーム運営会社に内容証明を送ってほしい」というご相談をいただくことがあります。
誹謗中傷の削除請求・発信者情報開示請求・アカウント凍結の撤回通知は、相手方の行為や判断の当否を争う性質を持ち得るため、非弁行為となり得るリスクがあります。
当事務所ではこれらの案件を取り扱わない方針としています。
インターネット法務や誹謗中傷対策を扱う弁護士への相談が必要です。
よくある質問
Q. 行政書士が作成した内容証明に法的な効力はありますか?
A. 内容証明郵便の証拠力は、作成者ではなく郵便局による送付事実と文面の証明に由来します。郵便局が「いつ・誰が・誰に・どんな内容を送ったか」を証明するサービスであるため、作成者が行政書士か弁護士かによって証拠力が変わることはありません。もっとも、内容証明郵便が証明するのは送付の事実と文書内容であり、文書に記載した主張の真実性や法的妥当性そのものまで証明するものではありません。
Q. 内容証明を送ったあと、相手が無視したらどうなりますか?
A. 相手が応じない場合、その後の対応(裁判・調停・督促申立等)が必要になります。法的な交渉・訴訟手続きは弁護士の業務です。当事務所では内容証明の作成まで対応します。その後の交渉・訴訟手続きが必要になった場合は、提携する弁護士をご紹介します。
Q. 自分の案件が「紛争性あり」かどうか判断できません。
A. 目安として、「相手方の行為・判断の正当性を争う内容が含まれるか」「損害賠償額・交渉が発生するか」を確認してください。これらに該当する場合は紛争性があると考えられます。判断が難しい場合は、まず状況をお聞かせください。内容を確認した上で対応の可否をお答えします。
当事務所の方針:対応可否を明確に伝える誠実な対応

- 対応できる内容証明とできない内容証明を明確に区別します。「行政書士の業務範囲を超える」と判断した場合は、その理由をご説明した上で提携する弁護士をご紹介します。
- クーリングオフ・契約解除・賃貸借解約など、紛争性のない意思表示の通知書類を迅速に作成します。
- 内容証明に加えて、許認可・補助金・会社設立など幅広い行政書士業務に対応します。「どの士業に頼めばよいか」という入口段階のご相談もお受けします。
誰に相談すべきか迷ったら、まず状況をお聞かせください。内容を確認した上で対応可否をお伝えし、弁護士対応が必要と判断した場合は提携する弁護士をご紹介します。
